発達障害の子の「見通しが立たない不安」とは?家庭と学習で安心を育てる方法
※本記事には「まなぶてらす」のサービス紹介が含まれます
こんにちは、まなぶてらす代表の坂本です。
「家族旅行」と聞くと、多くの人が楽しみな予定として思い浮かべます。けれど発達障害(神経発達症)のあるお子さんの中には、「この先どうなるかわからない」こと自体が大きな不安で、旅行や行事をなかなか楽しみに思えない子がいます。
この記事では、発達障害の子が感じる「見通しが立たない不安」の正体と、ある旅館の配慮事例から学べる「安心の作り方」、そして家庭と日々の学習で今日から実践できる工夫を、臨床心理士の監修のもとで解説します。
「旅行が楽しみ」じゃない子がいる──”見通しの不安”とは?
発達障害の子の「見通しの不安」とは、これから何が・どんな順番で・いつまで起こるのかが予測できないことへの強い不安のことです。多くの人にとって楽しみな旅行や行事が、見通しの持てない子にとっては「何が起こるかわからない時間」になり、強い緊張やパニックの引き金になることがあります。
これは特別なことではありません。旅館「扇芳閣」(三重県鳥羽市)が世界自閉症啓発デーに合わせて実施した取り組みで公表された調査では、発達障害のある子どもの保護者の約7割(72%)が「旅行に不安がある」と回答しています(出典は記事末尾の参考文献に記載)。「見通しの不安」を抱える家庭は、決して少なくありません。
「楽しいはずのこと」を楽しめないのは、子ども本人が一番つらいものです。まず大人が「見通しが持てないと不安になる特性なのだ」と理解することが、支援の出発点になります。
なぜ発達障害の子は「予定がわからない」と不安になるの?
先の見通しが持てないと強く不安になるのは、「変化や曖昧さの処理が苦手」「先を頭の中でイメージしにくい」といった発達特性の傾向があるためと考えられています。たとえば自閉スペクトラム症(ASD)の特性がある子は、いつもと違う展開や予定の変更に強いストレスを感じやすい傾向があります(特性の現れ方はお子さんによって異なり、すべての子に当てはまるわけではありません)。
背景としては、たとえば次のような要因が考えられています。
- 曖昧さへの弱さ:「あとで」「そのうち」など、いつ・どれくらいかが不明確な言葉が不安を強める
- イメージの持ちにくさ:言葉だけの説明では、この先の流れを頭の中で映像化しにくい
- 感覚過敏:人混み・音・においなど、想定外の刺激が重なるとさらに余裕がなくなる
裏を返せば、「これから何が起きるか」を具体的に・目で見える形で伝えるだけで、不安は大きく下がります。次の章では、その実例を見ていきます。
ある旅館の配慮事例に学ぶ「安心の作り方」
近年、発達障害のある子と家族が安心して過ごせるよう配慮する宿泊施設が少しずつ増えています。その一例が、三重県鳥羽市の旅館「扇芳閣」が世界自閉症啓発デーに合わせて実施した、発達障害のある子どもと家族向けの宿泊プランです。協力にはNPO法人いろ葉、NPO法人南勢子どもの発達支援センターえがおが加わっています。
具体的には、次のような配慮が用意されました。
エントランスの喧騒を避け、客室で落ち着いてチェックインできるように。さらに早めのチェックインで大浴場を貸切利用できる時間帯を設定。「他の人と重ならない」設計で、感覚過敏や対人緊張の負担を減らします。
バリアフリーで入浴補助リフト付きの貸切風呂を時間を決めて利用可能に。「いつ・どこで・どれくらい」がはっきり決まっていることが、見通しの安心につながります。
個室での夕食提供、朝食ビュッフェのテイクアウト対応、追加のおしぼり・タオルの用意など。本人のペースで、想定外を減らして過ごせる環境を整えています。
3つの配慮に共通するのは、「これから起きることを減らさずに、わかりやすく・選べるようにする」という考え方です。これは旅行に限らず、家庭や学習の場でもそのまま応用できます。
家庭学習で今日からできる「見通しの可視化」5つの工夫
勉強の見通しの不安は、「今日は何を・どれだけ・いつまでやるのか」を目で見える形で前もって伝えることで、家庭学習でも大きくやわらげられます。特別な教材は必要ありません。今日の勉強から試せる5つの工夫を紹介します。
その日の家庭学習の流れを、口頭ではなく紙やホワイトボードに順番で示します。「漢字ドリル5問 → 算数プリント1枚 → 音読1ページ」のように、内容・量・順番をセットで。文字が苦手な子は、終わったら消せるチェックリストやイラストにすると伝わりやすくなります。
「どこまでやれば終わりか」が見えると、子どもは安心して机に向かえます。「このプリントが終わったら終了」「タイマーが鳴ったら終わり」と、問題数・ページ数・時間のどれかで終わりを先に決めましょう。「あとちょっと」ではなく「あと2問」と具体的に。
体調や予定で勉強のメニューを変えるときは、できるだけ早く、短い言葉で伝えます。「今日は疲れてるから算数は半分にして、残りは明日やろうね」と、変更後の見通しまでセットで示すのがコツです。
新しい単元や新しいテキストに入る前に、目次や最初のページを一緒にざっと眺めて「次はこんなことを、こんな順番でやるよ」と伝えておきます。旅館の配慮事例と同じ発想で、初めてを”初めてじゃなくする”と勉強への不安が下がります。
進め方をすべて親が決めてしまうのではなく、「漢字と計算、どっちから先にやる?」と本人が選べる場面を作ります。自分で決められた経験は、見通しと学習への前向きさを同時に育てます。
すぐに全部やろうとしなくて大丈夫です。まずは「工夫1:その日の勉強メニューの見える化」だけから始めてみてください。
オンライン家庭教師が「見通しの不安」を支えられる理由
勉強の場面は、見通しの不安がもっとも出やすい場面のひとつです。「何問やるの?」「いつ終わるの?」「できなかったらどうなるの?」――先が見えないまま机に向かうのは、特性のある子にとって大きな負担になります。
ここで力になるのが、一人ひとりに合わせて進められるオンライン指導です。まなぶてらすは、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスで、発達特性のある子の学習支援にも対応しています。オンラインだからこそ、見通しの不安に対して次のような支え方ができます。
- 毎回「今日やること」を最初に共有し、終わりを決めてから始められる
- 慣れた自宅から、カメラのオン・オフも相談しながら受けられる(人混み・移動の負担がない)
- 同じ先生が継続して伴走するため、「次もこの流れ」という見通しそのものが安心材料になる
機材の準備や先生選びに不安がある場合は、無料の学習相談でスタッフに相談することもできます。
「見通しが持てる学び」から始めてみませんか?
発達特性のあるお子さんの学習サポートに対応。入会金0円・月会費なし。初回無料の先生も多数在籍しています。
※ 無料体験だけでもOK。しつこい勧誘は一切ありません。
発達特性のある子の学習に寄り添う、まなぶてらすの先生
「見通しを大切にした関わり」を得意とする先生を紹介します。いずれも新規受講生を募集中の先生です(在籍状況は変わることがあります)。

たまき 先生
特別支援を専門とする学習指導。お子さんの状況に徹底的に合わせ、振り返りシートとサポート計画で見通しを共有します。

マナ 先生
元小・中学校教員。特別支援学級の指導経験あり。ペアレントコーチとして、家庭学習の進め方ごと支えます。
まずは無料体験で、お子さんとの相性を確かめませんか?
気になる先生に、見通しを大切にした進め方を相談できます。合わなければ続ける必要はありません。
※ 無料体験だけでもOK。しつこい勧誘は一切ありません。
よくある質問(FAQ)
見通しを伝えると「予定通りでないと怒る」ようになりませんか?
予定を見せること自体が原因で固執が強まるわけではありません。大切なのは「変わることもある」を最初からセットで伝えることです。工夫3のように、変更後の見通しまで一緒に示すと、変化への耐性も少しずつ育っていきます。
まだ文字が読めない年齢でも見える化はできますか?
できます。写真・イラスト・絵カードを使えば、文字が読めなくても「次に何をするか」は十分伝わります。実物の写真を使うとさらにイメージしやすくなります。
診断がついていない「グレーゾーン」でも当てはまりますか?
当てはまります。見通しの不安は診断の有無にかかわらず起こります。診断名ではなく「何に困っているか」に合わせて支えることが大切です。
オンライン家庭教師は人見知りの強い子でも続けられますか?
慣れた自宅から受けられ、カメラのオン・オフも相談できるため、対人緊張の強いお子さんでも始めやすい形です。同じ先生が継続して伴走することで、「次もこの流れ」という安心感が生まれます。
関連記事
- 毎晩の宿題で癇癪を起こす…なぜ?発達障害の子が崩れる理由と、今夜から使える関わり方(崩れてしまった”後”の対処はこちら)
- 【2026年版】発達障害・グレーゾーンの子におすすめのオンライン家庭教師|特性別の選び方と学習法
- ASDの子に家庭教師・オンライン指導が向く理由は?合う先生の選び方5選
参考文献
- 有限会社扇芳閣「世界自閉症啓発デー・モニター宿泊」プレスリリース(PR TIMES、2026年3月16日)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000075732.html
この記事の著者
まなぶてらす編集部
「まなぶてらす」は、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスです。一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばし、お子さまの強みを育てることを大切にしています。学びに関する最新情報や、家庭学習に役立つ知識をお届けします。
この記事の監修者
るか先生(伊藤 陽香)
臨床心理士・公認心理師
臨床心理士(11年目)・公認心理師(第1回国家試験合格)。スクールカウンセラーとして小中高18校で勤務し、発達障害・不登校の児童生徒へのカウンセリングや保護者相談を多数実施。精神科病院での心理検査、放課後等デイサービスでの個別療育の経験も持つ。愛知淑徳大学大学院心理学研究科修了。


