講師ブログ

過去と未来をつなぐ指導法

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まなぶてらす講師のYumiです。

算数・数学を指導させて戴いて40年が過ぎました。

いつも指導するときに心掛けて来たことを、「過去と未来をつなぐ指導法」という少し固いテーマですが、お話させてください。

算数・数学の学びは「ブロック」の積み重ねによく例えられています。

確かに立体的に表現すると、下の段からブロックを少しずつ積み上げていくこの例えは素晴らしく当たっていると思います。

これまで指導させて戴いて来て、私が算数・数学教育に思い描けたイメージは、その子ひとりひとりの過去から未来に無限に伸びる一直線です。積み上げていくブロックとは異なるイメージですね。

お子様お一人お一人には、お一人に1つずつ算数・数学という無限の可能性が内在していて、内在しているものはその子の人生にとても関わってみたり、遠ざかったりもしますし、とても必要になったりさほど必要でもなくなったりもします。

必要最小限、定規でメモリを読んだり計ったり、お買い物に行ってお釣りの計算が出来たり、カレンダーや時計が読めたり出来るようになると、そのお子様の暮らしは確実に広がり、興味の分野が増します。

ところが自然な流れとして学年が上がっていくと、「算数・数学」の名のもとに複雑な計算や難解な文章題を解かなければならなくなります。

生活に密着してすぐに役立つ算数・数学の分野からどんどん発展していくと、生活からは縁遠くなってしまって、「これを解いて何の役に立つのだろう?」「こんなにむずかしい問題を学ぶ意義って何だろう?」と拒否反応を示すお子様・生徒様が増えていくのもこの時期からかもしれません。

(片や、「算数・数学って面白い!」と夢中になって問題に取り組むお子様・生徒様が増えて来るのもこの時期のようです。)

そのマイナスの現象を表面的に見る、心ない大人は、子供たちを十把一絡げに「算数・数学の苦手な子、向いていない子」とまとめてレッテルを貼ってしまいがちです。

でも本当にそうなのでしょうか。

私は、どの子供様にも、算数・数学のピカピカ光る才能が公平に内在していると何度も思える体験を致しました。今回もその中のお二人をご紹介させていただこうと思います。

その前に、比較的に多くみられる興味深い現象をお話します。

算数・数学につまずいた子供達に必要なのは、これまで「算数・数学の道」を歩いて来た歩みをいったん立ち止まって「考えること」と、つまずく前に少しはうれしい気持ちで問題を解いていた頃に戻ってみる「勇気」です。

でも、これは簡単なことではありません。学校の授業は、わからないまま前へ前へと進んで行きますし、子どもたちの生活全体から見れば算数・数学がしめる割合は少ないからです。子どもたちには毎日しないといけないことが沢山ありますから、そうそう算数・数学にかかってはいられない事情もあるのです。そしてテストの結果を見るたびに『算数・数学をなんとかしないと!』と親も子も焦燥感を持つものの、家庭教師や塾の先生を探し始める時には、もうかなり重症の「算数・数学キライ!っ子さん」が出来上がっています。このような現象です。

ある時、高校3年生のお姉さんと中学3年生の妹さんの数学を見てほしいとお母様が6月頃に来られました。

お母様がおっしゃるにはお姉さんは「高校数学のほぼ全部を欠点すれすれで過ごして来たけれども、高校3年生になってから、これでは数学のせいで卒業することが難しくなって来た」とのことです。

妹さんの方は、通学していた神戸の中学校と馴染めなくて、高校は、片道2時間近くかかっても隣の県の大阪市に通いたい私学の高校がおありとの希望でした。

それから毎週、自動車運転免許を取ったばかりの、その子達のお兄さんが車の送迎をして、姉妹がうちにやって来られました。静かな姉妹が二人で仲良く肩を並べて解き始めたのは小学2年生の九九からでした。

教育熱心なお母様が3兄妹を前に毎日何回も九九を唱えるように指導されたそうです。ですから姉妹二人ともスラスラと九九を唱えられるのですが、どうもそれが計算に反映されない、それはどうしてなのかな?と、姉妹に尋ねたところ、お二人とも、唱えて来た「九九が、算数のどの部分に使用されているのかわからない」と、おっしゃいました。

それで小学2年生のかけ算のドリルから始めていただいた訳ですが、九九の意味、九九の使い道、九九とは何かを理解出来たあとは、見違えるほど算数に意欲を示されるようになりました。

もちろんかけ算が面白くなると、わり算も面白くなり、分数が分かると、解ける問題が増えて来ます。

すると小数でつまずきはあったものの、今度は自分で分かるまで考えようという意欲が出てきて、ご自分たちで「小数」という彼女たちの道の前に置かれた障害物を乗り越えられました。

中学3年生、高校3年生までそれぞれ、算数・数学の道を歩んできた彼女たちが、小学校の九九に立ち返るには、謙遜な気持ちや勇気が要ったと思います。

でも思いきって立ち返った結果、つまずきの石になっていた九九や、小数を乗り越えられました。

10月頃、姉妹二人とも「中学数学」が解けるようになられた頃に、4か月間の感想をお聴きしたことがあります。

一番苦しかったのは、「小学2年、3年、4年…の算数は解けるようになってきても、目の前の学校の授業は全然分からない、相変わらずテストは欠点のままという時だった(姉)」「そんなときとても焦ってきて、本当に高校数学まで追いつく時が来るのだろうかと不安だった(姉)」「当面の中学校の授業が何も分からない間は苦しかった(妹)」と言っておられました。

「その気持ちはとてもよく理解できるよ、もし数学がブロックを上へ上へと積み上げるようなものであれば基礎がグラグラしていたら上にブロックは積み上げられないよね。だけど見方を変えて、数学は1本の道で、そこを歩いて来たけれども、歩いているうちに転んでけがをして、治療しないまま歩き続けて来たとしたら、どうなるかな?」とお聴きすると、「立ち止まって治療してまた歩き続けると思う」「何につまずいたのかつまずいた石を見に、戻ると思う」と答えてくださいました。

「基礎があやふやなブロックを積み上げる作業であれば上へ上へと積み上げると、ブロックが崩れてきて致命傷を負うかも知れないけれど、数学で致命傷を負うことはないから安心して。ただ歩いてきた道を少し戻ればやり直せるから不安に思わなくていいよ❗」と私はただそばで応援を送るだけで、彼女たちが、諦めることなく一生懸命数学の問題を解き続けてくださいました。

立ち止まって、立ち返って算数から始める学習は、たちどころに効果が見える容易い学びではありません。

とても時間がかかる地道な学びです。

でも将来に目標やしたいことがあれば、そして「立ち返る」ことの意味と意義が分かれば、子供たちお一人お一人に内在してピカピカ光っている数学力が引き出されて、ご自分の数学の道を歩いて行かれます。まるで速歩のように。

沿道で速歩の選手に応援して声かけするように、お子様を励ますことが、振り返ると私の「算数・数学」講師の御仕事だったと思っています。

子供たちは、振り返ることが出来れば、いずれ、今の算数・数学に追い付きます。すると今度は学年を超えての数学を解く子達も出てきます。すると今度は過去から将来に視点を変えて、応援することになります。

過去から将来につながる算数・数学指導法によって、ご紹介した姉妹は、無事高校、中学校を卒業されて、それぞれの目標を果たされました。

算数・数学を通しての関わりは、そのような一時的な関わりですけれども、「過去と未来をつなぐ」学習は、その後の人生という道を子供たちが歩くときに、何かのヒントになるかも知れないと思っています。

算数・数学でつまずいてしまった感を御持ちのお子様、親御様、ほんの少し歩みを止めて、このようなことを御一考くださればうれしく思います。お読み戴いて、ありがとうございました。

まなぶてらすにて算数・数学とアートの指導を行っております。数学が苦手で困っておられる生徒さん、勉強に自信を持ちたい生徒さん、そんな方の力になれたらと考えております。私のプロフィール等は下記URLよりご覧下さいませ。


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