ディスレクシア(読字障害)の学習支援、オンラインでできることは?
「うちの子、一生懸命頑張っているのに、どうして読み書きだけがこんなに難しいんだろう……」 そんなふうに、お一人で不安を抱えてはいませんか?
実は、文部科学省の調査でも、通常のクラスに通う小中学生のうち、およそ3.5%のお子様が読み書きに何らかの難しさを感じているという結果が出ています。 その代表的なひとつが「ディスレクシア(読字障害)」と呼ばれるものですが、これは決して怠慢や努力不足ではありません。
お子様に合った「学びのツール」や「支え方」さえ見つかれば、学ぶ楽しさも、自分を信じる気持ちも、ちゃんと育んでいくことができます。
そこで今回は、ディスレクシアについての基本的なお話をはじめ、ご家庭で取り入れられるタブレットなどの活用法、学校へ配慮をお願いする際の考え方、そしてオンラインでの個別サポートでどんなお手伝いができるのかを、ひとつずつ紹介していきます。
この記事でわかること
- ディスレクシアとはどんな状態か(定義・特徴)
- 家庭でいますぐ使えるICT支援ツール4選
- 学校での合理的配慮の申請の考え方
- オンライン個別指導でできる具体的なサポートの例
ディスレクシア(読字障害)って?「怠けている」わけではありません
ディスレクシアとは、おしゃべりや考える力はしっかりしているのに、「文字を読んだり書いたりすること」だけに、とても大きなエネルギーを必要とする状態のことです。
これは、生まれつきの脳の情報の受け取り方の特性によるもので、決して「本人の努力不足」や「育て方」が原因ではありません。
どんな様子が見られるの?——得意と苦手のギャップ
ディスレクシアのお子様には、例えば次のような特徴が見られることがあります。
- 読むとき: 一文字ずつたどるように読み(逐次読み)、どこを読んでいるか分からなくなったり、行を飛ばしたりすることがあります。
- 書くとき: 文字の形を捉えるのが難しく、鏡文字を書いたり、漢字や英単語がどうしても覚えられなかったりします。
- 学校で: 黒板の文字をノートに写すのがゆっくりで、時間内に終わらないことがあります。
- 理解のしかた: 目で文章を読むのは苦手ですが、耳で話を聞けばスッと内容を理解できる場合がほとんどです。
「他のことは何でもできるのに、どうして読み書きだけ……」と周りが感じてしまうほどの得意と苦手のギャップが、本人にとって一番のもどかしさや、疲れの原因になっているのですね。
ディスレクシアは発達障害(神経発達症)のひとつに位置づけられます。知的発達には遅れがなく、会話や思考力には全く問題がない場合がほとんどです。「読み書きだけが極端に難しい」という特徴が、怠けや練習不足と誤解されやすいため、早めに特性を理解することが大切です。
「もしかして?」と思ったら——チェックリストで振り返り
もし、次のような様子がいくつか当てはまって、お子様が勉強を辛そうにしていたら、それは「助けて」のサインかもしれません。
ディスレクシア:気になる様子チェックリスト
- □ 同じ学年の子より音読が著しく遅い・詰まることが多い
- □ 教科書の行を飛ばしたり、同じ行を繰り返し読む傾向がある
- □ 漢字や英単語が覚えられず、何度書いても忘れてしまう
- □ 板書を写すのに著しく時間がかかる
- □ 話を聞くと理解できるのに、文章になると内容が頭に入らない
- □ 本読みが苦手でも、数学的な思考や工作・絵などは得意
お家で今日からできる!学習を助ける「4つの便利ツール」
読み書きの難しさを無理に「ゼロ」にする必要はありません。大切なのは、便利な道具を使いこなして、お子様が「これなら自分にもできる!」という自信を持てるようになることです。
特別なソフトを買わなくても、今あるスマホやタブレットで試せる方法をご紹介します。
①「耳」で読む:音声読み上げ機能
Microsoft のイマーシブリーダー(Edge ブラウザ・OneNote・Teams 等に内蔵)は、テキストを大きな文字で表示しながら音声で読み上げてくれる機能です。
読んでいる単語をハイライト表示するので、どこを読んでいるかが一目でわかります。Google Chrome でも音声読み上げ拡張機能が使えます。
使い方のヒント:教科書やプリントを写真に撮り、OCR(文字認識)アプリでテキスト化してから読み上げに使う、という組み合わせが便利です。
②書く代わりに「パシャリ」:写真でノート記録
板書を書き写すことに多くのエネルギーを使ってしまい、授業内容が頭に入らないケースは少なくありません。学校と相談のうえで許可を得られれば、黒板・ホワイトボードをタブレットで撮影することで、書き写しの負担を大幅に減らせます。
家庭学習でも、問題文や解説を音声入力・カメラ撮影で処理できるよう環境を整えると、お子さんが「勉強できた」という達成感を感じやすくなります。
③文字を「見やすく」変える:UDフォントと拡大
UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)は、文字同士の混同が起きにくいよう設計されたフォントです。特に「は」と「ほ」、「わ」と「ね」など形が似た文字の識別が難しい子どもに効果的なことがあります。無料で利用できるものも多く、Word・iPad の設定から変更できます。
あわせて文字サイズを大きくし、行間を広めに設定すると、読みやすさが向上する傾向があります。
④迷子にならない工夫:リーディングスラッガー
リーディングスラッガーは、読んでいる行だけを切り出して見せる補助具です。厚紙や定規でも代用でき、行の飛ばし読みや同じ行の繰り返しを防ぐのに役立ちます。
シンプルな道具ですが、「今どこを読んでいるか」が分かるだけで集中しやすくなるお子さんもいます。
学校での「合理的配慮」お子様にぴったりの学び方を一緒に作る
「合理的配慮」という少し硬い言葉がありますが、これは「お子様の得意・不得意に合わせて、学校のルールを少し柔軟に変えてもらうこと」だと考えてください。
2016年に法律(障害者差別解消法)が施行され、今では公立学校でこうした配慮を行うことは、学校側の義務となっています。私立学校でも、できる限りの協力をすることが求められています。
例えば、こんなサポートをお願いできます
ディスレクシアのお子様の場合、実際には以下のような工夫が取り入れられています。
- 授業で: みんなの前での音読を控えたり、デジタル教科書で音声を聴きながら学んだりする。
- ノートで: 黒板を写す代わりにタブレットで写真を撮る。
- テストで: 時間を少し延ばしてもらったり、読み上げや別室での受験を検討したりする。
- 教材で: 漢字にフリガナを振ったプリントや、大きな文字の教科書を使う。
これらは決して「甘え」ではなく、お子様の力を正しく発揮するための「大切な準備」なのです。
配慮の内容はお子さんの状態によって異なります。「すべての配慮が必ず認められる」わけではなく、学校と保護者が話し合い、合意のうえで決定するプロセスが必要です。
相談からスタートまでの3ステップ
- まず担任または特別支援コーディネーターに相談
「読み書きに困難があり、学校生活で支障が出ている」と伝えます。記録に残るようメモや連絡帳を使うと安心です。 - 医療・専門機関での評価を検討
発達障害の専門医や心理士による検査(WISC等)を受けると、お子さんの特性が明確になり、学校との交渉もスムーズになる傾向があります。 - 学校と具体的な配慮内容を合意
何を・どのように・どの授業で行うかを書面で確認しておくと安心です。
困った時の相談窓口
学校の先生以外にも、力になってくれる場所はたくさんあります。
- 地域の教育相談センター
- 発達障害者支援センター(DASC)
- かかりつけの小児科
オンラインの個別指導って、うちの子に合っているの?
結論からいえば、オンライン家庭教師はディスレクシアのお子さんの学習支援にも有効な選択肢のひとつです。むしろオンラインならではの強みがいくつかあります。
1. ツールの使い方が「自分のもの」になりやすい
オンライン指導では、先生とお子様が同じ画面を共有します。
- 一緒に操作: 「このボタンを押すと読み上げてくれるよ」と、先生と一緒に設定を触ることで、音声読み上げやフォント調整のコツを自然に覚えられます。
- そのまま自習へ: 先生と使ったそのPCやタブレットで、授業のあともそのまま自分ひとりで勉強を続けられるのが大きな強みです。
2. 「いつもの場所」で、ストレスなく学べる
場所が変わると緊張してしまったり、移動だけで疲れてしまったりするお子様もいらっしゃいますよね。
- 安心できる環境: 慣れ親しんだ自分の部屋やリビングなら、リラックスして先生とお話しできます。
- 全国から選べる: 近所に専門の先生がいなくても、オンラインなら「特性に詳しいプロ」と繋がることができます。毎週同じ先生が画面越しに笑顔で待っていてくれる安心感は、お子様の自信に繋がります。
3. お子様にぴったりの「相棒」が見つかる
塾や学校では先生を選べませんが、オンラインならプロフィールや口コミを参考に、納得のいく先生を探せます。
- 「特別支援学級の先生をしていた方」
- 「発達障害の専門資格を持っている方」
- 「お子様の好きなことに寄り添ってくれる方」 お子様の性格や特性をしっかり理解してくれる「最高の味方」を、じっくり選んであげてくださいね。
学習のつらさを知っているお子様にとって、「わかってもらえる」「できた!」という経験は何よりの薬になります。オンラインという新しい窓を開けて、お子様の可能性を広げてみませんか?
「まなぶてらす」だからできる、お子様に合わせたオーダーメイドの支え方
「まなぶてらす」には、発達障害や学習障害(LD)、そしてグレーゾーンのお子様と歩んできた経験豊富な講師が多数在籍しています。ただ勉強を教えるだけでなく、お子様の心と特性に合わせた「学びのパートナー」として伴走します。

まる子 先生
京都大学大学院医学研究科修了・看護師・保健師免許取得。不登校や勉強に苦手意識を持つお子さんへの支援に注力。一人ひとりの悩みや生活面にも寄り添う、まなぶてらすの「保健室の先生」的な存在です。

おざき 先生
特別支援学級担任の経験を持つ元小学校教師。発達障害・グレーゾーン・勉強が苦手なお子さんを専門に指導。一人ひとりの困り感に合わせたオーダーメイドの授業で、「できた!」の体験を積み重ねます。
まとめ:「普通の塾に断られた」で終わりにしない
ディスレクシアは、本人の怠けでも、育て方の問題でもありません。脳の発達特性によるもので、適切なツールとサポートがあれば、お子さんの学びは着実に広がっていく可能性があります。
この記事のまとめ
- ディスレクシアは読み書きに特化した学習困難。知的発達には遅れがないケースが多い
- 音声読み上げ・タブレット・UDフォント・リーディングスラッガーなどICTツールが有効
- 学校には合理的配慮を申請できる(担任 or 特別支援コーディネーターに相談)
- オンライン家庭教師なら、地方でも自宅でも、特性を理解した先生と継続的に学べる
「まだ診断は受けていないけれど、気になっている」という段階でも、支援は始められます。チェックリストに複数当てはまるようであれば、まずは体験レッスンで講師に相談してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q.ディスレクシアの子どもにはどんなオンライン学習支援ができますか?
音声読み上げの使い方を一緒に練習したり、画面共有でUDフォント設定を確認したりと、ICTツールを活用した指導がオンラインで可能です。特性を理解した講師が1対1でペースに合わせて指導するため、学習習慣の定着にも効果的です。
Q.ディスレクシアとは何ですか?発達障害とはどう違うのですか?
ディスレクシア(読字障害)は発達障害のひとつです。知的発達には遅れがなく、読み書きの処理に特有の困難がある状態を指します。ADHDやASD(自閉スペクトラム症)と併存するケースもありますが、ディスレクシア単独の場合も多くあります。
Q.ディスレクシアの子どもに合う家庭教師はどうやって選べばいいですか?
発達障害・特別支援の指導経験があるかどうかをプロフィールで確認し、初回の体験レッスンでお子さんとの相性を確認するのがおすすめです。まなぶてらすでは、特性に対応した講師をプロフィールと口コミで比較しながら選べます。
Q.学校でディスレクシアの合理的配慮を受けるにはどうすればいいですか?
まず担任の先生または学校の特別支援コーディネーターに相談するのが第一歩です。必要に応じて発達専門医や心理士による評価を行い、評価結果をもとに学校と具体的な配慮内容を話し合います。配慮の例としては、テスト時間の延長・音読免除・タブレット使用許可などがあります。
Q.地方に住んでいてもディスレクシアの子の学習支援を受けられますか?
オンライン家庭教師であれば、全国どこからでも、発達障害の指導経験がある講師のレッスンを受けられます。自宅という安心できる環境で、毎週同じ先生と継続して学べるため、環境の変化が苦手なお子さんにとっても大きなメリットです。
Q. 診断を受けていなくても相談・利用できますか?
はい、診断書がなくてもご利用いただけます。「ディスレクシアかもしれない」「読み書きに著しい困難がある」という段階でも、まなぶてらすではお子さんの様子をヒアリングしながら対応できる講師を選ぶことが可能です。診断の有無より「今どんな困りごとがあるか」を体験レッスンで講師に直接伝えてみてください。
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参考文献
- 文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(2022年)
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2022/1421569_00005.htm - 国立成育医療研究センター「ディスレクシアの指導・支援」https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/dyslexia_sien.html
- 文部科学省「合理的配慮の提供について」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1297380.htm
この記事の著者
まなぶてらす編集部
「まなぶてらす」は、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスです。一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばし、お子さまの強みを育てることを大切にしています。学びに関する最新情報や、家庭学習に役立つ知識をお届けします。
この記事の監修者
るか先生(伊藤 陽香)
臨床心理士・公認心理師
臨床心理士(10年目)・公認心理師(第1回国家試験合格)。スクールカウンセラーとして小中高19校で勤務し、発達障害・不登校の児童生徒へのカウンセリングや保護者相談を多数実施。精神科病院での心理検査、放課後等デイサービスでの個別療育の経験も持つ。愛知淑徳大学大学院心理学研究科修了。

