小学校で不登校や行き渋りが続いているお子さんについて、「このまま中学に上がって大丈夫だろうか」と感じている保護者の方は少なくありません。その不安は、調査の数字にもはっきりと表れています。
ベネッセコーポレーションが2026年7月に発表した「不登校・行き渋り家庭の中学進学に関する実態調査」によると、不登校・行き渋り傾向のある小学4〜6年生の保護者のうち、中学進学に不安を感じている人は84.0%。進学が目前に迫る小学6年生の保護者に限ると、88.5%にのぼります※1。
ただ、この記事でお伝えしたいのは「みんな不安だから大丈夫」ということではありません。同じ調査からは、不安の中身が具体的な3つに集中していること、そして中学生の保護者の多くが「小学6年生の段階で、もっと相談や情報収集をしておけばよかった」と振り返っていることも見えてきます。
不安の中身がはっきりすれば、学校説明会や個別相談で「何を聞けばいいか」も決まります。この記事では、調査で見えた不安を、入学前に確認できる形に整理しました。
さとしん先生中学進学に不安を感じる保護者は84.0%——不安の中身は3つに集中している
まず数字を確認しておきます。この調査は、不登校状態または行き渋り傾向のある小学4〜6年生の保護者461名(うち小学6年生139名)と、小学6年生時に不登校・行き渋り傾向があった中学1〜3年生の保護者545名を対象に、2026年6月にインターネットで行われたものです※1。
中学進学に不安を感じている保護者は全体で84.0%、小学6年生の保護者では88.5%。ほとんどのご家庭が、同じ不安を抱えながら進学の時期を迎えているということになります。
注目したいのは、その不安の中身です。上位3つは次の通りでした。
- 学校の勉強についていけるか……59.9%
- クラスメイトとの人間関係をうまく築けるか……57.9%
- 中学校の雰囲気やルールになじめるか……50.8%
不安は「漠然とした心配」ではなく、学習・人間関係・校風という3つに集中しています。裏を返せば、この3つについて学校側の対応を確認できれば、不安の大部分は具体的な情報に置き換えられるということです。
「不安だから受験や進学を見送る」ではなく、「不安の中身を確認する」。この順番に切り替えるだけで、学校選びの動き方は変わります。
不安トップ3は、入学前に「確認できること」に変えられる
3つの不安を、学校説明会や個別相談で確認できる項目に置き換えてみます。
① 学校の勉強についていけるか(59.9%)
欠席が続いた期間があると、学習の抜けが気になるのは自然なことです。ただ、この不安は家庭で全部を埋めようとすると、かえって行き詰まります。学校側が入学後の遅れをどう扱うかによって、家庭で用意すべきものは変わるからです。
確認しておきたいのは、補習や個別対応の有無、進度についていけないときの相談ルート、定期テストや評価の扱い(別室での受験が可能か、欠席時の代替措置があるか)といった点です。学校によって考え方に差があるところなので、パンフレットの記載だけで判断せず、直接聞いておくと安心です。
② クラスメイトとの人間関係をうまく築けるか(57.9%)
小学校での関係につらさを感じてきた場合、この不安が一番大きいというご家庭も多いはずです。ここで確認できるのは、1クラスの人数、クラス替えの頻度、入学前に同級生と顔を合わせられる機会(入学前の行事や体験入学)、そして人間関係で困ったときに誰に相談する流れになっているか、といった点です。
あわせて、通学区域の考え方も見ておきたいところです。学区で進学先が決まる公立と、地域を越えて生徒が集まる私立とでは、顔ぶれが変わるかどうかが大きく違います。この比較については不登校の小学生の中学進学、公立と私立どちらを選ぶ?で詳しく整理しています。
③ 中学校の雰囲気やルールになじめるか(50.8%)
校則や生活面のルールは、学校ごとの差が最も出るところです。制服・頭髪などの決まりだけでなく、実際の運用——遅刻や早退がどう扱われるか、体調によって別室や保健室を使えるか、行事への参加をどこまで求められるか——を聞いておくと、入学後の見通しが立ちます。
学校説明会では、決まりの内容そのものより「決まりを守れないときにどうなるか」を聞くほうが実態がつかめます。この点は、元・私立中高一貫校の広報担当だった上田先生のコラム中学受験で、発達の特性や不登校の経験を学校にどこまで伝えるべき?もあわせてご覧ください。
学校説明会・個別相談で聞いておきたいことリスト
ここまでの3つを、そのまま持っていける形にまとめました。すべてを一度に聞く必要はありません。ご家庭にとって優先度の高いものから使ってください。
- 学習に遅れがある状態で入学した場合、補習や個別のフォローはあるか
- 授業についていけないと感じたとき、誰に相談する流れになっているか
- 定期テストを別室で受けることはできるか。欠席した場合の扱いはどうなるか
- 1クラスの人数と、クラス替えの頻度
- 入学前に学校や同級生の様子に触れられる機会(体験入学・見学)があるか
- 体調がすぐれない日に、別室や保健室で過ごすことはできるか
- 遅刻・早退・欠席が続いたとき、学校からどのように連絡が来るか
- 行事や部活動への参加は、どの程度求められるか
- スクールカウンセラーがいる曜日・頻度と、申し込みの方法
- 入学前に、小学校での様子をどこまで学校に伝えておけるか
※答えの内容そのものだけでなく、答え方にも学校の姿勢が表れます。「前例がないので分かりません」と「前例はありませんが、一緒に考えます」では、入学後の相談のしやすさが変わります。
学校ごとの受け入れ体制については、学校ガイドの学校紹介でも、取材と学校への確認を通じて一校ずつ掲載しています。
「小6のうちに動いておけばよかった」73.7%——動き出す時期
この調査でもう一つ重要なのが、すでに中学生になった子どもの保護者545名の振り返りです。「小学6年生の段階から、相談や情報収集をしておく必要があった」と答えた保護者は73.7%にのぼりました※1。
これは、実際に進学を経験した側から見た「もっと早く動けばよかった」という声です。中学進学は、私立を受験する場合はもちろん、公立に進む場合でも、入学前に確認したり引き継いだりできることが少なくありません。
時期の面でも、夏から秋にかけては学校説明会・文化祭・個別相談が集中します。小学5年生・6年生の夏は、動き出すタイミングとしては現実的です。
なお、進学直後だけでなく、夏休み明けにも登校がつらくなりやすい時期があります。あわせて夏休み明けに不登校にならないために|保護者が知るべき9月問題(まなぶてらすブログ)もご覧ください。
誰に相談する?——7割が相談し、最も多い相談先は学校の先生
同じ調査では、中学進学について誰かに相談している保護者は70.3%でした。相談先の上位は、学校の先生(60.2%)、家族・親族(46.6%)、スクールカウンセラー(33.6%)です※1。
相談先ごとに、聞けることは違います。
- 小学校の担任:今の学校での様子、中学校への引き継ぎ、出席や学習の記録の扱い
- スクールカウンセラー:本人の状態の見立て、家庭での関わり方、外部の相談先の紹介
- 進学先の候補校(説明会・個別相談):入学後の受け入れ体制、学習面の対応、相談の窓口
- 教育支援センター・自治体の相談窓口:地域の制度、公立中学への引き継ぎの進め方
「まだ何も決まっていないのに相談していいのだろうか」と迷う必要はありません。決めるために相談するのではなく、決めるための材料を集めるために相談すると考えると動きやすくなります。
さとしん先生