- 「今の学校を離れることは決めた。でも、次の学校はどう探せばいいのだろう」
- 「私立中学や私立高校は、途中からでも入れるの?」
- 「転入試験では何を見られるの?」
転校を具体的に考え始めると、こうした疑問が出てきます。
私は私立中高一貫校で教員・広報を担当し、実際に転入希望のご家庭からの問い合わせや受け入れに関わってきました。
その経験からお伝えしたいのは、私立中高の転入・編入は可能ではあるものの、通常の入試とはかなり違うということです。
「希望すればいつでも受けられる」というものではなく、募集枠、学年、転校理由、高校の場合は単位や履修状況など、さまざまな条件を確認したうえで進みます。
今回は、すでに転校を決めた、あるいは具体的に検討しているご家庭に向けて、私立中高の転入・編入がどのように行われるのかを学校現場の視点から紹介します。
1.私立中高の転入・編入は、実際どのくらい行われている?
私が勤務していた学校では、転入生の受け入れは毎年数名程度でした。
通常の中学入試や高校入試のように、多くの生徒を一度に募集するものではありません。
そもそも、学校の定員が充足していれば、転入生を募集していないこともあります。
そのため、転校先として気になる学校が見つかったら、まず確認してほしいのは、次の点です。
- 「現在、この学年で転入生を受け入れていますか?」
ホームページに転入試験の案内が出ている学校もありますが、掲載されていない場合でも、状況に応じて相談を受けているケースがあります。まずは学校へ直接問い合わせてみるのが確実です。
なお、私が勤務していた学校では、私立学校から別の私立学校への転校については、転校理由を慎重に確認していました。
当時の勤務校では、学校間の取り決めも踏まえ、いじめなどの重大な事情や一家転住といった理由を中心に受け入れていました。
ただし、この考え方や条件は学校・地域・時期によって異なります。現在の受け入れ条件については、必ず希望する学校へ直接確認してください。
2.転入の流れはどうなっている?
実際の流れは学校によって異なりますが、まずは転入希望先の学校へ問い合わせるところから始まります。
大まかには、「問い合わせ → 現在の状況や転校理由の確認 → 面談など → 転入試験 → 合否 → 手続き」という流れになることが多いでしょう。
私が勤務していた学校では、学期末に転入試験を行い、次の学期の始業式から新しい学校へ通い始めるケースが多くありました。
例えば、2学期から転入する場合には1学期末、3学期からなら2学期末というイメージです。転入する本人にとっても、学期の途中より、区切りのよいタイミングから新しい学校生活を始める方が入りやすいという面があります。
ただし、「すぐに転校したい」と思っても、希望する時期に試験が行われているとは限りません。
そのため転校を決めたら、なるべく早く学校へ問い合わせ、次の点を確認してください。
- どの学年を募集しているか
- いつ試験を行うか
- いつから転入できるか
- どのような試験・面談があるか
- 必要書類は何か
また、中高一貫校であっても、中学3年から高校1年になるタイミングは注意が必要です。
勤務校では、このタイミングは内部進学とは別に、高校入試を受験して入学する扱いとなるため、転入・編入という形ではありませんでした。
この点も学校によって制度が異なる可能性があるため、進級時期をまたぐ転校を考えている場合は早めに確認しましょう。
3.学校側は転入生の何を一番見ている?
学校側がまず重視していたのは、「なぜ転校したいのか」という転校理由です。
試験の点数だけを見て判断するわけではありません。
例えば、次のような点を確認します。
- 現在の学校で何があったのか
- なぜこの学校へ転校したいのか
- 環境を変えることで何が改善すると考えているのか
これは、転校理由の良し悪しを決めるためではありません。
学校側が気にしているのは、転入したあと、その生徒が新しい学校に馴染めるかどうかです。
仮に現在の学校で人間関係に悩んでいるのであれば、新しい学校へ移ることで状況が改善する可能性もあります。
一方で、環境を変えるだけでは解決しにくい課題がある場合、新しい学校でも同じように困ってしまうかもしれません。
だからこそ、学校側は本人や保護者の話を聞きながら、「この学校の校風に合いそうか」「クラスの中で生活できそうか」「本人は本当に転校を希望しているか」といったことを考えます。
転入試験は、単純に学力だけを見る試験ではなく、学校と本人とのミスマッチを防ぐための機会でもあると考えてください。
4.転入を検討したら、最初に何を確認するべき?
最初に確認してほしいのは、やはり募集枠があるかどうかです。
定員を満たしている学校では、そもそも転入生を募集していない場合があります。
そのため、学校の教育内容や校風を詳しく調べる前に、「現在の学年で受け入れ可能ですか?」と確認してしまった方が効率的です。
特に高校では、さらに注意が必要です。
高校は単位・履修の問題があるため、定員に空きがあったとしても転入できないことがあります。
例えば、前の学校と転入希望先でカリキュラムが大きく異なり、必要な単位を履修できない場合などです。
そのため高校の転入では、次の点を確認する必要があります。
- 現在までに履修した科目
- 修得している単位
- 転入後に必要となる科目
- 卒業までに必要な単位を満たせるか
「空きがあるから入れる」とは限らないのが、高校転入の難しいところです。
中学生の場合も、募集枠だけでなく、入学後の授業進度や使用教材、クラスへの入り方などを確認しておくとよいでしょう。
5.転入先を決めるときは「入れるか」だけでなく「馴染めるか」を見る
転校を急いでいると、「受け入れてくれる学校を早く探さなければ」という気持ちになりがちです。
もちろん、受け入れ可能な学校を見つけることは重要です。ただ、それだけで転入先を決めるのはおすすめできません。
学校側も最も気にするのは、転入後にその生徒が馴染めるかどうかです。保護者側も同じ視点を持ってほしいと思います。
可能であれば、転入試験を受ける前に学校を見学し、次の点を確認してください。
- 生徒の雰囲気
- 先生と生徒の距離感
- クラスの人数
- 授業の雰囲気
- 本人が「ここなら通えそう」と感じるか
転入生は、すでに人間関係ができているクラスの中へ途中から入っていきます。
通常の入学とは違う難しさがあるからこそ、「その学校に馴染めそうか」という視点がとても重要です。
また、転校理由についても学校側にはできるだけ正確に伝えてください。
学校にとって必要なのは、家庭を評価するための情報ではなく、入学後に本人をどう支えていくかを考えるための情報です。
転校を決めた後は、「早く次の学校へ」という気持ちだけで進めず、次の学校で本人が安心して生活できるかまで考えて選ぶことが大切です。
