夏休み明けに不登校にならないために|保護者が知るべき9月問題
※本記事には「まなぶてらす」のサービス紹介が含まれます
夏休みが始まったばかりのこの時期に、9月の話をするのは早すぎると感じるかもしれません。しかし長年の相談支援の中で見えてきたのは、9月に学校へ行きづらくなるお子さんの多くが、夏休みの過ごし方の中にすでにその兆しを見せているということです。文部科学省の調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人と12年連続で増加しています。この記事では、「行き渋りが始まってからどう対応するか」ではなく、夏休みのうちに家庭でできる備えに焦点を当てて整理します。
なぜ夏休み明けに学校へ行きづらくなる子が増えるの?
夏休み明けに学校へ行きづらくなる背景には、生活リズムの変化と心理的な負担の蓄積という2つの要因が重なっています。長期休みで昼夜逆転気味になった生活を、始業式の日から急に元に戻すのは、大人が思う以上に体力を使います。
文部科学省が2025年10月に発表した令和6年度の調査によれば、小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人で、12年連続の増加となっています(出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。ただし新規に不登校となった児童生徒数は前年度から減少しており、増加のペースそのものは鈍化している点も押さえておきたいところです。
また、文部科学省は児童生徒の自殺予防に関する通知の中で、「自殺は長期休業明けの前後に増加する傾向がある」として、学校に対して見守り体制の強化を、保護者に対しては家庭での見守りと積極的な相談を呼びかけています(出典:文部科学省「児童生徒の自殺予防に係る取組について」2026年2月改訂)。
いわゆる「9月1日問題」という言葉の根拠は、内閣府が平成27年版自殺対策白書で示した過去約40年間の日別データで、9月1日に増加傾向が見られたというものです。近年の分析では実際のピークは8月下旬という指摘もあり、「9月1日だけが特別な日」と断定するより、長期休み明け前後は誰にとっても負担がかかりやすい時期だと捉えるほうが実態に近いといえます。
夏休みのうちにできる3つの備え
行き渋りが始まってから対応する記事は他にも多くありますが、この記事では夏休みが始まったばかりの今、家庭でできる備えに絞ってお伝えします。
1つ目は、生活リズムを崩しすぎないことです。起床・就寝の時刻を学校がある日と完全に同じにする必要はありませんが、朝起きる時刻だけは1〜2時間以内のズレに収めておくと、始業式前後の負担がぐっと軽くなります。
2つ目は、「話しやすい空気」を家庭に作っておくことです。「学校どう?」と直接聞くより、日常の会話の延長で気持ちを共有できる時間を意識的に作っておくと、いざというときに子どもが不安を口にしやすくなります。
3つ目は、小さな成功体験を積む機会を意識的に作ることです。夏休み中に「できた」という実感を積み重ねておくと、2学期のスタートに向けた心理的な余力が生まれます。勉強に限らず、家事の手伝いや趣味の取り組みでも構いません。
こんなサインが見えたら、少し気にかけてあげてください
以下のようなサインが複数重なって見られる場合は、無理に励ますより、まず話を聞く時間を増やすことをおすすめします。いずれも「決めつけ」ではなく「気にかけるきっかけ」として捉えてください。
身体面では、朝の頭痛・腹痛・倦怠感が続く様子。行動面では、持ち物の準備を先延ばしにする、学校の話題を避けるといった変化。生活面では、就寝時刻がどんどん遅くなる、ゲームやスマホの時間が急に増えるといった様子です。一つだけなら誰にでもある変化ですが、複数が同時に、しかも数日以上続く場合は、お子さんなりのSOSである可能性があります。
万が一9月に行き渋ったら、まず知っておきたい相談先
備えていても、行き渋りが始まることはあります。そのときに慌てないよう、相談先を今のうちに知っておくと安心です。学校のスクールカウンセラー、教育支援センター(適応指導教室)、フリースクールなど、学校以外にも複数の選択肢があります。すでに行き渋りが始まっている場合の具体的な対応方法は夏休み明けの不登校への対応方法で詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。
学校以外の学習支援制度を広く知りたい方は学校以外の学習支援制度と活用法も参考になります。24時間対応の相談窓口として「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)も覚えておいてください。
保護者自身も、一人で抱え込まないでください
子どもを支えるための備えをお伝えしてきましたが、保護者自身が孤立しないことも同じくらい大切です。学校というつながりから離れると、それまで自然にできていた保護者同士の交流の機会も一緒に失われ、一人で抱え込んでしまうケースが少なくありません。
文部科学省は、都道府県ごとの地域の相談窓口をまとめた不登校に関する地元の相談窓口を公開しています。お住まいの地域にどんな窓口があるか、一度確認しておくと安心です。
近年は「不登校離職」という言葉が使われるようになるほど、保護者の負担も社会的な課題として認識されつつあります。看護休暇の対象に不登校を含める企業も出てきており、家庭だけで抱え込まなくていい環境が少しずつ整い始めています。
まなぶてらすの講師の中には、お子さんの指導だけでなく、保護者の方からの相談に乗ってきた先生も多くいます。親がホッとできる時間を持てることは、子どもの安心にもつながります。お子さんの学習だけでなく、保護者ご自身が話を聞いてもらう場としてまなぶてらすを活用するのも、選択肢の一つです。
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よくある質問
Q. 9月1日は本当に危険な日なのですか?
過去の統計で長期休み明け前後に増加傾向が見られるのは事実ですが、9月1日だけが特別というより、長期休み明け全般が負担のかかりやすい時期だと捉えるほうが実態に近いといえます。特定の日だけを過度に意識する必要はありません。
Q. 夏休み中に生活リズムはどのくらい整えればいいですか?
完全に学校がある日と同じにする必要はありません。起床時刻を1〜2時間以内のズレに収めておくだけでも、始業式前後の負担は大きく変わります。
Q. 子どもが学校の話題を避けるのは心配なサインですか?
それだけで判断はできませんが、身体症状や生活リズムの乱れと同時に見られる場合は、気にかけるきっかけにしてください。無理に聞き出そうとせず、話しやすい雰囲気を作ることを優先しましょう。
Q. すでに行き渋りが始まっている場合はどうすればいいですか?
この記事は夏休み中の備えに焦点を当てていますが、すでに行き渋りが始まっている場合の対応方法は夏休み明けの不登校への対応方法で詳しく解説しています。
Q. 学校以外にどんな相談先がありますか?
学校のスクールカウンセラー、教育支援センター、フリースクール、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)などがあります。一人で抱え込まず、複数の窓口を知っておくことが安心につながります。
まとめ
9月に学校へ行きづらくなるお子さんが増えるのは、決して珍しいことではありません。大切なのは、夏休みのうちに生活リズム・話しやすい空気・小さな成功体験という3つの備えをしておくことです。それでも行き渋りが始まったときは、一人で抱え込まず、学校以外の相談先も含めて頼ってみてください。
この記事の著者
この記事の監修者
佐藤信一(さとしん先生)
教育心理学修士・不登校支援歴20年
国際基督教大学(ICU)大学院教育心理学修士課程修了。25年以上の英語指導経験に加え、20年にわたり不登校の子ども・保護者の相談支援に携わっています。現在もフリースクール職員として現場でサポートを続けながら、約350人の不登校生とその保護者への相談・情報提供の実績を持ちます。




