今年のノーベル生理学・医学賞は、京都大学特別教授の本庶佑先生が受賞されました。
おめでとうございます!
こんにちは。
講師のまさみです。
最近、「オプジーボ」という言葉をよく聞きます。
本庶先生の研究成果を基に開発された薬剤です。
オプジーボという薬剤が「免疫チェックポイント阻害剤」として働き、自身の免疫細胞ががんを攻撃することは薬剤師の研修会で勉強しました。
今回の受賞と関連して、どのような時事問題が模試や入試で出題されるかの予想は、今後お知らせすることにして、
今回は、
「本質を見極める力」
ついて書きたいと思います。
本庶先生は、受賞の記者会見で小・中学生や若い人に向けてメッセージを送っておられます。
ニュースの記事などを基にして、皆さんに紹介したいと思います。
PD-1は92年、免疫細胞がアポトーシスを起こす分子の探索を進めていたところに、偶然見つかりました。「偶然を見逃さないこと」も科学研究では大切です。
(医療従事者向けの医療誌「メディカル朝日」で2016年4月号に掲載した本庶特別教授のインタビューより)
本庶先生は、がんの研究をしていたわけではなく、免疫細胞の研究をされていました。
その過程でPD-1というたんぱく質(オプジーボ開発につながる物質)が見つかりました。偶然見つけた物質であり、まさにセレンディピティーですね。
https://www.manatera.com/blog/?p=441
このPD-1という物質の機能については、長い間不明だったそうです。
(京都大学大学院医学研究科 免疫ゲノム医学 PD-1プロジェクトより)
何かよくわからないから捨ててしまうのではなく、何かよくわからないから調べてみようということです。
偶然見つけた物質は、その時点では大発見ではなく、この物質は体内でどのような働きをしているのだろうか?と不思議に思うことで、研究が進められ大発見につながったのです。
「誰も見向きもしない石ころを磨き上げ、ダイヤモンドに仕上げていく。」
(10/1配信 時事通信社より)
ということですね。
本庶先生は、受賞の記者会見で
「不思議だなという心を大切にする。常に疑いを持って、本当はどうなっているのだろうという心を大切にする。つまり、自分の目でものを見る、そして納得する、そこまで諦めない。」
と、未来の研究者に言葉を送っています。
「不思議だ」と思うことは、科学研究における基本です。
「なぜなんだろう?」と思う好奇心が大切です。
子どもたちは、いろいろな事象をなぜなんだろう?と不思議に思い、考えたり、親や先生に質問したりしながら「好奇心」や「自分の目でものを見る」姿勢を育んでいきます。
そんな子どもたちの「好奇心の芽」を育てていきたいものです。
本庶先生は,
「本質を見抜く力」がずば抜けているそうです。
(10/1毎日新聞より)
今を生きる子どもたちは、好むと好まざるとに関わらず、情報社会の中で生きていくことになります。
あふれる情報の中で、何が本質なのか見抜く力は必要となります。
「不思議だなあ…」
「これは、信じていいのかな?」
という各自の思いから出発して、本質を見極める力は必須です。
理科実験や自由研究を通して
「あれこれ、考える」
ことで本質を見極める能力を鍛えることができます。
最後に、本庶先生は研究における失敗について
「実験の失敗は山ほどある。けれど、断崖絶壁を落ちてしまうようなことはなかった。」
とおっしゃっています。
失敗を重ねながら、大きく方向性を間違えることがなかったということですね。
研究の方向性を定めるためには、そっちに進んではいけないというメッセージを含んだ失敗もあるのです。
失敗は悪いことではありません。
失敗からたくさんのことを学んでいきましょう。