【タイプ別】ADHDの勉強法は「不注意型・多動型」で違う!親子に最適な取り組み方
ADHDのお子さんが「集中できない」「すぐ立ち歩く」「忘れ物が多い」といった様子を見せるとき、それは怠けや努力不足ではありません。脳の働き方の特性によるものです。
文部科学省の調査(2022年度)では、通常学級に在籍する小中学生のうち、学習面・行動面で何らかの困難を示す子が推定8.8%とされています。ADHDはその中で一定の割合を占めており、適切なサポートによって学習を続けられるケースは少なくありません。
大切なのは、「集中できない」という結果だけを見て叱ることではなく、どこでつまずいているかを見極めることです。しかも、そのつまずき方は一つではありません。実はADHDはタイプによって困り方がかなり違い、合う勉強法も大きく変わります。
「怠けている」のではなく、脳が「集中スイッチ」を探している状態です
私たちの脳の中には、やる気を出したり、物事を整理したりする「司令塔」のような場所があります。ADHDのお子さまの場合、この司令塔が「面白そう!」とワクワクする刺激がないと、なかなかエンジンがかかりにくいという特徴を持っていることがあります。
- 「やる気スイッチ」とドーパミンの関係(報酬系)
脳内には、ワクワクを感じて意欲を引き出す「報酬系」という仕組みがあります。ADHDのお子さまは、この時に働くドーパミンという物質が少し不足しやすいため、強い興味や「すぐにご褒美があること」でないと、脳が「集中スイッチ」をオンにするのが難しいのです。 - 「司令塔」の働きがゆっくり(実行機能)
脳の「前頭前野」という部分は、行動を計画したり優先順位をつけたりする司令塔の役割を担っています。この機能(実行機能)がゆっくり発達しているため、複数のことを一度にこなしたり、目先の誘惑を抑えて宿題を優先したりすることに、人一倍のエネルギーを必要とします。 - 「おやすみモード」の切り替えミス(デフォルトモード・ネットワーク)
人間には、何もしていない時に働く「ぼんやりモード」と、集中する時の「タスクモード」の切り替えスイッチがあります。この切り替えがうまくいかないと、勉強中も脳が勝手に「ぼんやりモード」に戻ってしまい、集中が途切れたり他のことが気になったりしやすくなります。
「どうしてできないの?」と責めるのではなく、「この子の脳は、今どう助けてほしいのかな?」と、まずは特性を丸ごと理解してあげることが第一歩となります。
不注意型・多動型に合わせた「家庭での学習アイデア」
ADHDの特性には、大きく分けて2つ
- 「ぼんやりしがちな不注意タイプ」
- 「じっとしているのが苦手な多動・衝動タイプ」
この2つのタイプでは、力を発揮しやすい環境や、効果的なサポートの方法が少しずつ異なります。
| 不注意型 | 多動・衝動型 | |
|---|---|---|
| 主な特徴 | 静かに座っていても頭の中が別のことでいっぱいになりやすい | 体を動かしたい衝動が強く、座り続けることが難しい |
| おすすめの学習法 | 音読しながらノートに書く・教科書の重要箇所にマーカーを引くなど、聴覚と視覚を同時に使う | ポモドーロ法(10分集中→3分休憩)で体感できるリズムを作る |
| 環境の工夫 | 「今日は1ページだけ」と範囲を極端に絞り、取りかかるハードルを下げる | バランスボールや立ち机など、体を微妙に動かせる環境を取り入れる |
| アウトプット方法 | 視覚化・書き出しを中心に、目で確認できる形で学習を進める | 「書く・指でなぞる・声に出す」など体を使ったアウトプットを挟む |
| 共通のポイント | 1回の学習量は少なくても、頻度を上げる設計のほうが定着しやすい | |
1. 不注意型:「小さく始める」と「五感を使う」
このタイプは、やる気がないのではなく「着手」に大きなエネルギーが必要です。「全部やる」ではなく「まずは1問だけ」と入り口を小さくして、エンジンがかかりやすくしてあげましょう。
また、黙読より「音読しながら線を引く」など、目と耳を同時に使うと集中が保てます。机の上を今使うものだけに整理して、やることをメモ1枚に絞る「見える支援」も、お子さまの負担をぐんと軽くしてくれます。
不注意型向け学習法(例)
- 「1問だけ」スモールステップ
取りかかるハードルを下げるため、最初の1問だけ解いたら休憩して良いとする。 - 音読とマーカーの同時進行
目だけでなく耳と手を使うことで、注意が逸れるのを防ぐ。 - ホワイトボードで「見える化」
今日やるべきことを大きな文字で書き出し、終わったら消す快感を与える。 - タイマーを使った「タイムアタック」
10分など短い時間を設定し、ゲーム感覚で集中を促す。 - 「実況中継」学習法
今やっていることを口に出して説明しながら進めることで、ぼんやりする隙をなくす。
2. 多動・衝動型:「短いサイクル」と「動きを許す」
「じっと座ること」自体にエネルギーを使い果たしてしまうため、長時間座らせることを目標にしないのがコツです。「10分集中して3分休む」といった短いリズムを作ると、集中と休憩のメリハリが出て成功体験につながります。
また、立ちながら覚えたり、バランスボールで体を揺らしたりするのは、脳を集中させるための大切な調整です。「動き」を否定せず、学習の一部としてポジティブに取り入れてみましょう。
多動型向け学習法(例)
- ポモドーロ法(15分集中・3分休憩)
短いサイクルを繰り返すことで、エネルギーを発散させつつ学習を刻む。 - 立って読む・バランスボール学習
体を動かすことで覚醒水準を保ち、座り続けるストレスを軽減する。 - 指でなぞる「指先追従読解」
注意が飛びやすいため、指先で情報を追いかけることで視点を固定する。 - ミニテスト形式のアウトプット
長い説明を聞くより、クイズ形式でテンポよく答える方が脳の報酬系が働きやすい。 - 「動ける休憩」の事前設定
休憩時間はストレッチやその場ジャンプなど、あえて体を動かすメニューを取り入れる。
3. 混合型:「その日の様子」に合わせて柔軟に
不注意と多動の両方の面を持つお子さまの場合は、その日によって「どちらの困り感が強く出ているか」を観察してあげてください。「今日はぼんやりして始められそうにないな」という日は不注意型のサポートを、「今日は体がむずむずして落ち着かないな」という日は多動型のサポートを優先します。
固定したルールに縛られすぎず、お子さまの「今の状態」に合わせて、その時に必要な工夫を一緒に選んでいきましょう。
タイプ別工夫の前に!親子で笑顔になれる「3つの土台づくり」
お子さまにぴったりの勉強法を試す前に、まずは共通して効果が出やすい「基本の環境」を整えてあげましょう。ここが整うと、お子さまのやる気スイッチがより入りやすくなります。
| 工夫の土台 | 目的・理由 | 具体例 |
|---|---|---|
| 小さなご褒美 | 遠い目標より「今の達成感」を作り、短いサイクルでやる気を引き出すため。 | ・5分集中できたらシール1枚 ・1ページ終わったらお茶を飲む |
| 見える化 | 頭の中だけで段取りを抱え込まず、実行機能の弱さを補うため。 | ・ホワイトボードや付箋で「今やること」「次にやること」を明記 ・タイマーの活用 |
| 席・刺激・時間帯 | 気が散る要因を物理的に減らし、学習の入り口を安定させるため。 | ・テレビを消す、スマホを別室に置く ・視線の先を整理する ・放課後すぐや午前中など、集中しやすい時間帯の固定 |
1. 「小さなご褒美」で、こまめに達成感を
先にある大きな目標よりも、今の「できた!」という実感を大切にする工夫です。たとえば「5分集中できたらシールを1枚貼る」「1ページ終わったら好きなお茶を飲む」といった、ほんの少しの楽しみをセットにしてみましょう。短いサイクルでご褒美があることで、脳が「次も頑張ろう」という前向きな気持ちになりやすくなります。
2. 「見える化」で、やることを分かりやすく
「次はこれをして、その次は…」と頭の中だけで段取りを組むのは、お子さまにとって大きな負担です。ホワイトボードや付箋を使って「今やること」「次にやること」を書き出したり、タイマーで残り時間を意識できるようにしてあげましょう。やるべきことがパッと目で見て分かるだけで、お子さまの不安や迷いがぐっと減り、スムーズに動き出せます。
3. 「席・刺激・時間帯」を、シンプルに整える
集中を邪魔するものを物理的に減らして、学習のスタートを安定させましょう。テレビを消す、スマホを別の部屋に置くといった工夫はもちろん、視線の先を整理するだけでも効果があります。また、「放課後すぐ」や「午前中」など、お子さまが比較的集中しやすい時間帯を見つけて固定してあげると、勉強が自然な習慣として定着しやすくなります。
「親が全部教えなきゃ」と思わなくて大丈夫。プロと一緒に支え合いましょう
家庭教師の役割は学習サポートです。医療的な診断・投薬の管理・専門的な療育は、医療機関や専門機関の役割です。役割を混同せず、それぞれの専門家が担うべき部分を大切にしながら連携することが、お子さんにとって最善のサポートになります。
「教える役割」をプロに任せて、親は「安心基地」に
保護者の方が「勉強のすべて」を抱え込む必要はありません。おうちの方が先回りして教えるよりも、「今日はどこから始める?」と一緒に相談したり、できたところを一緒に喜んだりする「支え役」でいる方が、実はお子さまの自立につながります。
毎日の学習管理は負担が大きく、親子関係がギスギスしてしまうことも。だからこそ、勉強は第三者の先生に任せ、おうちの方はリラックスできる居場所を作ってあげるという役割分担が、家庭の笑顔を守る秘訣です。
オンライン学習を、タイプに合わせて「使いこなす」
オンライン学習は、自宅という慣れた環境で、お子さまのペースに合わせられるのが大きな利点です。不注意型のお子さまなら画面共有で「見るべき場所」をハッキリ示せますし、多動・衝動型のお子さまなら短い休憩をこまめに挟むなど、柔軟にアレンジが可能です。
もし対面の方が安心する、あるいは画面がまぶしすぎるといった場合は無理をせず、体験レッスン後のお子さまの表情を見て「楽しそうだったか」「疲れすぎていないか」を確認してあげてください。
先生には「困りごと」と「できたこと」をセットで
先生と連携するときは、具体的な様子を伝えるとより効果的なサポートが受けられます。「集中力がない」と広く伝えるよりも、「10分なら続けられる」「音読だとスムーズに進む」といった具体的なポイントを共有しましょう。
また、苦手なことだけでなく「最近これができた!」という成功体験もセットで伝えてみてください。先生がお子さまの強みを理解することで、その子の特性にぴったりの「やる気が出る授業」を設計しやすくなります。
| テーマ | 重要なポイント | 具体的なアクション・具体例 |
|---|---|---|
| 保護者の役割と分担 | 「全部教える」のではなく「動けるように支える」。学習は第三者(先生)に任せ、親は安心基地になる役割分担が有効。 | ・始める場所や時間を一緒に決める ・声かけは端的に一度だけ ・できたところを先に見つける |
| オンライン学習の活用 | 安心できる自宅環境で、1対1のペース調整や、特性に合わせたレッスンの柔軟なカスタマイズがしやすい。 | ・不注意型:画面共有で視点を固定 ・多動/衝動型:細かな区切りとミニ休憩 ※体験後に疲労度や表情も確認する |
| 講師への伝え方 | 「困りごと」だけでなく、「できたこと(成功例)」をセットにして具体的に伝える。 | ×「集中力がない」 〇「文章題で止まりやすい」「10分なら続く」「音読だと入りやすい」 |
「わかってくれる先生」との出会いが、安心につながる
ADHDの学習サポートは、「もっと頑張らせる」より「どのタイプのつまずきが強いかを見て、やり方を変える」ことが出発点になります。不注意型には始めやすさと見える支援、多動・衝動型には短いサイクルと動ける学び方。この切り替えができるだけで、勉強への抵抗感はかなり変わります。
まなぶてらすには、特性に合わせてレッスンの進め方を細かく調整できる先生がいます。オンラインなら、家庭の様子も踏まえながら、合うリズムを一緒に探しやすいのも強みです。まずは無料体験で、「この先生ならわかってもらえそうだ」と感じられる相手を見つけるところから始めてみてください。

フジテル 先生
ADHD/ASD/SLD対応経験あり。コーチング×学習習慣シートで自主学習を育てる指導。子どもが「自分でできた」と感じられる設計が強みです。

さかさい 先生
発達障害・不登校・学習障害の子への指導経験あり。フレキシブルな指導スタイルで特性に対応。子どもの特性に合わせた個別アプローチで、無理なく続けられる環境を作ります。
まなぶてらすでADHDのお子さんの学習をサポート
| まなぶてらすのメリット | ADHDのお子さんへの効果 |
|---|---|
| 1対1のマンツーマン指導 | お子さんの集中の波やその日の状態に合わせてペースをリアルタイムで調整できる |
| レッスンのブロック分割設計 | 50分を細かく区切り、小休憩・切り替えを挟むことで集中が続きやすい |
| 自宅から受講できる | 通塾の移動ストレスがなく、慣れた環境で落ち着いてレッスンに臨める |
| 先生をプロフィール・口コミで選べる | ADHD対応経験のある先生を事前に確認してから申し込める |
| 無料体験レッスンあり | 継続前に実際の相性を試せるため、「合わなかった」リスクを減らせる |
まなぶてらすは、ADHDや発達障害への対応経験を持つ先生が在籍するオンライン家庭教師サービスです。1対1のマンツーマン指導のため、お子さんの集中の波やその日の状態に合わせてレッスンのペースをリアルタイムで調整できます。
よくある質問
ADHDの子どもが集中して勉強するにはどうすればいいですか?
環境から整えることが先決です。気が散る刺激を減らした学習スペースを作り、10〜15分ごとに小さなご褒美を設定するなど、短いサイクルで達成感を積み重ねる設計が有効です。「なぜできないのか」より「どうしたらできるか」を一緒に考える姿勢が大切です。
ADHDの子どもにオンライン学習は向いていますか?
お子さんの特性と環境次第です。1対1でペースを調整しやすく、通塾の移動ストレスがない点はメリットです。一方、画面の刺激が集中を妨げる場合もあるため、体験レッスンで実際の様子を確かめてから判断しましょう。
ADHDの不注意型と多動・衝動型で勉強法は変わりますか?
変わります。不注意型のお子さんには、指示の明確化と「今何をするか」の見える化が効果的です。多動・衝動型のお子さんには、体を動かせる小休憩の挿入や、短いタスクへの細分化が向きやすい傾向があります。
ADHDの子どもに家庭教師をつけるとき親はどう関わればいいですか?
先生に任せる部分と保護者がサポートする部分を分けることが大切です。先生には「どんな困りごとがあるか」「最近できるようになったこと」を具体的に伝えましょう。保護者は勉強以外の時間で会話・遊びを充実させ、「楽しい」体験をお子さんと共有することが継続の土台になります。
ADHDの子どもの宿題サポートを家庭教師に頼むメリットは?
保護者が宿題サポートをすると親子関係が緊張しがちです。第三者の先生が担うことで、保護者は気持ちの余裕を持てます。また、先生がお子さんの特性に合った取り組み方を一緒に工夫してくれるため、「怒られながらやる宿題」より「できた体験が積める宿題」に変わりやすいというメリットがあります。
この記事の著者
まなぶてらす編集部
「まなぶてらす」は、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスです。一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばし、お子さまの強みを育てることを大切にしています。学びに関する最新情報や、家庭学習に役立つ知識をお届けします。
この記事の監修者
るか先生(伊藤 陽香)
臨床心理士・公認心理師
臨床心理士(10年目)・公認心理師(第1回国家試験合格)。スクールカウンセラーとして小中高19校で勤務し、発達障害・不登校の児童生徒へのカウンセリングや保護者相談を多数実施。精神科病院での心理検査、放課後等デイサービスでの個別療育の経験も持つ。愛知淑徳大学大学院心理学研究科修了。

