こんにちは。まなぶてらす講師のあかりです。

会話はペラペラなのに、なぜか国語の成績が伸びない——。

帰国子女のお子さんをお持ちの保護者の方から、そんなご相談をよくいただきます。

「英語はネイティブ並みなのに、日本語の読解が苦手で…」 「作文を書かせてみると、なんだか内容がバラバラで…」

実はこれ、とてももったいない状況なんです。帰国子女のお子さんは、すでに「複数の言語で考える力」という最強の武器を持っています。ただ、その力を国語の学習に活かすための”つなぎ方”を知らないだけなのです。

指導歴25年以上、2000人以上の生徒を見てきた経験から、帰国子女の子がつまずきやすい「もったいないポイント」を3つに絞ってお伝えします。

① 「読める」と「読めている」は全然ちがう—行間を読む文化

帰国子女のお子さんの多くは、ひらがな・カタカナ・かんたんな漢字であれば声に出して読むことができます。でも「読める(音読できる)」と「読めている(内容を理解している)」は、まったくの別物です。

日本語の文章、特に国語の入試問題には「行間を読む」ことが求められる場面がたくさんあります。登場人物の気持ちが直接書かれていなかったり、筆者の主張が遠回しな言い方になっていたり。これは日本独特の「察する文化」が文章にも反映されているからです。

海外での生活が長いお子さんは、「書いていないことを読む」という感覚に慣れていないことが多いです。「書いてある通りに読めばいい」と思っているために、心情を問う問題や主旨を問う問題で大きく失点してしまうのです。

対処法: 読んだあとに「主人公はなんでそうしたと思う?」と問いかける習慣をつけましょう。文章に答えは書いていないけれど、考えることが大切——その体験を積み重ねることで、行間が読めるようになっていきます。

② 語彙の「穴」が意外なところにある—授業語彙の落とし穴

「日常会話は問題ないんです」とおっしゃる保護者の方は多いです。確かに帰国子女のお子さんのコミュニケーション能力は高いことが多いんです。ところが、授業で使われる言葉——いわゆる「授業語彙」——になると、突然わからなくなることがあります。

例えば、「対比」「逆接」「象徴」「心情の変化」といった国語用語。または「〜について述べよ」「〜の理由を説明しなさい」といった問題文の指示の言葉。海外ではこれらの言葉を日本語で学ぶ機会がなかったため、テストになった途端に「何を聞かれているのかわからない」という状態になってしまいます。

日常会話では絶対に出てこない言葉が、国語の問題にはたくさん含まれているのです。

対処法: 問題を解くときに「この言葉の意味はわかる?」と確認するだけで、語彙の穴が見えてきます。意味が分からない言葉を一語一語、ノートにまとめていく地道な作業が、着実に力をつけます。

③ 実は「作文の型」は帰国子女の得意技—英語エッセイのアドバンテージ

ここは少し意外な話かもしれません。

帰国子女のお子さんに作文を書かせると、一見バラバラに見える文章になることがあります。でも実は、その子の頭の中には英語でエッセイを書くときの構成が入っていることが多いのです。

「Introduction(序論)→ Body(本論)→ Conclusion(結論)」という英語エッセイの型は、日本語の意見文の構成とほぼ同じです。「はじめに自分の意見を述べ、理由を説明して、最後にまとめる」という流れは共通しています。

日本の国語の授業では、この「文章の型」を体系的に教える機会が実はそれほど多くありません。多くの日本の子どもたちは、長年の読み書きの経験からなんとなく習得していくのです。一方で帰国子女のお子さんは、英語のエッセイ指導を通じてすでに論理構成を学んでいることがあります。

あとは「英語でやっていたことを日本語でやればいい」とひと言伝えるだけで、スイッチが入る子が多いのです。

ポイント: 「英語と同じ型だよ」と伝えることが、帰国子女のお子さんには最強のヒントになります。すでに持っている力を日本語に翻訳するだけ——そういうイメージで取り組むと、一気に文章の質が上がります。

まとめ—「違い」が武器になるとき

今回お伝えした3つのポイントを振り返ります。

  •  「読める」と「読めている」は別物。行間を読む力は、問いかけの習慣で育てられます。

  •  授業語彙の穴は意外なところに潜んでいます。地道に確認・記録することが近道です。

  •  英語エッセイで培った論理構成は、日本語の作文にそのまま活かせる強みです。

海外での経験は、国語の学習において決してマイナスではありません。むしろ「違う角度から考えられる」ということは、読解においても表現においても大きな力になります。大切なのは、その力をどう引き出すかです。

一人ひとりのつまずきの場所は違います。「どこで止まっているのか」を丁寧に見つけることが、私が大切にしてきた指導の原点です。

もし帰国子女のお子さんの国語についてお悩みのことがあれば、気軽にご相談ください。

ABOUT ME
あかり
指導歴25年以上、帰国子女受験も含む国語の先生です。 読解・記述・語彙・小論文など一人ひとりの苦手を解決します。