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こんにちは、まなぶてらす代表の坂本です。

第1〜8回の「かけ算編」が終わり、ここからは舞台を変えて「わり算編」に入ります。第9回のテーマは「約分・倍分」でわり算を3秒に縮める計算テクニックです。

この記事は、全14回連載 「計算が2倍速くなる!中学受験のための計算スピードアップ術」 の第9回。「840÷35」「144÷24」「256÷64」のような筆算の手間がかかる割り算が、たった一手間でぱっと解けるようになります。

坂本七郎
坂本七郎
840÷35=?——筆算で立式するとそこそこ手間がかかりますよね。でも、わり算を「分数」と捉え直して、両方を7でわってみると、120÷5 = 24——たったこれだけで答えが出るのです。これが今回ご紹介する「約分・倍分」のテクニックです。

「約分・倍分」テクニックを学ぶ4つのメリット

  • 大きな数のわり算が一瞬で解ける——3桁÷2桁の筆算が「1桁÷1桁」レベルに縮む
  • 小数のわり算が怖くなくなる——両方を10倍・100倍するだけで整数の計算に
  • 分数の感覚が身につく——「わり算=分数」の発想は中学・高校の数学にもつながる
  • 「数の見方」を増やす思考の引き出し——同じ計算を別の形に変える発想は、賢くなる計算テクニックの核

なぜ「約分・倍分」でわり算がラクになるのか?

結論:わり算は分数として捉え直すことができ、分数には「分母と分子に同じ数をかけたり割ったりしても、答え(大きさ)は変わらない」という強力な性質があるからです。

たとえば 840÷35 という割り算を、次のように分数の形で書いてみます。

840÷35 =

84035

ここで、分母と分子を両方とも「7」でわってみるとどうなるでしょうか。

840 ÷ 7 = 120
35 ÷ 7 = 5

84035=

1205= 24

3桁÷2桁だった割り算が、3桁÷1桁の暗算レベルにまで小さくなりました。これが「約分」の力です。

分数の性質(中学受験の超重要ルール)
分母と分子に同じ数をかけたり(=倍分)わったり(=約分)しても、分数の大きさは変わらない

例:

12=

24=

36=

50100 (すべて同じ大きさ)

わり算は分数として書き直せるので、この「同じ数でかけたりわったりする」を使って、計算しやすい形に変えてしまう——これが「約分・倍分」テクニックの原理です。

基本の4手筋:「÷2、÷4、÷5、×2」のどれかを試す

結論:割り算を見たら、まず「両方を÷2、÷4、÷5、または×2してシンプルにできないか?」を考える——この4つの手筋を頭に入れておくと、ほとんどのわり算が一気にラクになります。

「どんな数で約分・倍分すればいいの?」——迷ったときは、まずこの4つの手筋から試してみましょう。

わり算を見たらまず試す「4つの手筋」

手筋 使う場面
÷2 両方が偶数のとき 196÷14 → 98÷7
÷4 や÷7 両方が4・7・他の同じ数で割れるとき 840÷35 → 120÷5
÷5 両方の一の位が0または5のとき 225÷45 → 45÷9
×2、×4、×10、×100 小数や0.25・0.5などが含まれるとき 14÷3.5 → 28÷7
坂本七郎
坂本七郎
「割り算を見たら、まず両方の数の特徴を見る」——これが今回最大のコツです。両方が偶数なら÷2、両方が5の倍数なら÷5、小数があれば×10や×100、0.25や0.75があれば×4。数の見方を増やすことで、計算は驚くほどラクになります

整数のわり算の例題:「÷同じ数」で一気にシンプルに

結論:両方を同じ数でわると、3桁÷2桁の筆算が、頭の中で解ける1桁レベルの計算に変わります。

例題1:840÷35 を解く

840÷35 の解き方
両方が「7」でわれることに気づく
840 ÷ 7 = 120、35 ÷ 7 = 5
120÷5 = 24

「840は7の倍数?」と思うかもしれませんが、35が7×5であることに気づければ、840も7でわれるのでは?と試す価値が出てきます。

例題2:144÷24 を解く

144÷24 の解き方
両方が「12」でわれる
144 ÷ 12 = 12、24 ÷ 12 = 2
12÷2 = 6

144 = 12 × 12(12の2乗)——この感覚を持っていると、「144が出てきたら12でわれそう」とパッと反応できます。

例題3:256÷64 を解く

256÷64 の解き方
「8×8 = 64」だから「8でわれる」と気づく
256 ÷ 8 = 32、64 ÷ 8 = 8
32÷8 = 4

まず「8×8 = 64」のような九九から「8でわれる」を見抜くのがいちばん身近な入口です。さらに、256 = 16 × 16(16の2乗)に気づけば、両方を16で一気にわって「16÷4 = 4」と1ステップで解くこともできます(第8回でご紹介した「11〜19の2乗」を覚えておくと、こうしたショートカットができるようになります)。

小数のわり算は「×10、×100」でラクに

結論:小数を含むわり算は、両方を10倍・100倍して整数のわり算に変えてしまうのが最速ルートです。

小数のわり算が苦手なお子さまは多いですが、「両方を同じ倍数にする」発想を持つだけで一気にラクになります。

例題4:0.2÷0.04 を解く

0.2÷0.04 の解き方
両方を100倍して整数のわり算に
0.2 × 100 = 20、0.04 × 100 = 4
20÷4 = 5

例題5:14÷3.5 を解く

14÷3.5 の解き方
両方を2倍すると、小数が消える
14 × 2 = 28、3.5 × 2 = 7
28÷7 = 4

「3.5を2倍すると7」——0.5系の小数は2倍すると整数になることを意識すると、瞬時に判断できます。

例題6:34÷25 を解く

34÷25 の解き方
両方を4倍すると、25→100になる
34 × 4 = 136、25 × 4 = 100
136÷100 = 1.36

「25・75・125」を見たら『×4・×4・×8で100や1000にする』——これは第1回でご紹介した発想と同じ。かけ算の引き出しがそのままわり算でも使えるのが、シリーズの面白いところです。

中学受験で、このテクニックはどの場面で使える?

結論:速さ、割合、図形、単位換算——中学受験の算数の大半で「約分・倍分」のテクニックは活躍します。

  • 速さの計算:「2.4kmを0.3時間で進む」→ 速さは 2.4÷0.3 = 24÷3 = 8 km/時
  • 割合・百分率:「34人のうち何%?」 34÷25 = 136÷100 = 1.36(=136%)
  • 図形の比:「面積比 144:24」 → 両方÷24 で 6:1
  • 単位換算(時速→分速):「時速36km は分速何m?」 → 36000÷60 = 両方÷60 で 分速600m

わり算は中学受験のあらゆる場面で出てきます。「両方を同じ数でかけたり割ったりする」発想は、計算スピードだけでなく、数の関係を見抜く力そのものを育てます。

【練習問題】親子で挑戦!「約分・倍分」10問

「両方を同じ数でわる、または同じ数でかける」——この発想だけを使って、暗算または最小限のメモで挑戦してみてください。目標時間は3分以内です。

練習問題(できるだけ暗算で)

  1. 1280÷160 =
  2. 196÷14 =
  3. 169÷26 =
  4. 225÷45 =
  5. 324÷54 =
  6. 0.4÷0.05 =
  7. 2.4÷0.12 =
  8. 36÷4.5 =
  9. 3÷0.25 =
  10. 15÷0.75 =

解答と解説

  1. 1280÷160 → 両方÷10 → 128÷16 → 両方÷16 → 8(または「両方÷160」で一気に8)
  2. 196÷14 → 両方÷2 → 98÷7 = 14
  3. 169÷26 → 169は13の2乗、26=13×2 → 両方÷13 → 13÷2 = 6.5
  4. 225÷45 → 両方÷5 → 45÷9 = 5(または「両方÷45」で一気に5)
  5. 324÷54 → 両方÷18 → 18÷3 = 6(324=18²)
    別解:「54×何倍が324になる?」と発想する方法もOK。十の位 5×6=30 から「6倍くらいかな」とアタリをつけて、54×6=324 とちょうど合う → 6
  6. 0.4÷0.05 → 両方×100 → 40÷5 = 8
  7. 2.4÷0.12 → 両方×100 → 240÷12 = 20
  8. 36÷4.5 → 両方×2 → 72÷9 = 8
  9. 3÷0.25 → 両方×4 → 12÷1 = 12
  10. 15÷0.75 → 両方×4 → 60÷3 = 20
坂本七郎
坂本七郎
どうでしたか?特に③⑤のように「2乗の数」が出てきたら、その平方根(13、18など)を狙うと、一気に約分できます。169 → 13²、324 → 18² といった「数の正体」を見抜く力が、わり算でも大きな武器になるのです。

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シリーズ「計算スピードアップ術」全14回のご案内

この記事は、まなぶてらすが中学受験生の保護者向けにお届けする、全14回の賢くなる計算テクニック連載の第9回です。今後も、平日1日1本ずつ「思考の引き出し」を増やすテクニックをお届けしていきます。

シリーズ全14回・予定ラインナップ

よくある質問(FAQ)

Q1. 「両方を何でわればいいか」が、すぐに思いつきません。

A. 最初は「÷2、÷4、÷5、×2」の4つから順番に試すのがおすすめです。両方が偶数なら÷2、両方が5の倍数なら÷5、小数があれば×10や×100、0.5・0.25・0.75があれば×2や×4。「合言葉」のように4つの手筋を覚えてしまうと、迷う時間が減ります。慣れてくると、数を見た瞬間に「これは7でわれる」「12でわれる」とピンとくるようになります。

Q2. 約分・倍分を使うと、かえって時間がかかってしまいます。

A. 最初のうちは「やり方を考える時間」がかかるのは自然なこと。1日5問でいいので、毎日続けてみてください。1〜2週間で「数を見た瞬間に2や5でわれるか」が判断できるようになり、筆算より圧倒的に速くなります。最初は遅くてもOK、続けることが力になるのが計算テクニックの特徴です。

Q3. 大きな数(3桁÷2桁など)の約分・倍分が苦手です。コツはありますか?

A. 「2乗の数」を覚えておくのが大きなコツです。第8回でご紹介した 121=11²、144=12²、169=13²、196=14²、225=15²、256=16²、289=17²、324=18²、361=19² を頭に入れておけば、これらが出てきたときに「平方根(11〜19)でわれそう」とすぐ反応できます。たとえば「169÷26」なら「169=13²、26=13×2」と気づいて、両方÷13で「13÷2 = 6.5」と一瞬で解けます。

Q4. 小数のわり算は、なぜ「両方を10倍・100倍」していいのですか?

A. 「分数の性質」を使っているからです。0.2÷0.04 =

0.20.04

と分数で書くと、分母と分子に同じ数(=100)をかけているだけ。分数は分母と分子に同じ数をかけても大きさは変わらないので、答えは同じになります。「両方を整数にする」という発想は、小数の計算ミスを大幅に減らしてくれます。

Q5. このテクニックは、中学・高校に入っても使えますか?

A. はい、中学・高校・大学受験までずっと使えます。むしろ、中学・高校の数学では分数の約分・倍分が当たり前になります。今のうちに「わり算=分数」「両方に同じ数をかけたりわったりすればよい」という感覚を身につけておくと、後の数学が格段にラクになります。小学生のうちに身につけたい『一生モノの計算感覚』と言ってもよいでしょう。

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次回予告

第10回:約分はこれで完璧!約数の見つけ方 完全ガイド

今回は「両方を同じ数でわる」発想がテーマでしたが、「そもそも、その数は何でわれるのか?」を一瞬で見抜けたら——もっと約分・倍分が速くなります。次回は『約数の見つけ方』完全ガイド。各桁を足すだけで「3でわれる」「9でわれる」が分かる判定法と、難関校で出てくる「分母−分子」のヒントを一気にお届けし、約分の壁を完全に攻略します。次回もお楽しみに。

この記事の著者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。

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▼ 坂本七郎の主な著書(中学受験関連)

でる順「中学受験」漢字1580が7時間で覚えられる問題集(大和出版)
中学受験は2科目だけ勉強すればいい(ナツメ社)

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