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こんにちは、まなぶてらす代表の坂本です。

前回(第12回)の 「おつり計算法」では、1000や10000のような キリのいい数からのひき算 をくり下がりなしで解く方法をご紹介しました。今回はその発展形——1026−387のような『中途半端な数からのひき算』も、たし算だけで解いてしまう という、ちょっと不思議な計算テクニック「引かないひき算」をお届けします。

この記事は、全15回連載 「計算が2倍速くなる!中学受験のための計算スピードアップ術」 の第13回。「引かないひき算」という計算テクニックをご紹介します。

坂本七郎
坂本七郎
1026−387=?——筆算するとくり下がりが続いてミスしやすい計算ですよね。でも、「387から1026まで、いくつ足したら届く?」と考えれば、ひき算なのに 一度もひかずに 答えが出ます。前回の「おつり計算法」を上手に使うのがポイントです。

「引かないひき算」を学ぶ4つのメリット

  • くり下がりが完全に消える——ひき算を「たし算」に置き換えるので、苦手なくり下がりがゼロに
  • 中途半端な数からのひき算もラクラク——1026、511、303のような数からのひき算が暗算に
  • 第12回の「おつり計算法」を活かせる——前回の学びがそのまま使える、シリーズの集大成
  • 「ひき算=距離」の感覚が深まる——数の関係を立体的に捉える賢くなる計算テクニックの真髄

なぜ「引かないひき算」でひき算がラクになるのか?

結論:ひき算は 「2つの数のあいだの距離」 を求める計算なので、「ひく数」から数を足していって「ひかれる数」にたどり着く——つまり たし算で同じ答えを出せる からです。

第12回でご紹介した 「1000−368は632」 という計算を思い出してください。これは「368に 632 を足すと1000」と同じ意味でした。

1000 − 368 = 632
↑これは↓と同じ意味
368 + 632 = 1000

この「ひき算 = 距離」の発想を、キリのいい数以外(1026、511、303など)からのひき算 にも応用するのが「引かないひき算」です。

基本3ステップ:「引かないひき算」のやり方

結論:「ひく数」 → 「キリのいい数」 → 「ひかれる数」 の 2段階の旅 で答えにたどり着きます。前回の「おつり計算法」がそのまま使えるので、新しく覚えることはほぼゼロです。

「引かないひき算」3ステップ

ステップ やること
「ひく数」の少し上にある キリのいい数(1000、500、300など)を決める
「ひく数」から「キリのいい数」までの距離を出す(=おつり計算)
「キリのいい数」から「ひかれる数」までの差を ②に足す

言葉だと難しく見えますが、例で見るとすぐ分かります。

例題で慣れよう:「引かないひき算」のいろいろなパターン

例題1:1026 − 387(典型パターン)

1026 − 387 の解き方
① キリのいい数を 1000 に決める
② 387 から 1000 までの距離 → 387からあといくつ足せば1000? 3→あと6、8→あと1、7→あと3 = 613
③ 1000 から 1026 までの距離 → 26
④ 613 + 26 = 639

ひき算なのに、出てきた計算は 「おつり計算」と「足し算」だけ。くり下がりはゼロ回です。

例題2:511 − 283

511 − 283 の解き方
① キリのいい数を 500 に決める
② 283 から 500 までの距離 → 283からあといくつ足せば500? 2→あと2、8→あと1、3→あと7 = 217
③ 500 から 511 までの距離 → 11
④ 217 + 11 = 228

500のような 「先頭が1ではないキリのいい数」 でも、第12回で学んだ「あといくつ足せばキリのいい数?」の発想がそのまま使えます。

例題3:303 − 189(小さめの数でも有効)

303 − 189 の解き方
① キリのいい数を 300 に決める
② 189 から 300 までの距離 → 189からあといくつ足せば300? 1→あと1、8→あと1、9→あと1 = 111
③ 300 から 303 までの距離 → 3
④ 111 + 3 = 114

3桁同士のひき算でも、くり下がりに悩まされずスッキリ解けます。

例題4:3025 − 2434(千の位が混在)

3025 − 2434 の解き方
① キリのいい数を 3000 に決める
② 2434 から 3000 までの距離 → 2434からあといくつ足せば3000? 2→あと0、4→あと5、3→あと6、4→あと6 = 566
③ 3000 から 3025 までの距離 → 25
④ 566 + 25 = 591

例題5:1465 − 999(応用:ひく数自体がキリのいい数に近い)

「999」のようにキリのいい数に近いひく数の場合、もっとシンプルなやり方があります。

1465 − 999 の解き方
999 + 1 = 1000 と考える
1465 − 999 = 1465 − 1000 + 1 = 465 + 1 = 466

坂本七郎
坂本七郎
「999みたいに『ほぼキリのいい数』なら、ひと足ししてキリのいい数にしてからひく」のがコツ。これは次回(第14回)の「ざっくり引いて」と直結する発想です。計算テクニックは『使い分け』が命——ひき算でも、相手の数を見て一瞬で「どのテクニックが最速か」を判断する習慣をつけましょう。

「引かないひき算」が一番効くのはどんなとき?(使いどころ)

結論:このテクニックが本領を発揮するのは、ひかれる数が「キリのいい数より少し大きい数」で、くり下がりが何回も続くひき算 です。

【得意】キリのいい数の少し上:1003 − 567
筆算だと0が並んで くり下がりが3回連続 → ミスしやすい
引かないひき算:567→1000が433、1000→1003が3 → 436(くり下がりゼロ)

【筆算が速い】キリのいい数の少し下:297 − 189
297 は 300 より少し小さい数。この場合は くり下がりが1回だけ で済むことが多く、そのままひいたほうが速い
(297 − 189 = 108

坂本七郎
坂本七郎
計算テクニックは『使い分け』が命。ひき算を見たら、まず 「筆算したらくり下がりは多そう?」 と一瞬考えてみましょう。1003、3025 のように 0が並ぶ数(キリのいい数の少し上)からひくならくり下がりが連発するので「引かないひき算」の出番。297 のようにくり下がりが少なそうなら筆算が速い——この見極めが一瞬でできると、計算スピードは一気に上がります。

応用:引かないひき算は「確かめ算(検算)」としても使える

結論:「引かないひき算」は 特にくり下がりの多いひき算の『検算』 として超強力です。ひき算と「逆向きのたし算」の両方で同じ答えが出れば、計算ミスはほぼ起こりません。

確かめ算としての使い方(1026−387 の例)
① 筆算で 1026 − 387 を計算 → 答え 639
② 念のため「引かないひき算」でもう一度:387→1000は613、1000→1026は26、合計 639
③ 両方一致 → 自信を持って次の問題へ
④ 違っていたら → 見直しサイン

連載を通じて何度もお伝えしている 「1つの計算を2つの方法で確認する」 習慣。引かないひき算は、ひき算の検算として最強の相棒です。

中学受験で、このテクニックはどの場面で使える?

結論:道のりの計算、年齢算、金額の差、時間の差——中学受験のあらゆる「差」を求める場面 で「引かないひき算」は活躍します。

  • 道のりの差:「全長1500mの道で、267m進んだ。残りは?」→ 267→300が33、300→1500が1200 → 1233m
  • 金額の差:「定価2025円の本を1437円で買った。差は?」→ 1437→2000が563、2000→2025が25 → 588円
  • 年齢の差:「西暦2026年から見て、1958年生まれの人は何歳?」→ 1958→2000が42、2000→2026が26 → 68歳
  • 時間の差:「19時15分まであと何分?(今は18時37分)」→ 37分から60分までがあと23分、さらに+15分で 38分(60進法でも同じ発想)

ひき算は「差を測る」計算。「差 = ひく数から、ひかれる数までの距離」 という発想は、計算スピードを上げるだけでなく、数を立体的に捉える力 そのものを育てます。

【練習問題】親子で挑戦!「引かないひき算」10問

できるだけ暗算で挑戦してみてください。目標時間は 5分以内 です。

練習問題(できるだけ暗算で)

  1. 1004 − 195 =
  2. 1100 − 287 =
  3. 330 − 294 =
  4. 602 − 168 =
  5. 720 − 567 =
  6. 810 − 25 =
  7. 1404 − 849 =
  8. 3025 − 2434 =
  9. 1465 − 999 =
  10. 5986 − 1999 =

解答と解説

  1. 1004 − 195:195→1000が805、1000→1004が4 → 809
  2. 1100 − 287:287→1000が713、1000→1100が100 → 813
  3. 330 − 294:294→300が6、300→330が30 → 36
  4. 602 − 168:168→600が432、600→602が2 → 434
  5. 720 − 567:567→700が133、700→720が20 → 153
  6. 810 − 25:25→800が775、800→810が10 → 785
  7. 1404 − 849:849→1000が151、1000→1404が404 → 555
  8. 3025 − 2434:2434→3000が566、3000→3025が25 → 591
  9. 1465 − 999:999→1000が1、1000→1465が465 → 466(または1465−1000+1)
  10. 5986 − 1999:1999→2000が1、2000→5986が3986 → 3987(または5986−2000+1)
坂本七郎
坂本七郎
どうでしたか?特に ⑨⑩ のような「999、1999のようにキリのいい数に近い数」をひく場合、「+1してキリよくしてから、最後に+1する」 発想がぐっとラクですね。これは次回(第14回)の「ざっくり引いて」とつながるテクニック。連載もあと1回でラスト、楽しみにしていてください。

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シリーズ「計算スピードアップ術」全15回のご案内

この記事は、まなぶてらすが中学受験生の保護者向けにお届けする、全15回の 賢くなる計算テクニック 連載の第13回です。今後も、平日1日1本ずつ「思考の引き出し」を増やすテクニックをお届けしていきます。

シリーズ全15回・予定ラインナップ

よくある質問(FAQ)

Q1. 「キリのいい数」はどう決めればいいですか?

A. 「ひく数のすぐ上にある、計算しやすい数」 を選びます。具体的には:「ひく数が3桁前半(100台、200台…)」なら100単位(100、200、300…)、「ひく数が3桁後半~4桁」なら100単位 or 1000単位(500、1000、2000…)、「先頭の数 + 0が並ぶ数」が最有力候補。慣れてくれば、数を見た瞬間に「これは1000をターゲット」「これは500をターゲット」と即決できるようになります。

Q2. ふつうに筆算したほうが速い場合もありますか?

A. はい、あります。「くり下がりが少ない」「ひく数とひかれる数が近い」ようなひき算(例:347−245)は筆算の方が速いです。「引かないひき算」が真価を発揮するのは、①ひかれる数がキリのいい数に近い(1004、3025など)/②くり下がりが3つ以上連続する 場合です。テクニックは「使いどころを見極める」のがコツです。

Q3. 連載もあと1回。総復習はどうすればいいですか?

A. 第14回(最終回)で ひき算の総まとめ+全シリーズ振り返り をお届けします。それまでに 毎日5問、3つのひき算テクニック(おつり計算、引かないひき算、第14回のざっくり引いて)を意識して使い分け てみてください。使い分けの判断力こそ、「賢くなる計算テクニック」の本領。数を見て「これは何が最速?」と一瞬で判断できる引き出しが、中学受験算数の総合力を底上げします。

坂本七郎
坂本七郎
この連載は、単純にスピードアップや早く計算することだけにこだわったものではなく、確かめ算として有効な方法を提供することに加え、AI時代に必要な『別解を求める力』あるいは『思考の幅を広げる』というところを意識して作成しています。

全部筆算でやったほうが早いと思われるかもしれませんが、このような別の切り口からの発想を考え、理解し、練習するということは非常に重要なことですので、ぜひ学んで練習してみてください。

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次回予告

第14回(最終回):大きな数を「ざっくり引いて」速く解く

いよいよ連載最終回。第14回は 「3654−1898 のように、ひく数がキリのいい数に近いケース」 を一瞬で解く 『ざっくり引いて、ひきすぎを後で戻す』 テクニックをご紹介。今回の「引かないひき算」と組み合わせて、あらゆるひき算を制覇する『使い分けマップ』 をお届けします。連載のラストもお楽しみに。

この記事の著者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。

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▼ 坂本七郎の主な著書(中学受験関連)

でる順「中学受験」漢字1580が7時間で覚えられる問題集(大和出版)
中学受験は2科目だけ勉強すればいい(ナツメ社)

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第14回:大きな数を「ざっくり引いて」速く解く(近日公開)




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