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「帰国してから、理科と社会だけがぽっかり抜けていた」——海外在住が長かったご家庭から、こんな声が届くことがあります。

算数・数学の格差については意識している保護者の方が増えてきましたが、理科・社会については「現地校でも理科の授業があるから大丈夫」「社会は帰ってから覚えれば何とかなる」と、後回しにしてしまうケースが少なくありません。

実は、理科・社会の格差は算数よりも「帰国後に気づきにくく、追い上げにも時間がかかる」という特徴があります。どこでどんなギャップが生まれるのか、そして帰国前・帰国後にできることを、学年別に整理しました。帰国が決まったご家庭にも、現在海外在住で先を見越しておきたい方にも、参考にしていただければ幸いです。

理科・社会の格差は、算数より「気づきにくい」

算数・数学の格差は、テストの点数やドリルの進み具合として数字に表れやすいため、保護者も早めに察知できます。ところが理科・社会の遅れは、日常会話や現地校の成績にはなかなか出てきません。

社会は特に注意が必要です。日本の社会科は「日本の地理・歴史・公民」を扱う教科であり、現地校のカリキュラムにはほぼ含まれていません。つまり、海外在住期間が長いほど「学んでいない部分」がそのまま積み上がっていく構造になっています。

理科は現地校でも「科学」として学べますが、問題は日本語の専門用語です。「光合成」「蒸散」「状態変化」——英語では理解していても、日本語で一から覚え直すのは想像以上に時間がかかります。帰国後に授業についていけない理由が「理科の理解力」ではなく「日本語の語彙の不足」にある、というケースは珍しくありません。

なお、算数・数学の格差については海外在住の子どもの算数・数学、このままで大丈夫?帰国後に差がつかないための対策ガイドで詳しく整理しています。理科・社会と合わせてご覧いただくと、全体像がつかみやすいでしょう。

理科でギャップが生まれる3つの理由

現地校で理科を学んでいても、帰国後に差が出やすいのには、いくつかはっきりした理由があります。

「概念はわかっている。でも日本語で説明できない」

理科の基本的な概念——光合成・蒸散・てこの原理・電流と電圧の関係——は、現地校で英語を通じて理解しているお子さんがほとんどです。問題は、それを日本語でアウトプットする場面に慣れていないことです。

日本の理科の授業では、観察・実験の記録を日本語で書くことが求められます。「考察」「仮説」「結論」といった語彙は、英語環境では使わないまま過ごしてきたお子さんに多く、帰国後の授業でノートを書く段階から詰まってしまうことがあります。これは理解力の問題ではなく、「日本語の理科語彙」への慣れの問題です。

観察・実験の「記録形式」が日本固有

日本の理科では、実験を「目的→仮説→方法→結果→考察」の流れで記録する習慣が、小学校から丁寧に身につけられます。この構造化された記録フォーマットは、日本のカリキュラムに特有のものです。

現地校で科学の実験をこなしてきたお子さんでも、日本式の「考察文」を書かせると途端に手が止まることがあります。理解力の問題ではないため、フォーマットへの慣れ練習を少し積んでおくだけで、帰国後の負担が大きく変わります。

単元の導入時期・深度が異なる

日本の理科は学年ごとに「この単元はこの学年で」という順序が明確に定められています。一方、現地校では日本と異なる順序・深度で扱われることが多く、帰国時期によって「習っていない単元」が出てきます。

理科:よく見られる単元のズレの例

学年 日本の主な単元 現地校との主な違い
小3〜4 植物・昆虫・天気・空気 概念は似ているが日本語の理科用語を使わない。モンシロチョウ・ヘチマなど日本固有の教材生物が多い
小5〜6 電流・てこ・ものの燃え方・人体 実験の内容は似ているが、記録の書き方・語彙が日本式でない
中1〜3 光合成・化学変化・電気・天体 単元の順序が異なり、「習っていない分野」が出やすい学年帯

社会の格差はさらに深刻——現地校では学べない「日本固有の内容」

理科の格差が主に「日本語の壁」であるとすれば、社会の格差は「内容そのものが空白になっている」という、より根本的な問題です。

日本地理——47都道府県は「日本でしか学べない」

日本の小学校では、3年生から地域・都道府県・日本の地形・気候区分を段階的に学びます。これらの内容は、現地校のカリキュラムには一切含まれていません。現地では現地の地理・世界の地理を学ぶため、日本地理の知識は帰国後に「ゼロから始める」ことになります。

都道府県の名称・位置・特産品・地形の名前は、帰国後の小学校高学年や中学受験では当然の前提知識として扱われます。帰国のタイミングによっては、クラスの全員が知っていることを一人だけ知らないという状況になることもあります。

日本の歴史——縄文から現代まで「帰国後に一気にくる」

日本史は小学校6年生・中学1〜2年生にかけて本格的に学びます。縄文・弥生から飛鳥・奈良・平安・鎌倉・室町・江戸・明治・大正・昭和・平成と続く流れは、連続して学んでこそ定着しやすいカリキュラムです。

海外在住中にこの流れをまとめて学ぶ機会がなかったお子さんにとって、帰国後の歴史の授業は「知らない固有名詞の洪水」になりやすいです。一人でテキストを読んで覚えるには時間がかかるうえ、年代・出来事・人物の関係が複雑に絡み合っているため、独学では整理しにくい教科でもあります。

公民・現代社会——中学2〜3年で「突然始まる」

中学2〜3年生で学ぶ公民(三権分立・選挙の仕組み・憲法・社会保障・国際社会)は、日本に住んでいるお子さんにとっても馴染みにくい内容です。海外在住経験のあるお子さんは「日本の制度」への実感がさらに薄いため、概念の定着に時間がかかる傾向があります。一方で、世界との比較・国際的な視点については現地での生活経験が活きる場面もあり、上手に活かすとプラスの武器になります。

社会:学年別の空白が生まれやすい内容

学年 日本の主な内容 海外在住中の状況
小3〜5 地域・都道府県・産業・地形 完全ゼロ(現地では現地の地理・社会を学ぶ)
小6・中1 日本史(縄文〜現代) 補習校でも限られた時間のみ。通史の流れが定着しにくい
中2〜3 地理・公民・三権分立など 日本の制度への実感が薄い。ただし国際感覚は活かせる

帰国子女入試を視野に入れているご家庭は、試験で社会がどう扱われるかを事前に確認しておく必要があります。帰国子女入試の概要については帰国子女入試とは?受験の種類・スケジュール・対策法を専門家がわかりやすく解説で整理していますので、参考にしてみてください。

帰国前・帰国後にできる対策

「渡航前から手を打てばよかった」と後悔する前に、帰国のタイミングに合わせた対策を整理します。早めに取り組むほど、帰国後の追い上げが楽になります。

①理科は「日本の教科書+観察記録の練習」を1冊手元に

現地にいながらできる最もシンプルな対策は、学年に合った日本の理科の教科書(または副教材のワーク)を1冊手に入れることです。全部終わらせる必要はありません。日本語の理科用語に「耳と目を慣らしておく」だけで、帰国後の定着速度が変わります。

加えて、観察記録の「目的→仮説→方法→結果→考察」というフォーマットを1〜2回練習しておくだけで、帰国後の理科の授業でのノートの取り方がスムーズになります。難しく考える必要はなく、日常の観察(植物の成長・天気の変化など)を日本語の決まったフォーマットで書いてみる、それだけで十分です。

②社会は「白地図帳」1冊から始める

日本地理の入り口として最も取り組みやすいのが、白地図帳(都道府県の位置・名称を書き込むドリル)です。小学校3〜5年の社会の根幹となる知識を、遊び感覚で積み上げることができます。

日本の歴史については、マンガ版の「日本の歴史」(学研・小学館など)を並行して読むのが定番の方法です。通史の流れを物語として先に知っておくことで、帰国後の歴史の授業が「続きを学ぶ」感覚になり、吸収が早くなります。

③オンライン個別指導で「日本語×理科社会」を同時に補強する

家庭での自習には限界がある場面も出てきます。特に「考察文が書けない」「歴史の流れが整理できない」という段階になると、一人では詰まりやすいです。週1コマのオンライン個別指導を活用することで、日本語で考える練習と教科内容の補強を同時に進めることができます。

渡航前からの学習準備については海外赴任が決まったら?子どもの勉強はどうする?渡航前にやるべき学習準備ガイドでも、教科別の準備ポイントを整理しています。理科・社会以外の対策も合わせて確認しておくと安心です。

どの教科から手をつければよいかわからない場合は、まなぶてらすの無料ガイダンスサービスもご活用ください。※ 必要な準備がわからない場合もご安心ください。無料のガイダンスサービスで詳しくサポートいたします。

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まなぶてらすには、帰国子女の学習サポートを続けてきた講師が多数在籍しています。

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まなぶてらすで理科・社会を指導できる先生

海外在住のお子さんの理科・社会の学習サポートに対応力のある先生を、まなぶてらすからご紹介します。それぞれ指導スタイルや専門分野が異なりますので、お子さんに合う先生を見つけるヒントにしてみてください。


Yoshinori先生

Yoshinori 先生

元大阪府立高校社会科教員(8年)。現在はオランダ在住で、現地の子どもたちへの日本語・社会科のサポートを続けながら、オンラインで日本のカリキュラムに合わせた指導を行っています。地歴・公民の教員免許を持ち、IB(国際バカロレア)DP日本語Aにも対応。帰国子女の社会科の「空白」を埋める指導が得意です。

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Waka先生

Waka 先生

指導歴7年・数百名の指導実績を持つ全科目対応の先生。東京学芸大附属国際中等教育学校(帰国生枠)・公文国際学園をはじめ、帰国子女の中学受験・編入試験の合格実績が豊富です。理科・社会も含めた総合的な指導ができ、年中無休・週7稼働で海外との時差にも柔軟に対応しています。

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なかむら先生

なかむら 先生

「理科・社会は暗記だけじゃない」をモットーに、地理・歴史・公民・中学理科の「なぜ?」から丁寧に掘り下げる指導が特長。帰国後の授業についていくための基礎固めから定期テスト対策まで幅広く対応しています。暗記が苦手なお子さんでも、体系的な理解から入ることで「覚えられた」と実感できる授業を目指しています。

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よくある質問

Q. 現地校でも「科学」の授業を受けているのに、帰国後に理科で差が出るのはなぜですか?

現地校の科学の授業で学ぶ概念そのものは、日本の理科と大きくは違いません。差が出やすいのは「日本語の専門用語で説明する力」と「日本式の実験記録フォーマット(目的・仮説・考察)への慣れ」です。英語では理解していることでも、日本語でゼロから言語化する練習が必要になることがあります。

Q. 社会の格差を補うには、どのくらいの期間がかかりますか?

地理・歴史・公民の3分野は内容量が多く、帰国後に一気に追いつこうとするのは難しい場合があります。帰国前から週1〜2回のペースで学び始めると、帰国後の授業への馴染みやすさが変わります。特に都道府県の位置・日本史の通史の流れは、帰国が決まった段階から着手することをおすすめします。

Q. 補習校に通っていれば理科・社会の対策は十分ですか?

多くの補習校では、国語と算数の指導が中心となっており、理科・社会に割ける時間は限られています。補習校に通わせているご家庭でも、理科・社会については別途補強が必要なケースが大半です。個別指導を活用して、特に「社会の空白」を埋めておくことが安心につながります。

Q. 帰国後に中学受験を考えています。理科・社会はいつから始めればよいですか?

中学受験で理科・社会が試験科目に含まれる場合、帰国の1〜2年前から日本の単元に触れ始めるのが理想です。特に社会は「日本地理」と「日本史の流れ」を早めに押さえておくことで、帰国後の追い上げ期間を短縮できます。まずは現状の把握から始めることをおすすめします。

Q. 現地校が英語授業でも、まなぶてらすのレッスンを受けられますか?

はい、まなぶてらすのレッスンはすべて日本語で行われます。現地校の授業が英語・現地語でも、まなぶてらすでは日本語で理科・社会を学べるため、帰国後の日本の授業に直結した語彙・表現が身につきます。時差のある海外からも、都合の良い時間帯に予約できます。

この記事の著者

まなぶてらす編集部

まなぶてらす編集部

「まなぶてらす」は、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスです。一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばし、お子さまの強みを育てることを大切にしています。学びに関する最新情報や、家庭学習に役立つ知識をお届けします。

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この記事の監修者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。

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