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楽器を習う時に、忘れてはならない大切なこと「奏法」

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こんにちは。
「まなぶてらす」講師のふじいです。

さて、楽器を習う時、何が一番重要でしょうか。
読譜力、聴く力、リズム感、表現力、テクニック、等々・・・
色々思い付くでしょう。
楽器のレッスンで、必ず習うことばかりですよね。

音楽をする上で、どれも大切なことなのですが、自分の経験から、
まず何よりも重要なのは、「奏法」であると思います。

今日は、楽器を学ぶ上で、きちんとした「奏法」を身に付けることが大切
というお話をします。

 

そもそも「奏法って、何?」と思われる方も多いと思いますが、読んで字の如く、
「奏でる方法」、つまり「音の出し方」です。

「楽器」は、叩いたり、吹いたりすることで音が鳴りますが、
音楽を奏でるのですから、ただ音を鳴らせば良いというのものではありません。
その楽器で、一番美しい音を奏でることが重要です。

ピアノの場合、
座り方(姿勢)、手や指の形、手首や腕の使い方、指の角度、力加減
などによって、音色が変わってきます。

また、
きれいな音を出すには、鍵盤のどの部分をどう弾くのかという「打鍵」のことだけでなく、
きれいに余韻が響くには、どう鍵盤から指を離すかという「離鍵」についても
考慮する必要があります。

 

より分かり易いように、「野球」を例にとってみましょう。

「ヒットが打てるようになりたい!」と、素振りの練習をしたところで、
ただ闇雲にバットを振り回しただけでは、大した効果はないだろうと思います。

ヒットを打てるようにしようとしたら、まず、
どういう姿勢で、どこに重心を置いて立つのか、
バットはどこをどう握って、どういう角度で振るのか・・・
などということを考慮した上で練習をしないと、
なかなか効果は得られないのではないでしょうか。

それどころか、無理な体の使い方により、怪我などの故障も出て、
せっかく好きなことなのに、続けるのが困難になります。

 

楽器も同じです。

「早くピアノが上手くなりたい!」と、
きちんとした奏法を身に付けずに難しい曲に挑戦して、
闇雲に指を動かしたところで、
音色が汚いばかりでなく、
ひどい肩凝りや腱鞘炎に悩まされることになります。
(かつて、私がそうでした。)

きちんとした「奏法」を身に付けることは、
美しい音で演奏できるようになる、ということにとどまらず、
体に無理のない方法でテクニックも身に付けることが出来、
更には音楽を解釈する力もついてきます。

 

ただし、「奏法」を身に付けるのには、少し時間がかかります。

というのも、お箸や鉛筆の持ち方を注意されてもすぐに直せないように、
普段の「体の癖」は、なかなかすぐに直せるものではありません。

レッスンの度、練習の度に、何度も何度も気を付けていくことで、
じっくり時間をかけて、体に落とし込んでいく必要があります。

 

しかし、この「奏法」、
意外にもどの楽器においてもなおざりにされているように思います。

夫は、楽器は打楽器が専門ですが、
重厚な音色がする「ドイツ式」の奏法に魅せられ、
これを身に付け、指導もしています。

これは、戦後活躍した世界的指揮者、カラヤンのお抱えティンパニ奏者として知られる
伝説のティンパニ奏者、テーリヒェンから直々に奏法を学んだ、
山口十郎氏から教えて頂いた奏法です。

30数年前、この奏法をある学校の高校生に教え、
友人らとタッグを組んで吹奏楽全体も指導し、
吹奏楽の甲子園と言われた普門館で、打楽器で高評価を得、
全国一位に導いたことも何度かあります。

しかし、数年前、ある高校の吹奏楽部で、
今までのように、楽器を演奏する段階に入る前に、
まずは椅子や座布団を使って、バチの握り方や振り下ろし方等、
ドイツ式の打楽器の奏法の基本を教えていたところ、
「叩き方の練習ばかりで、なかなか楽器を演奏させてくれない。
こんな先生は辞めさせてくれ」と、
生徒と保護者が集団で学校に抗議に押し寄せたことがありました。

奏法の重要性をいくら説明しても理解してもらえず、
結局、抗議に来た生徒全員が吹奏楽部を辞めていったということです。

楽器を習う際、「奏法」を身に付けることが重要だ
ということが認識されていない、1つの例かと思います。

 

ピアノは鍵盤を叩くとすぐ音が鳴りますし、
太鼓もバチで叩いたら赤ちゃんでも音が出せます。

簡単に音が出せてしまうのですが、
その音が「きれいかどうか」は別問題です。

 

早く曲が弾けると確かに嬉しいものですし、
周りもそれを期待してしまいますが、
基本的な奏法をきちんと身に付けていないと、
ある段階で、「テクニックがなかなか伸びない」と悩むことになるだけでなく、
無理な体の使い方により故障も起き、
「いくら練習しても、上手にならない。私には才能がない・・・」
と辞めてしまうことになりがちです。
(私も、随分悩んで、何度も辞めたくなりました。)

 

「奏法」を学ぶ時、単純な動きの練習ばかりで、
「本当にこれで曲が弾けるようになるのか?」
と疑いたくなることもあるかと思いますが、
まず「奏法」を身に付けることは、
回り道をしているようで、実は早く確実に上手になる近道です。
(ですので、素質のある子供に徹底的に奏法を教え込んでいるロシアで、
優秀なピアニストが大勢輩出されているのだと思います。)

 

楽器を習う時、まずは「奏法」を学ぶのが大切だということが、
もう少し世間に認知されることを願っています。

 

次回は、私が学んだ「ロシアン奏法」がどういうものなのか、
具体的にお話したいと思います。

 


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