講師ブログ

「公立中高一貫校」だけの受験は危険!?わが家の経済的進学論

講師のくろまるです。

「公立中高一貫校」…とても魅力的な学校です。

特に2011年の「白鷗ショック」(都立白鷗中・高の初めての卒業生が4-5名東大に合格した)以降の人気、そしてご家庭からの要望はすさまじく、都内にも公立中高一貫校対策の塾が乱立しました。私自身は白鷗中ができた当初から適性検査対策の指導をしはじめ、最終的には塾内テキストをつくったり、選抜クラスを作って指導させていただいたり…なんてことをしていました。地域密着塾に移ってからもやはり「公立中高一貫校」については例年ご相談をいただいていました。

1.公立中高一貫校だけを志望校にしてはいけない理由

わが子の受験を考えたとき、「公立中高一貫校」を選択されるご家庭やお子様と多数ご面談をさせていただきました。その際に多かったのが「公立中高一貫校のみを受検したい、私立は全く考えておらず公立中でよい」というご要望です。突き詰めて聞いていくと問題になるのは「経済面」。私立中は学費はもちろん、修学旅行やイベントなどで多額のお金がかかるというのがその一番の理由です。

 修学旅行がオーストラリアという生徒さんも…うらやましい。

最終的にお子様の進路を決定するのは本人とご家庭というのはやはりそうなのですが、私は必ず確認するのは「落ちた時の覚悟」です。そもそも公立中高一貫校は1校しか受けることができないうえに5~10倍の高倍率。公立中高一貫校に強いといわれる学習塾でも合格率は高くて50%、大体は20%程度です。私立入試と違い、出題傾向が一定でない公立中高一貫校は、出題がお子様の得意としている分野なのかという、そして現場での発想力や思考力が求められます。模試でA判定(全国1位)をとったとしても落ちるが、B~D判定でも合格するということがあり得ます。公立中高一貫校だけを受検して不合格になり公立中に進学した場合、終わったことは仕方ないと吹っ切れてまた新たにスタートを切れるお子さんならば問題ありませんが、そのようにメンタルが強いお子様は残念ながら多くはありません。ご家族への愛が深いお子さんほど「お金を払ってもらって塾に通ってまで勉強してたのに受験失敗した」という事実がずっと尾を引きずって自尊感情を落とし、また時には周囲からも陰口を言われることも珍しくありません。結果的に高校受験の時に「勉強しても私は落ちる」と思い、安全で本人の実力には見合わない高校へ進学するということも珍しくないのです。また、公立高校受験の場合は内申点が大きく作用します。上位校に行きたいと思えば国語・数学・理科・社会・英語のみならず美術や家庭科など実技科目を含め9科すべてで5段階評価の4以上が必要。しかも入試でも得点しなければならない…。高校受験はいわばマラソンのようで、中学受験とはまた違った大変さがあります

2.「中学受験合格」を勝ち取る成功体験を!

地元の中学に進学したくない、でも経済的に難しい。そのような場合、私がまず勧めるのは「進学しなくてもよいから、公立中高一貫校入試本番に向けて私立も受けてみては?」ということです。私立中学入試では753(7校出願・5校受験・3校合格)というセオリーがあるのですが、試験本番の環境に慣れていつも通り(またはそれ以上の)力を発揮するためにも、また少年漫画にありがちな設定ですが「戦っている最中に驚異的に成長する」ということが受験ではよくありえます。なので第1志望校の前にいくつか受験を経験すること(併願校選び)はとても重要なことなのです。私立中の中には「適性検査型入試」といい、適性検査を模した問題で入試を行ってくれる学校も、2019年現在で首都圏だけでも150校近くあり、共立女子や品川女学院、足立学園や安田学園、あるいは立教池袋や日大豊山女子のような大学付属校でも行っています。こうした学校を一度受検することで「自分は中学受験で合格したという具体的な実感」をもたせてあげると、胸を張って「私は中学受験で成功はしたけど、難関公立高を目指して頑張るんだ!」という強い動機付けにもなるのです。

3.「特待生」という選択肢

そしてより現実的な選択肢としてあげられるのが特待生制度です。都内でいえば安田学園や足立学園(特奨)、また桜丘などは積極的に特待生の受け入れを行っています。中には特待生をかかげていなくても学校から「特待生としてきませんか?」とお誘いがあることも…。特待生は入学金が無償になったり、中には授業料まで無償だったりと様々な特典があります。もちろん、内部でも引き続き頑張って特待生としての資格を維持できるよう、努力をし続けることは必要ですが、地元の中学には進学したくない。よりよい環境で勉強したい、よい大学へ進学したいという強い動機があるのならば、選択肢になりえるのではないでしょうか。中には公立中高一貫校に合格したものの、合格した私立中の面倒見の良さと進学実績、環境面を考慮して最終的に私立中を選択された方もいらっしゃいます。例えば大学付属校であれば、入学後一定程度の成績をとればそのまま大学まで進学できる学校も数多くあります。

4.「公立中高一貫校に合格するために」

いろいろと説明してきましたが、一番良いのが「公立中高一貫校」に合格するということです。そのために必要なのは「日ごろからロジカルに物事を考えるトレーニング」「解く速度を上げる」また、公立中高一貫校も最近は歴史が出題されるなど私立受験に傾向が似通ってきているため「各科目の基礎知識」、また入試本番に備えて「捨て問や時間配分を決めて、模試でトレーニングする」ことが必要です。これらについてはまた別の機会にお話しします。

 

ご拝読ありがとうございました。

ABOUT ME
くろまる
塾講師歴15年からオンライン家庭教師の世界へ。大手進学塾では教務部主任として公立中高一貫校対策のテキスト執筆・外部模試作成・選抜クラス指導などを行う。その後地域密着塾へ移り、成績オール1から偏差値65オーバーまで幅広く指導を担当。模試で0点から上位校までおまかせください!趣味は航空機撮影。