※本記事には「まなぶてらす」のサービス紹介が含まれます

こんにちは、まなぶてらす代表の坂本です。

第9〜10回の「わり算編」が終わり、ここからは「たし算編」に入ります。第11回のテーマは「くり上がりのあるたし算」を一瞬でラクにする『あなうめ算』。お子さまが筆算でつまずきがちな 297+347、486+469 のような計算が、頭の中だけでぱっと解けるようになります。

この記事は、全14回連載 「計算が2倍速くなる!中学受験のための計算スピードアップ術」 の第11回。「あなうめ算」という、坂本が名づけた計算テクニックをご紹介します。

坂本七郎
坂本七郎
297+347=?——筆算でも解けますが、くり上がりが2回続くので計算ミスが起きやすい計算ですよね。でも、「297に3を足して300にし、347からその3を借りる」と考えると、300+344=644。たったこれだけで答えが出るのです。これが今回ご紹介する「あなうめ算」のテクニックです。

「あなうめ算」テクニックを学ぶ4つのメリット

  • くり上がりのたし算でミスが激減——もっとも計算ミスが起きやすい場面を一気にラクに
  • 筆算なしで暗算できる——3桁+3桁のたし算が頭の中だけで処理できる
  • 「10・100・1000の補数感覚」が身につく——あと何で10になるか、を見抜く力
  • 「数を組み替える」思考の引き出し——式の形を変えてラクに解く発想は、賢くなる計算テクニックの核

なぜ「あなうめ算」でたし算がラクになるのか?

結論:たし算は、片方の数から少しもらって相手に渡しても、合計(答え)は変わらないからです。この性質を使って、片方を「10・100・1000のキリのいい数」にしてしまえば、計算がぐっとラクになります。

たとえば 297+347 という計算を見てみましょう。297 はあと 3 足してやれば、ちょうど 300 になります。

297 + 3 = 300(キリのいい数)

そこで、もう一方の 347 から 3 を借りてきて、297 に渡してあげます。すると:

297 + 347
= (297 + 3) + (347 − 3)
300 + 344
644

300 + 344 はくり上がりがないので、暗算で一瞬で出せます。これが「あなうめ算」の正体です。

「あなうめ算」の合言葉
キリのいい数(10・100・1000)に足りない「穴」をうめるように、片方の数を整える。
そのぶん、もう一方から同じ数を借りる

穴をうめて、相手から借りる」——この2ステップだけ。

坂本七郎
坂本七郎
このテクニックの名前「あなうめ算」は私がつけました。キリのいい数まで「穴」をうめてあげるイメージで覚えると、お子さまにも入りやすいです。「たし算が苦手」というお子さまでも、ゲーム感覚で身につけられます。

基本2ステップ:「あなうめ算」のやり方

結論:①片方の数を見て「あといくつでキリのいい数になるか」を考える ②もう一方からその数だけ借りる——たった2つの動きで答えが出ます。

例題として、492+459 を「あなうめ算」で解いてみましょう。

ステップ1:片方の数を「キリのいい数」に整える

492 を見て、「あと 8 足せば 500」と気づきます。

ステップ2:もう一方から「同じ数」を借りる

459 から 8 を借りて、492 に渡す。
492 + 8 = 500、459 − 8 = 451
答えは 500 + 451 = 951

492 + 459 の解き方
① 492 + 8 = 500(あと8で500)
② 459 − 8 = 451
③ 500 + 451 = 951

くり上がりが起きないので、暗算で一瞬。慣れれば手も止まらず答えに辿り着けます。

例題で慣れよう:「あなうめ算」のいろいろなパターン

結論:「キリのいい数」は10・100・1000だけではなく、250・500・750のような『キリのいい数の半分』でもOK。状況に合わせて柔軟に選べます。

例題1:133 + 248(250でキリよくする)

133 + 248 の解き方
248 を見て「あと2で250」
133 − 2 = 131、248 + 2 = 250
答え:131 + 250 = 381

250 のような「半端だけど計算しやすい数」に合わせるのもアリ。「キリのいい数=100の倍数だけ」と決めつけない発想がポイントです。

例題2:86 + 38(一の位を0にするだけ)

86 + 38 の解き方
38 を見て「あと2で40」
86 − 2 = 84、38 + 2 = 40
答え:84 + 40 = 124

2桁どうしの計算でも、「一の位を0にするだけ」でぐっとラクになります。

例題3:16 + 18(小さな数どうしでも使える)

16 + 18 の解き方
18 を見て「あと2で20」
16 − 2 = 14、18 + 2 = 20
答え:14 + 20 = 34

16+18=34 は普通に計算してもできますが、「あなうめ算」の発想を身につけると どんな大きさの数でも同じやり方で対応できる ようになります。

例題4:265 + 476(どこまで穴うめするかは自由)

265 + 476 の解き方
476 を見て「あと24で500」
265 − 24 = 241、476 + 24 = 500
答え:241 + 500 = 741

「どこまで穴うめするか」はお子さまの感覚で決めてOK。500にしてもいいし、もう一段進めて1000にしてもいい。自分が一番計算しやすい形に持っていくのが正解です。

例題5:3つ以上のたし算にも使える

32 + 65 + 44 のような3つの数のたし算でも、「あなうめ算」は使えます。

32 + 65 + 44 の解き方
順番を入れ替えて 65 + 32 + 44
65 を見て「あと35で100」になると気づく
隣の 32 とその隣の 44 から 3 の合計 35 を借りてくれば、
答え:100 + 41 = 141

3つ以上のたし算では、「キリよくなる組み合わせを探す」視点も大切。場合の数を上手に組み替えるトレーニングにもなります。

応用:あなうめ算は「確かめ算(検算)」としても使える

結論:あなうめ算は普通に筆算で解いたあとの「もう一度別の方法で確認する」確かめ算として絶大な威力を発揮します。1つの計算を2通りで解くことで、ケアレスミスを劇的に減らせます。

中学受験で点数を落とす最大の原因は「計算ミス」。問題の解法は合っているのに、たし算1か所のミスで失点——という経験は誰にでもあります。

そこで、普通に筆算で答えを出したあとに、もう一度「あなうめ算」で同じ計算をやってみるのがおすすめです。

確かめ算としての使い方(297+347 の例)
① まずは普通に筆算で計算する → 答え 644
② 念のため「あなうめ算」でもう一度:297+3=300、347-3=344 → 300+344 = 644
③ 両方の答えが一致 → 自信を持って次の問題へ進める
④ もし違っていたら → どこかでミスしているサイン、見直しが必要

坂本七郎
坂本七郎
1つの計算を2つの独立した方法で確認すると、計算ミスはほぼゼロに近づきます。これは九九でも同じで、「8×7」が不安なら「7×8」で確認したり、「8×6=48」に8を足して確かめたりと、複数のルートで答えを出す習慣が「ケアレスミスゼロ」への近道です。あなうめ算は筆算とまったく違う発想で解くので、検算として最高の相棒になります。

中学受験で、このテクニックはどの場面で使える?

結論:和差算、つるかめ算、速さ、面積——中学受験の文章題のほぼ全てで「たし算」は出てきます。あなうめ算が身につけば、ミスの原因になる「くり上がり」を回避できます。

  • 和差算:兄と弟の合計が 286 + 247 → 247+3=250、286-3=283 → 250+283=533
  • 速さ:「行きと帰りの合計時間 48分+37分」→ 50+35 = 85分
  • 面積の和:「2つの長方形 268cm² + 134cm²」→ 268+2=270、134-2=132 → 270+132 = 402cm²
  • 金額の合計:「398円 + 247円」→ 400+245 = 645円(コンビニ感覚で使える)

このように、「穴をうめて、相手から借りる」発想は、中学受験のあらゆる文章題で活躍します。計算ミスが減れば、その分だけ「考える時間」に回せる——これが「賢くなる計算テクニック」の本領です。

【練習問題】親子で挑戦!「あなうめ算」10問

ここまでの内容を定着させるため、実際に問題を解いてみましょう。筆算なし・あなうめ算だけで挑戦してみてください。

練習問題(あなうめ算を使って暗算で)

  1. 28 + 24 =
  2. 49 + 37 =
  3. 124 + 97 =
  4. 164 + 48 =
  5. 289 + 24 =
  6. 198 + 56 =
  7. 487 + 469 =
  8. 392 + 615 =
  9. 56 + 39 + 27 =
  10. 78 + 45 + 54 =

解答と解説

  1. 28 + 24 → 30 + 22 = 52(28に2、24から2)
  2. 49 + 37 → 50 + 36 = 86(49に1、37から1)
  3. 124 + 97 → 121 + 100 = 221(97に3、124から3)
  4. 164 + 48 → 162 + 50 = 212(48に2、164から2)
  5. 289 + 24 → 300 + 13 = 313(289に11、24から11)
  6. 198 + 56 → 200 + 54 = 254(198に2、56から2)
  7. 487 + 469 → 500 + 456 = 956(487に13、469から13)
  8. 392 + 615 → 400 + 607 = 1007(392に8、615から8)
  9. 56 + 39 + 27:39 と 27 を 40 と 30 にするには 4 必要なので、4 を 56 から借りる → 52 + 40 + 30 = 122
  10. 78 + 45 + 54:78 を100にするため、45と54から22借りる → 100 + (45+54-22) = 100 + 77 = 177
坂本七郎
坂本七郎
どうでしたか?最初は「あといくつでキリよくなる?」と考える時間がかかるかもしれませんが、毎日5問ずつ続ければ、1週間で『反射的に』穴うめができるようになります。「100の補数」「1000の補数」を感覚で押さえることが、中学受験のあらゆる場面で武器になりますよ。

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シリーズ「計算スピードアップ術」全14回のご案内

この記事は、まなぶてらすが中学受験生の保護者向けにお届けする、全14回の賢くなる計算テクニック連載の第11回です。今後も、平日1日1本ずつ「思考の引き出し」を増やすテクニックをお届けしていきます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 「あといくつでキリのいい数?」がすぐに思いつきません。コツはありますか?

A. 「10の補数」を覚えてしまうのが一番のコツです。「1と9」「2と8」「3と7」「4と6」「5と5」——この5組がスラスラ出てくれば、一の位は瞬時に判断できます。100や1000まで持っていく場合も、十の位・百の位それぞれで同じ補数を考えるだけ。「あといくつで10?」を毎日5問ずつ口に出して練習すると、1週間で反射的にできるようになります。

Q2. あなうめ算は筆算より速いですか?

A. くり上がりが2回以上あるたし算なら、確実にあなうめ算の方が速いです。たとえば 297+347 を筆算で解くと、一の位・十の位でくり上がりが2回発生し、ミスの確率が高くなります。一方あなうめ算なら、300+344 にして暗算で一瞬。「くり上がりを発生させない」こと自体がミス防止になるので、速さだけでなく正確さも上がります。

Q3. 子どもが「借りる」「渡す」の感覚を理解しません。

A. 「お金のやりとり」に例えるとイメージしやすいです。「お兄ちゃんが 297円、弟が 347円持ってる。お兄ちゃんがあと3円あれば 300円ピッタリだから、弟から3円借りた。すると弟は 344円。合計は変わらず 300+344 = 644円」——このようなストーリーで説明すると、お子さまにもスッと入ります。『合計は変わらない』ことを実感できれば、あとは自然に手が動くようになります。

Q4. キリのいい数は「100の倍数」じゃないとダメですか?

A. いいえ、250・500・750・150 のような「半端だけど計算しやすい数」でも構いません。例題1の「133+248 → 131+250」のように、状況に合わせて柔軟に選んでください。「自分が一番計算しやすい形にする」のが正解です。慣れてくると、お子さま自身が最適な形を見つけられるようになります。

Q5. 引き算にも応用できますか?

A. はい、応用できます。次回(第12回)の「おつり計算法」では、まさにこの「あなうめ算」の発想を引き算に応用したテクニックをご紹介します。「キリのいい数を作る」感覚は、たし算・ひき算の両方で武器になります。あなうめ算をしっかり身につけてから次回に進むと、引き算編もスムーズに入れます。

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次回予告

第12回:繰り下がりが消える「おつり計算法」

今回学んだ「あなうめ算」を、引き算に応用したのが「おつり計算法」です。1000円札で 368円の買い物をしたときのおつり——あの感覚を使って、くり下がりを発生させずに引き算を解く方法をご紹介します。次回もお楽しみに。

この記事の著者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。

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▼ 坂本七郎の主な著書(中学受験関連)

でる順「中学受験」漢字1580が7時間で覚えられる問題集(大和出版)
中学受験は2科目だけ勉強すればいい(ナツメ社)

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第12回:繰り下がりが消える「おつり計算法」(近日公開)




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