こんにちは。まなぶてらす講師のワタルです。
“仲秋の名月の日は仏滅です”
今回は、“大安”とか“仏滅”・・・六曜(ろくよう、りくよう)のお話です。あなたは信じる、信じない? というのではありません。これらが数学的にどういう規則性をもっているか、というお話です。
初めに、この話題が数学とどういう関係があるかについてお話しします。
六曜は「先勝(せんしょう/せんかち)➝友引(ともびき)➝先負(せんぷ/せんぶ/せんまけ)➝仏滅(ぶつめつ)➝大安(たいあん)➝赤口(しゃっこう/しゃっく)」の6つがこの順に巡ってきます。
こういう観点からすると「周期性の問題」となることがお分かりになるでしょう。
ここで、すぐカレンダーをご覧になった方・・・例えば、今月(2018年12月)・・・6日(木)と7日(金)とで、この周期性が崩れていることを発見した方はいらっしゃいますか?
鋭い観察力です!
これは、私達が現在使っているのが「太陽暦」であることと、六曜は本来「旧暦」の中で使われていたということとのギャップが原因となっているのです。
例えば、今月(2018年12月、太陽暦)の6日(木)は旧暦では10月29日(旧暦では10月末日です)ですし、7日(金)は旧暦では11月1日となっているのです。
なお、「旧暦」については私は上手く説明できませんので、国立天文台のサイト内にある~~「旧暦」ってなに?(URL、下記)~~を参照して下さい。
https://www.nao.ac.jp/faq/a0304.html
さて、この話題をもっと数学的に見ていくことにしましょう。
この類の学習は、学校では、小学6年生算数科「余りを使って、数のなかま分けをしよう」という単元で初めて扱われます。
例えば、今月(2018年12月)のカレンダーがあったらご覧下さい。
日曜日は、7で割ると2余る数が縦に並んでいますね。
こういう考え方を数学では「剰余系」と言います。
高校数学Aを学習している人は、“合同式”を学んだでしょう。
上のことを合同式で表すと、2≡9≡16≡23≡30 (mod 7)と表せるのです。
金曜日だと、7≡14≡21≡28≡0 (mod 7)となりますね。
中学受験でも「日暦算」がよく出てきますね。
一般的な塾ですと「数列」の考え方を使った解き方をしているようですが、私の場合は「剰余系」の考え方も使えるように指導しています。
それでは、今日のテーマを「剰余系」の考え方で見ていきます。
まずは“大安”の見つけ方。
ただし、これから行う計算は全て「旧暦」を使って行う、ということをお忘れなく!
① 何月何日の“月”と“日”を足して下さい。
② ①の数を6で割って割り切れたら(余りが0)“大安”です。
☞ 公式化してみます。(旧暦で)x月y日のとき・・・(x+y)÷6を計算して余り0のときが”大安”です。
☞高校生用:(x+y)≡0 (mod6)となれば”大安”です。
いよいよ“仲秋の名月”の日について・・・。
“仲秋の名月”の日は旧暦の8月15日と決まっています。
この日について、上のような計算をしてみて下さい。
8+15=23 23÷6=3余り5 「余り」5となりましたね。
これが“仏滅”なのです。
☞高校生用(仏滅の公式、こうして見ると”縁起(えんぎ)が悪い”なんて非科学的だと思いませんか)
(x+y)≡5 (mod6)となれば”仏滅”です。
私は、文学は全くの門外漢ですが・・・。
昔、ある文豪が小説の中で「望月が煌々と光る大安の佳き日・・・」としたためたものが出版され、知識人の人たちがその作家の本を全く買わなくなったという話を聞いたことがあります。
文系の方も数学を勉強しておいた方が良さそうですね。