こんにちは、講師のユースケと申します。今日は時間制限のある作文についてお話しします。
小学生や中学生の方にとって作文というと夏休みの読書感想文のような自由な内容で時間制限のないものを思い浮かべるかもしれません。しかし、大学入試くらいになってくると、小論文試験や英語のライティング試験など時間制限のあるものが出てきます。近年では文科省の政策により、AO入試などが普及しており、小論文試験は重要になってきています。たとえば、小論文試験なら
「日本語の難しさ」について論じよ。 (上智 2012)
英語のライティング試験なら
Some people say that too much water is wasted in Japan. Do you agree with this opinion? (英検2級 2018)
(日本では水の浪費が激しいともいわれています。あなたはこの意見に賛成しますか?)
のような自分の頭で考えて文章を書く問題です。
このような作文に慣れていない人にとっては、きっとすぐに書くことは難しいでしょう。そもそも、日頃考えたことのない話題についての作文ですから字数を埋めることができないでしょう。そこで、今回はこのような時間制限のある作文を書くコツをご説明します。
フローチャートを書こう
まず、第一に作文は無計画に書いてはいけません。何も考えずに書き始めると、文章の中で論点がずれて行ってしまったり、ひどい場合には最初は「〇〇に賛成だ」という書き出しで始まった作文が最後には「〇〇に反対だ」という風に真逆の内容になってしまうことがあります。作文の苦手な生徒さんに多いです。そこで、必ず作文を書く前にフローチャートを書いてください。どのように書けばいいのかご説明します。日本語の場合と英語の場合で少し違いがあります。ではまずは英語から。
アカデミックライティング
英文の文章構成は必ず一通りしかありません。私はこれは英語圏の悪習だと思うのですが、英語での作文はアカデミックライティングという形式に従わなければなりません。アカデミックライティングでは
topic sentence(テーマの提示と立場表明)→supporting sentence(論拠)×2~5個→concluding sentence(結論)
という構成となります。逆にこの構成でない作文は試験では大幅に減点されることがあります。
たとえば、上に挙げた英検の問題を例にあげましょう。図1のフローチャートをみてください。まず、最初のパラグラフで賛成か反対かの立場を表明しましょう。今回は賛成とします。そして、次からのパラグラフで賛成の理由を書きましょう。与えられた字数にもよりますが、大抵の場合3つあれば大丈夫です。最後のパラグラフではまとめを書きます。まとめというのは、今までにあげた理由をもう一度あげつつ、自分の立場をもう一度表明します。

このような文章構成にすれば、文章の構造に関しては完璧です。どんな試験でもほぼ満点が来ます。日本人の感覚からすると、文章構成がいつも同じというのは変なのですが、英語での作文は必ずこの構成にしてください。アカデミックライティング形式で書くというのは、一見難しく見えるのですがむしろ文章の構成について考えなくていいので、慣れるととても簡単になります。
また、英検やIELTSなどのスピーキング試験での2分間スピーチなどもこの構成にすればOKです。
日本語での作文の場合
と思います。しかし、日本語の場合、文章構成はある程度自由です。例えば図2をご覧ください。始めは「日本語がいかに難しいか」について論じていますが、後半は「その難しさの解決方法」について論じています。小論文試験の場合、ある程度字数が多いですから「日本語がいかに難しいか」だけでは字数が埋まらないことがあります。今回は、その解決方法を書くことで字数を埋めることにしました。日本語の場合は論点さえずれなければ多少寄り道をした議論をしても大丈夫です。

もう少し簡単な方法として、結論の方からフローチャートを書くという方法もあります。まず、結論を用意して、その結論を補強するための根拠を肉付けしていくという形です。たとえば、今回なら「日本語は難しいが、日本語の環境にいれば学ぶのは難しくない」、という結論を先にフローチャートに書いて、この結論を導くためにはどのような根拠が必要かということを考えながら、フローチャートを前に前につなげていく、という方法です。
アイデア出し
先ほどの英検の例を出すと、突然「日本では水が浪費されているか」と聞かれてもそんなもの考えたこともないし、どういう理由で賛成するかどういう理由で反対するか思いつかないという方も多いでしょう。では、論拠のアイデアを出すにはどうすればいいでしょうか。
たとえば、「〇〇に賛成しているか」と尋ねられて本心から賛成しているor反対している必要はありません。あくまで試験ですから書きやすい方で書きましょう。たとえば私は、先ほどのフローチャートで日本人が水を浪費していることに賛成する立場で書きましたが、まるっきり嘘っぱちです。本当は浪費というほどではないと思いつつも、賛成の立場の方が書きやすいと思い、賛成につきました。
論拠の出し方ですが、身近なことを思い浮かべると書きやすいです。身の回りの人がどうしているか。また、自分の実体験ではどうであったか。こういったことがヒントになります。それこそ、先ほどの「日本語の難しさ」の小論文でつかった、「日本に来る出稼ぎ労働者が日本語を学ぶのが速い」、というのが例です。
まとめ
どうでしょうか、時間制限のある作文の書き方、少しはわかりましたでしょうか。結論をざっくり言えば……
とりあえずアカデミックライティングの形式をパクれば楽勝!!
ということです。それではみなさん、よき作文ライフを。