- 「個別相談では、何を聞けばいいのだろう」
- 「こんなことまで質問して大丈夫?」
- 「説明会には参加したけれど、もっと学校のことを知りたい」
夏から秋にかけて、私立中学校の学校説明会や個別相談、学校見学に参加するご家庭が増えてきます。
私は私立中高一貫校で教員・広報担当として、多くの受験生・保護者の個別相談や学校見学に対応してきました。
その経験から感じるのは、個別相談や学校見学は、学校から情報を聞くだけの場ではないということです。大切なのは、「この学校が自分の子どもに合っているか」を確認することです。
今回は、1対1の個別相談や学校見学をどのように活用すればよいのか、学校広報の立場からお伝えします。
1.個別相談で広報が「答えられること・答えられないこと」
個別相談では、学校生活、校風、行事、学習サポート、進路指導、入試制度などについて、広報担当者から比較的詳しく話を聞くことができます。
例えば、次のような質問です。
- 宿題はどのくらい出ますか
- 補習はありますか
- 先生と生徒の距離感はどのような感じですか
- 部活動と勉強を両立している生徒は多いですか
- 入試ではどのような力を見ていますか
ホームページやパンフレットには書き切れない、学校生活の具体的な部分を聞けるのが個別相談のメリットです。
一方で、広報担当者でもその場では答えられないことがあります。
代表的なのが、「この成績なら合格できますか」といった合否の確約です。入試前の段階で、個別相談の担当者が合格を保証することはできません。
また、「入学後はどの先生が担任になりますか」「このような事情がありますが、必ずこの対応をしてもらえますか」といった質問も、その場では回答できないことがあります。
ただし、個別ケースについて「分からないので答えられません」で終わるとは限りません。
私が広報を担当していたときも、その場で判断できない内容については、校内の担当者に確認し、後日保護者へ回答することがありました。
そのため、少し特殊な事情や個別の配慮について聞きたい場合も、遠慮せず相談してみてください。
その場で答えが出るかどうかだけでなく、「学校として確認してくれるか」という対応そのものも、学校を見る一つの材料になります。
2.個別相談・学校見学はいつ申し込む?
個別相談を利用するなら、まずは学校説明会が行われるタイミングがおすすめです。
多くの学校では、説明会の終了後に個別相談の時間を設けています。全体説明を聞いたうえで、「もう少し詳しく聞きたい」「わが家の場合はどうだろう」と感じたことを、その場で質問できます。
一方で、説明会の日程が合わなかったり、もっとじっくり話を聞きたかったりする場合は、学校へ直接問い合わせてみてもよいでしょう。
学校によっては、個別の学校見学を受け付けています。
私が広報を担当していた経験から言えば、個別見学を実施している学校であれば、電話で問い合わせること自体に問題はありません。
むしろ、説明会当日は多くの受験生・保護者が来校するため、一組に使える時間には限りがあります。個別見学であれば、比較的落ち着いた環境で校内を見ながら、じっくり話ができることもあります。
学校のホームページに「個別見学」と明記されていなくても、対応可能な場合があります。
- 「学校見学を希望しているのですが、個別に伺うことは可能でしょうか」
と電話で尋ねてみてください。
ただし、学校行事や定期試験などで対応できない時期もあります。学校側の都合に合わせて日程を調整することが前提です。
3.短時間の見学で一番見てほしいのは「校風」
学校見学というと、施設や設備に目が行きがちです。もちろん、教室、図書館、体育館、自習室などを見ることも大切です。
ただ、私が最も見てほしいと思うのは、学校全体の「校風」です。
例えば、次のようなところです。
- 生徒はどのような表情で過ごしているか
- 先生と生徒はどのように話しているか
- 廊下や教室はどのような雰囲気か
- 生徒同士の距離感はどうか
- 掲示物や教室にどのような特徴があるか
こうしたものを一つずつ採点する必要はありません。
一番大切なのは、見学したお子さん本人がどう感じたかです。
活気があり、元気な生徒が多い学校を「楽しそう」と感じる子もいれば、「少し疲れそう」と感じる子もいます。落ち着いた雰囲気の学校を「安心できる」と感じる子もいれば、「もっと活発な学校の方がいい」と感じる子もいるでしょう。
どちらが優れているということではありません。その学校の雰囲気と、お子さん自身の性格が合っているかどうかが重要です。
見学が終わったあとに、「どうだった?」だけで終わらせず、次のように、お子さん自身の感覚を聞いてみてください。
- 「生徒の雰囲気はどう感じた?」
- 「ここに毎日通うところを想像できる?」
- 「気になったところはあった?」
偏差値や大学合格実績だけでは分からない「合う・合わない」が、学校見学では見えてきます。
4.個別相談では「正解を聞く」より「学校の考え方を聞く」
限られた個別相談の時間を有効に使うためには、ホームページを見れば分かることより、学校の考え方が分かる質問をするのがおすすめです。
例えば、次のような質問です。
- 勉強についていけなくなった生徒には、どのように対応していますか
- 友人関係で悩んだとき、誰に相談する生徒が多いですか
- 入学後、学校生活になじめない生徒にはどのように声をかけていますか
- 先生方が大切にしていることは何ですか
こうした質問には、一つの正解があるわけではありません。だからこそ、回答の内容や話し方から、その学校が生徒をどのように見ているのかが伝わってきます。
「手厚い学校だから良い」「自主性を重視する学校だから悪い」ということでもありません。
家庭が求める教育と、学校が大切にしている教育が合っているかを見ることが重要です。
5.相談後に気になることが出てきたら、もう一度連絡していい
学校見学や個別相談が終わったあとに、「あのことも聞いておけばよかった」「子どもと話したら、新しい疑問が出てきた」ということもあります。
その場合は、無理に一度の相談ですべて解決しようとせず、再度学校へ問い合わせて構いません。
特に、前回の個別相談で学校側が確認すると話していた内容については、案内された方法に沿って連絡しましょう。
再度問い合わせる場合には、次のように伝えると、学校側も状況を把握しやすくなります。
- 「○月の説明会で個別相談をした○○です」
- 「以前、○○について相談しました」
また、秋以降に受験校を絞り込む中で疑問が出てきた場合も、改めて個別相談を利用してよいと思います。
学校選びは、一度の説明会だけで決める必要はありません。説明会、個別相談、文化祭、学校見学など、複数の機会を使いながら、少しずつ学校への理解を深めていくことをおすすめします。
個別相談は「質問する場」であり、「相性を見る場」
個別相談や学校見学では、どれだけ多くの質問ができたかが重要なのではありません。
「この学校の先生と話して安心できた」「子どもが校内を楽しそうに見ていた」「質問に対して誠実に確認してくれた」——こうした感覚も、学校選びでは大切です。
広報担当者は学校を紹介する立場ですが、その場ですべてを約束できるわけではありません。だからこそ、答えられない質問に学校がどう向き合うのかも見てほしいと思います。
学校見学では施設を見るだけではなく、その学校に自分の子どもが通っている姿を想像してみてください。
最終的に大切なのは、「良い学校か」ではなく、「この子に合う学校か」です。
夏から秋の個別相談や学校見学を、その答えを探す機会として活用してみてください。
