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随筆文とは? 入試頻出パターン4種とおすすめエッセイ本

 

こんにちは、まなぶてらすです。

論理的文章の中の随筆文というジャンルについてざっくりと書いていきたいと思います。

 

そもそも随筆文は、ジャンル分けが不鮮明なところがあって、多くの受験生が嫌がるジャンルです。

随筆文を好んで出す学校はないですが、まあこういった知見も国語を解く一助になるのではと思います。

 

では、「随筆文という厄介なジャンルについて」というテーマで書いていきます。

(最後におすすめのエッセイ本をつけておきます♨)

 

〇随筆文とは
随筆文とは、なかなか定義が難しい文章です。
というのも、「書き方が自由」であるためです。随筆文を英語で”エッセイ”と呼びます。

本屋さんにいくとエッセイ本を集めた棚があると思うのですが、実に多種多様です。芸能人が書いているものもあれば、学者の先生が書いているものもある。一般の人が書いているものもあります。こういった意味で、随筆文(エッセイ)を一言で定義するのは難しいです。

ただ、受験で出題される随筆文には、一定の基準があります。
私も最初は随筆文というものが入試で出題されると、どういった解法があるか?ということを非常に悩みました。ただ、多くの問題に触れているうちに一定の基準によって選ばれた文章が出題されています。

 

〇受験における随筆文
論説や小説にもパターンがあるように、随筆文にもパターンがあります。そのパターンの本質を理解することで、初めて読む随筆文でも、”わからない”という状態で読むことがなくなります。だいたいこんなことが書いてあるんだろうなぁ~と推測をつけて読むことができます。できる受験生は、本番の入試問題を見ても、”あ~このパターンか”と初めて見る問題でも、今までやった問題のように解くことができます。その状態を作り出すことが受験勉強です。

では、随筆文のパターンを見ていきましょう。(ここであげるパターンは、あくまで”入試の随筆文”です。世の中のすべての随筆文がこのパターンに当てはまるというわけではないです。)

日常⇔非日常
まず、随筆文では、「日常と非日常」という対立構造があります。
随筆文で扱われる題材は、”旅行にいった話””自然豊かな場所にいった体験””貴重な体験”といったものです。これらは、常に「日常⇔非日常」という対立構造を含んでいます。

例えば、”旅行”。これは、まさに、「非日常的な体験」なわけです。また、”自然豊かな場所に行った体験”。これもよく扱われます。現代の社会では、日常の生活に”自然”を感じることがあまりありません。地面は、コンクリートに覆われ、建物は、木造からコンクリートに変化しました。食品も天然の食材を調理するというより、加工食品に頼ることが多くなってきました。つまり、生活全体が、”人工的なもの”に囲まれているのが、現代社会なのです。よって、「自然」の力を感じるような体験というのは、現代社会において「非日常的な体験」として扱われるのです。

あとは、”貴重な体験”。例えば、”戦争を経験した””発展途上国で貧困の現実を目の当たりにした”などがよく取り上げられる題材です。これらも、我々日本人からすると非日常的な体験ということができます。

現在⇔過去

次に「現在⇔過去」という対立構造も頻繁に登場します。この「現在⇔過去」という対立構造を分かりやすく言い直すと、”昔話をする”ということです。

随筆文の文章は、40歳以上の作者の者が多いです。つまり、人生経験が豊富な人が書く文章ということです。自分の人生で過去にあったことや体験したことを書く随筆文が多いです。筆者の”昔話”=”過去にあったこと”を現在から振り返って文章を書いているわけです。この手の昔話でよく扱われるのは、”戦争”の話や”文化”の話です。戦争というのは、現代人が経験したことのない、過去の歴史です。そういった過去の事実を今振り返ってどう思うかということを戦争経験者である作者が書くということはよくあります。

また、”文化”についての話でも同様のことが言えます。今はなくなってしまって、見ることがない文化を昔の思い出として書くような文章です。例えば、昔は、パソコンというものがなかったから、手書きで色々書いていたとか、昔よく来ていた古本屋がなくなったとか、そういった話が多いです。

感想/意見⇔事実/経験/体験
この構造は随筆文すべての共通しています。「事実/経験/体験」に対し、自分の「感想/意見」を書くという構造です。
先述した「日常⇔非日常」や「現在⇔過去」という構造も、言い換えると、「感想/意見⇔事実/経験/体験」という構造になっています。
まず、事実や経験、体験というのは、過去にあったことです。もう終わったこととして記憶や思い出に残っているものを指します。一方、感想や意見というのは、現在、自分がどう思っているかということです。随筆文は過去を振り返って、現在どう思うかという構造があるように、これは、事実、経験、体験を踏まえて、感想や意見を抱くという構造にいいかえることができます。

④現代/近代⇔前近代=現代社会批判/近代社会批判
難しい言葉ですが、今と昔を対比させているということは、「現在⇔過去」という対立軸と同様です。
「現代/近代⇔前近代」のポイントは、今と昔を対比していることで、今の社会を批判したり、分析したりしているということです。
例えば、昔の暮らし方と今の暮らし方を比較し、今の世の中のあり方を批判するような構造の文章は多いです。”昭和の時代であれば、ゴミが多く出ない、自然環境に優しい生活スタイルだった。しかし、今は、ゴミを大量に出すような生活スタイルになっている。現代人の生活を改めるべきだ”というような展開です。

 

おすすめのエッセイ本

生きて死ぬ私

君も一番になれる

・「女」らしさとはなにか

もものかんづめ

だからあなたも生き抜いて

ひめゆりの塔をめぐる人々の手記

 

こんな感じです。

小学生であれば、「君も一番になれる」「もものかんづめ」あたりいいと思います。私も小6で楽しんで読みました。

生きて死ぬ私は茂木健一郎さんの本です。

「女らしさとはなにか」は与謝野晶子の手記です。文章力がすごすぎて圧倒されます。

「だからあなたもいきぬいて」はこの中では一番有名な本だと思います。ドラマチックで面白いし、感動します。

「ひめゆりの塔をめぐる人々の手記」高校の時読んで衝撃を受けました。沖縄戦を実際に体験した方の手記です。内容もさることながら、文章が精巧でうまいです。昔の学校の先生はとんでもないエリート職業だったというのはほんとですね…

 

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