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ペルセウス座流星を観察しよう!流星群の仕組みと観察方法

まなぶてらす講師の「うえむら」です.ようやく梅雨が明けて,暑い夏がやってきました.コロナ禍でいつもと少し違う夏休み.家や近所から流れ星を探してみてはいかがでしょう.今回は,夏休みの定番であるペルセウス流星群について,どうやって観察するとよいのか,流星群はどのようにして起こるのかについてまとめました.流れ星は,望遠鏡のような特別なものは要りません.時間があれば,少しだけ夜空を見上げてみてはいかがでしょうか.

山梨県清里高原で撮影した北の空の動き

 

ペルセウス流星群はいつ見れるの?

流星群の中でも流星の数が多いことで知られるペルセウス流星群は,お盆や夏休みの時期と重なるため,家族でも楽しみやすい流星群といえます.今年の極大期(最も流星数が多いとき)は,812日(水)の22時頃です.予想されている流星の数は1時間当たり40個程度で,21頃から早朝までが多くなると考えられています.皆既日食などのように,見られる地域が限られていませんので,日本中どこでも見ることができます.

でも,12日の夜は予定があるという方もいると思います.そんな方は,数は少なくなりますが,その前後でも見ることができることを知っておりてください.もちろん規模は小さくなりますが,11日夜から13日夜が普段より多くの流星が見られる期間です.実は,一般的な出現期間は717日から824日で,すでにその期間に入っています.そういう意味では,機会があれば,夜空を見上げてみるとよいのです.

 

観察のポイントを解説

では,次に観察方法です.ポイントは以下の通りです.

  1. 放射点を中心にできるだけ広く見渡そう
  2. 人工の明かりをできるだけ避け目を慣らそう
  3. 首が疲れないように快適な体勢と環境で
  4. できるだけ極大期に近い時期で,月を避けよう

です.以下に説明と補足です.

【1について】

流星は放射点と呼ばれる点から四方八方に流れます.放射点は高い方が流星が見やすいので,12日であれば,夕方,地平線近くにある放射点が,明け方にかけて徐々に高くなっていくので,真夜中頃から明け方までがベストです.でも,そこまで起きていられない方や,流れ星が1つでも見られれば良い方は,空が十分暗くなって夕食も終えてそうな,21時前後から見上げてみるのも良いかもしれません.できるだけ視界の開けているところで,放射点から広く見るのがベストですが,ベランダや部屋からという人もできるだけ広く夜空を見上げてみてはいかがでしょうか.ちなみに放射点の位置については,以下のサイトのようにインターネットで調べてみてください.

  (参考)放射点の位置を調べるサイト:
国立天文台暦計算室:https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/skymap.cgi

 

 

【2について】

星空を眺めるときに,意外とできていないのが目を慣らすことです.実際は,街灯があったり,懐中電灯やスマホの光を見てしまうことが多いので,目の感度が悪いまま,星空を見ていることが多いです.夜中に目が覚めた時,真っ暗なはずの部屋はどうでしょうか.電気をつけてトイレに行った後,帰ってきた部屋は目覚めた時より暗く見えませんか?目が暗さになれていると,思っている以上に星は見えます.できれば30分くらいは強い光を避けましょう.ベランダや部屋から見るときは部屋の灯りを落としてもらうと,雰囲気も良くより観察しやすくなります.

【3について】

流星を探すときには,ある程度,夜空を眺め続けることになります.ということは,首をずっと上に向けているので疲れます.公園や郊外へ行って視界の広いところで寝転んでみるのがベストです.他にも,空気枕を準備したり背もたれのある椅子に座ったり,楽な姿勢で見る方が良いでしょう.夏ですから虫よけスプレーや長袖も準備しましょう.

【4について】

極大期に近いのはわかりやすいと思いますが,月が意外と邪魔な存在です.月があると空が明るくなり,せっかく流れ星が流れても暗めの流れ星は見えない可能性があります.ただし,流星群の極大期と月の位置は,タイミングの問題になるので仕方ありません.恒星や惑星も月が出ている時間は観察しにくいわけです.今回は,月の満ち欠けとのタイミングとしては新月に比べやや適さないのですが,それでも月をできるだけ避けて観察しましょう.

 

流星群が起こる理由

さて,宇宙に興味がある方のために,少し仕組みについて触れます.流れ星は,宇宙にある直径1mmから数cm程度のチリが地球に飛び込み,大気と衝突して光っています.「流星」が「群」になるのは,チリが多いところを地球が通りかかるからです.では,なぜ多いのでしょう.それは宇宙のはるか遠くからやってくる彗星(すいせい)が関係しています.いわゆる「ほうき星」です.この彗星の通り道には,彗星が残していったチリが多く分布しています.下の図のように,彗星の軌道上はチリがたくさん残されていて,地球の通り道と交差するところでは,地球がチリに突っ込むことになります.そうすると,普段より多くのチリが地球に飛び込んできて,多くの流れ星が見られる=流星群が起こるということです.放射点から四方八方に流れ星が放射するのはそのためです.

引用:国立天文台ホームページ
https://www.nao.ac.jp/astro/basic/meteor-shower.html

 

ペルセウス座流星群の原因となるチリは,スイフト・タットル彗星という彗星によるものです.この彗星はおよそ130年の周期で太陽の周りを公転します.130年で一周です.宇宙が好きな人には,普段より多くの流れ星を見てもらい,それがはるか遠くから130年もかけてやってくるチリによる流れ星であることを感じてもらえば,地球に居ながらも宇宙の壮大さが感じられるのではないでしょうか.

ABOUT ME
うえむら
まなぶてらす講師 うえむら 大学・大学院で地学(地球科学)を専攻し,水循環などを研究する水文学,特に地下水の研究を行いました.そのフィールドは,熊本,大阪,駿河湾,黒部川扇状地,琵琶湖,さらには,南極観測まで参加させてもらいました.その後,13年間,中高教員として地学を中心に指導.現在,児童福祉関係のNPOに勤務しながら,教科書・教材編集やオンライン家庭教師を中心に教育にも関わっています.地球や宇宙,自然一般の話が好きで,受験や定期試験対策以外にも,広く教養や興味関心を育てる指導できればと思っています.