外出先で大地震が起きたとき、子どもに伝えておきたい「場所別の動き方」——能登半島地震を経験したまなぶてらす講師の視点から
※本記事には「まなぶてらす」のサービス紹介が含まれます
石川県在住のまなぶてらす講師・たくと先生は、2024年1月1日の能登半島地震をレッスン直後に経験しました。避難所生活、余震、家族のもとへ向かう途中での車のパンク——この記事は、そのリアルな体験をもとに構成した、外出先で大地震が起きたときの場所別の動き方です。
知識として「こうしたほうがいい」とわかっていても、実際に揺れたとき体は思い通りに動きません。たくと先生の言葉を通じて、お子さんに伝えておきたいことを一緒に確認してください。
まず何をするか——場所を問わない3つの原則
たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)
あの日は大学受験を控えた高校3年生のレッスンが終わった直後でした。石川県はもともと震度3〜5の地震が続いていたので、最初は”また揺れてるな”くらいで構えていたんです。でも、すぐにいつもと違うと気づきました。椅子の手すりを握って体を支えるのが精一杯で、目の前のディスプレイがグラグラ揺れて床に落ちて割れるのを——ただ見守ることしかできなかったんです。
「体が動かなかった」という事実は、むしろ正しい行動でした。揺れている最中に動こうとすれば、転倒や落下物に直撃するリスクが格段に上がります。場所によって具体的な行動は変わりますが、どこにいても共通する「3つの原則」があります。
①頭を守る。バッグで頭を覆う、壁際にかがむ、頑丈なテーブルや柱に身を寄せる——どれでもかまいません。まず頭部を落下物から守ることが最優先です。
②その場で揺れが収まるのを待つ。揺れている最中に走り出すのは危険です。低い姿勢でじっとしていることが鉄則です。
③揺れが収まったら周囲を確認してから動く。余震は揺れが止まった直後が最も多い時間帯です。天井・棚・ガラスの状態を一瞬確認してから出口に向かいましょう。
場所別の動き方——シチュエーション別に確認しよう
商業施設・スーパー・ショッピングモール
たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)
最初に過ごした避難所では、一晩に100回以上、震度4以上の揺れを経験しました。そのたびに全員のスマホから一斉にアラートが鳴り響いて、駐車場の車がギシギシと揺れ動く。隣に車中泊されていた東京から来られたご家族のお子さんの表情が、だんだん消えていくのを見たとき——一人だったら絶対に耐えられなかったと思います。
人が密集する場所での繰り返す揺れは、精神的にも体力的にも想像以上の負担になります。商業施設で地震が起きたときは、「棚の倒壊」と「群衆の混乱」が最大のリスクです。
揺れを感じたら、まず棚から離れて通路の中央に移動し、バッグや買い物かごで頭を守ります。エスカレーターに乗っている場合は手すりをしっかり握って止まるのを待ち、走って出口に向かうのは揺れが完全に収まってからです。
揺れが収まったあとは、施設スタッフの誘導に従うことが重要です。「施設内のアナウンスが始まるまで動かない」という判断も、子どもに伝えておきたい選択肢のひとつです。
駅・電車の中
たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)
地震直後、電車はすべて止まって公共交通機関が使えない状況になりました。あのとき改めて感じたのは、”自分の足で動ける範囲”を日頃から把握しておくことの大切さです。子どもにも「もし電車が止まったら、どこまで歩いて、誰と合流するか」をあらかじめ決めておくように話しています。
交通機関がすべて止まることを前提に、「歩いて帰る」選択肢を頭に入れておく必要があります。駅・電車の中にいるときは、揺れそのものへの対処も重要です。
駅のホームでは「転落」が最大のリスクです。揺れを感じたらすぐにホームの縁から離れ、柱や壁に近づいて低い姿勢を取ります。電車の中では、つり革や手すりをしっかり掴んで転倒を防ぎ、窓から顔や体を遠ざけることも意識してください。
駅構内に閉じ込められた場合は、駅員や放送の指示を待つのが基本です。「電車の中にいるほうが外より安全なこともある」ということも、子どもに伝えておきましょう。
道路・屋外
たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)
家族の元へ向かおうと車を走らせたのですが、近所の神社の鳥居や石碑が道に倒れていて、道路も至る所でひび割れていて。気づかないうちに断層に車体をぶつけてしまって、パンクで動けなくなりました。「どうしたらいいのかわからない」という感覚を、あのとき初めてリアルに体験しました。外出中に靴にこだわっておくことの大切さを、あの日強く感じました。
「外は開けているから安全」というのは思い込みです。たくと先生が体験したように、道路のひび割れ・鳥居や塀の倒壊・電線の落下が、いつも歩いていた道を全く違う場所に変えてしまいます。
地震が起きたら、建物の壁・ブロック塀・電柱・看板から素早く離れ、広いスペースに移動することが最優先です。公園や空き地が理想ですが、移動できない場合は頑丈な建物の壁から少し離れた位置で、バッグで頭を守りながらしゃがむという対応が現実的です。
学校・塾・習い事先
たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)
地震後、約2か月のお休みをいただいてから復帰したのですが、レッスン中にも何度か余震を経験しました。生徒さんには「もしかしたら途中で通信を切らないといけない場面があるかもしれない」と事前にお伝えした上でレッスンを続けていました。私自身も木造の古い家だったので、レッスンしている場所の横には外履きの靴を常に置いておいて、いざとなったら窓からでも外に出られるように備えていました。
指導者側が「最悪の場合を想定して準備している」かどうかが、子どもの安全に直結します。まなぶてらすでは、緊急時の対応方針をまとめた安全ガイドラインを設けており、レッスン中に地震が起きた場合の判断基準を講師・生徒・保護者が共有できる体制を整えています。
お子さんが通う塾や習い事先についても、「地震が起きたらどう対応するか」を事前に確認しておくことを強くお勧めします。学校と違い、塾・習い事先は避難訓練の体制が整っていないことも多いためです。
「先生の言葉を聞いて動く」という習慣を、日頃から子どもに伝えておくことが、実際の災害時には命を守る行動につながります。
子どもが一人のとき——親が事前に伝えておくべきこと
たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)
生徒さんたちへの話の中で、一番大事だと思って繰り返し伝えているのが「合流場所を決めておく」ことです。地震直後はスマホがつながりにくくなります。だから「通信が使えない前提で」、何かあったらここに行く、という場所を家族で決めておく。家族それぞれが違う場所にいる可能性があるからこそ、シンプルで子どもが暗記できる場所にしておくことがポイントだと思います。
「通信できない前提で決める」——これが最大のポイントです。外出中の地震で最も心配なのが、子どもが一人でいるときです。事前に伝えておきたいことを3つにまとめます。
①「連絡が取れなくても焦らない」ことを伝える。地震直後はスマホがつながりにくくなります。「電話できないのは当たり前、パパ・ママも動けないだけだから」と伝えておくことで、子どもの不安を和らげることができます。
②「集合場所を決めておく」。「◯◯小学校の体育館に行く」「◯◯公園で待つ」という場所を家族で決めておきましょう。子どもが暗記できるくらいシンプルな場所が理想です。
③「知らない大人についていかない、でも助けを求めてよい」。自衛隊・消防・警察など制服を着た人には積極的に助けを求めていいこと、反対に見知らぬ大人に「一緒に来て」と言われても従わないことを、ていねいに教えておきましょう。
まなぶてらすの安全への取り組み
大地震のような緊急事態が起きたとき、お子さんの学習環境を安心して継続できるか——これは保護者として当然気になる点です。
まなぶてらすでは、生徒・保護者・講師の安全を最優先に考えた取り組みをまとめた安全ガイドラインを公開しています。オンライン学習だからこそ、万一のときでも柔軟に対応できる体制を整えています。
お子さんの学習環境を選ぶ際は、教える内容の質だけでなく、こうした安全面の取り組みにも目を向けてみてください。
まなぶてらすには、子どもに寄り添いながら学習をサポートしてくれる講師が多数在籍しています。特に災害後のような精神的なゆらぎがある時期こそ、信頼できる先生との継続的な関係が子どもの安定につながります。

うみせ / 海瀬 先生
伴走型の指導で定期テストを着実にサポート。中学生の学習管理から苦手克服まで、生徒のペースに合わせて一緒に進んでくれる先生です。

マリナ 先生
勉強のやり方から変える中学生指導の専門家。「なぜそのやり方ではうまくいかないのか」を一緒に分析し、学習習慣そのものを整えてくれます。
よくある質問
- Q. 外出中に地震が起きたとき、すぐに自宅に帰るべきですか?
- 揺れが収まった直後に無理に帰宅しようとするのは危険な場合があります。余震が続いている間は安全な場所で待機し、道路の状況やライフラインの情報を確認してから移動を判断してください。
- Q. 子どもに「避難場所」を教えるとき、どこを指定するのがよいですか?
- 自宅から歩いて10〜15分以内の市区町村が指定する「指定避難場所」が基本です。学校(小学校・中学校)が指定されていることが多いので、日頃から「学校に集まる」と決めておくのが子どもにも伝わりやすいです。
- Q. スマホが使えないとき、子どもとどうやって連絡を取ればいいですか?
- NTT東日本・西日本の「災害用伝言ダイヤル(171)」を活用できます。また、SNSの「安否確認機能」も有効です。家族で「まず171に録音する」というルールを決めておくと、混乱した状況でも冷静に行動できます。
- Q. 習い事先で地震が起きたとき、子どもを迎えに行くべきですか?
- 道路状況や余震の状況によります。多くの習い事施設では「保護者が迎えに来るまで子どもを預かる」対応を取ります。焦って車で向かうよりも、まず電話で施設の状況を確認し、安全なルートを確認してから迎えに行くことをお勧めします。
まとめ
外出先で地震が起きたときの行動は、「その場で頭を守り、揺れが収まるのを待つ」というシンプルな原則から始まります。場所ごとに異なるリスクを事前に把握しておくことで、子どもが一人でいるときも冷静に動ける可能性が高まります。
たくと先生が能登半島地震の経験を通じて伝えたいのは、「知識があっても体は動かないことがある」という事実です。だからこそ、繰り返し話し合い、体に覚えさせることが大切です。
この記事で紹介した場所別の動き方を、お子さんと一緒に確認してみてください。
この記事の著者
たくと先生
まなぶてらす講師・石川県在住
2024年1月1日の能登半島地震を経験し、避難所生活を送る。復帰後も余震の続く中でオンラインレッスンを再開し、子どもたちへの防災教育の大切さを伝え続けている。
この記事の監修者
坂本七郎
まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント
5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立。

