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こんにちは、まなぶてらす代表の坂本です。

18×18=? 23×23=?——すぐに答えが言えますか?

第3回・第4回までで、「一の位が5の数」周辺の計算は数秒で解けるようになりました。でも、5以外の数の2乗になると、急に難しく感じますよね。中学受験の算数では 18² = 32423² = 529 といった「5以外の2乗」も普通に登場します。

この記事は、全14回連載 「計算が2倍速くなる!中学受験のための計算スピードアップ術」 の第5回。今回ご紹介するのは 「おやつ式計算」 という、ちょっとユニークな名前の賢くなる計算テクニックです。このテクニックを学ぶと、計算の引き出しがひとつ増え、数の世界の奥深さに気づけるようになります。「こんな解き方もあったんだ!」という発見が、お子さまの数感覚を一段深くし、計算そのものを面白くしてくれます。

坂本七郎
坂本七郎
今回は少し難しいと感じる方がおられるかもしれませんが、計算の奥深さを知るためのとてもよい回になりますので、ぜひゆっくり読み進めてみてください。

また、別途PDFの練習問題も用意しました。ぜひこちらも活用して、計算の練習をしてみてください。

「おやつ式計算」を学ぶ4つのメリット

  • 計算の引き出しが増える——同じかけ算を別の角度から解けるようになる
  • 計算を通して賢くなる——数の仕組みを多角的に捉える思考力が育つ
  • 計算の奥深さに気づける——「こんな解き方もあるんだ」と数学の面白さを発見できる
  • 計算が面白くなる——「ただこなす作業」から「工夫を楽しむパズル」に変わる

ちなみに、なぜ 「おやつ式」 という名前なのか? その理由は記事の途中(応用編)で明らかになります。最後まで読むと、思わず「なるほど!」と納得していただけるはずです。お楽しみに。

この記事を読むとわかること

  • 「おやつ式計算」テクニックの基本3ステップ
  • 18×18、23×23、32×32 などの2乗が暗算で解ける
  • どの数のときに「おやつ式計算」が一番効くのか
  • 中学受験のどんな問題で活躍するか
  • 1つのテクニックを多角的に応用する「思考の引き出し」の作り方
  • 親子で挑戦できる10問の練習問題(解答・解説つき)

★ この記事で学ぶ「おやつ式計算」は2方式あります ★

  • 方式①:離して足す — 「同じ数同士のかけ算(=2乗の計算)」のときだけ使えるテクニック(例:28² = 26×30 + 4 = 784
  • 方式②:近づけて引く — 近づけた中心の 「一の位が0または5」 になるときだけ使えるテクニック(例:18×22 → 中心20、20² − 4 = 396

この記事では、まず方式①(離して足す)を基本としてしっかり学び、続けて方式②(近づけて引く)に進んでいきます。使う場面が違う2つの計算法として、頭の中で別物として整理しておくと判断が速くなります。

Contents

なぜ「おやつ式計算」で2乗がカンタンになるのか?

結論:「同じ数同士のかけ算」を、片方が10の倍数になる形に組み替えられるからです。これが、筆算で時間がかかる計算でも暗算で見えてくる仕組みです。

たとえば 18 × 18 をそのまま筆算で解こうとすると、繰り上がりが多くて時間がかかります。でも、こんなふうに考えてみましょう。

18 × 18 の片方を 2 減らして、もう片方を 2 増やす
16 × 20 になる
→ 16 × 20 は 16 × 2 × 10 = 320。とてもカンタン!

18×18 と 16×20 では、もちろん答えは違います。でも、その差は いつも「離した数の2乗」だけ。今回は 2 ずつ離したので、差は 2 × 2 = 4

つまり:

18 × 18 = 16 × 202 × 2
= 320 + 4 = 324

ポイントは 「離す → かける → 2乗を足す」の3ステップだけ——これが「おやつ式計算(離して足す)」テクニックです。

基本3ステップ:おやつ式計算の使い方

結論:①10の倍数まで離す ②離れたあとのかけ算をする ③離した数の2乗を足す——この順番だけです。

ステップ1:片方を「10の倍数」にするまで離す

2乗したい数を見て、「10の倍数まであと何離れているか」を考えます。

  • 17:あと 3 増やせば 20 → 「3 離す」
  • 23:あと 3 減らせば 20 → 「3 離す」
  • 32:あと 2 減らせば 30 → 「2 離す」
  • 48:あと 2 増やせば 50 → 「2 離す」
ステップ2:「離した後の数同士」をかけ算する

片方をプラス、もう片方をマイナスして、同じ数だけ「離します」。すると片方が10の倍数になり、計算がカンタンに。

  • 17×17 → 14 × 20 = 280
  • 23×23 → 20 × 26 = 520
  • 32×32 → 30 × 34 = 1020
  • 48×48 → 46 × 50 = 2300
ステップ3:「離した数の2乗」を最後にポン!

ステップ1で「離した数」を覚えておき、その2乗を最後に足します。

  • 17×17 → 280 + 3×3 = 280 + 9 = 289
  • 23×23 → 520 + 3×3 = 520 + 9 = 529
  • 32×32 → 1020 + 2×2 = 1020 + 4 = 1024
  • 48×48 → 2300 + 2×2 = 2300 + 4 = 2304

このように、「片方を10の倍数まで離して、離した数の2乗をポンと足す」だけで、5以外の数の2乗がスルッと解けます。

【実験】なぜ「離した数の2乗」を足すと答えになる?——20×20で確かめよう

結論:20×20を起点に、両端を「同じ数だけ」離していくと、答えはぴったり「離した数の2乗」だけ小さくなります。これが「おやつ式計算」の正体です。

ただ、この『おやつ式計算』、どうしてこの方法で答えが出せるのでしょうか?」——疑問に感じたお子さまには、ぜひ次の実験を一緒にやってみてください。不思議な数字の法則が目で見てわかります。

実験:20×20を起点に、両端を1つずつ離していくと?

20×20=400 を出発点に、両端を「同じ数だけ離した」かけ算をして、答えがどう変わるかを観察してみましょう。

20×20から「離す数」を変えていったときの答え

離す数 かけ算 答え 元との差 差の正体
0 20 × 20 400 0
1 19 × 21 399 1 1×1 = 1
2 18 × 22 396 4 2×2 = 4
3 17 × 23 391 9 3×3 = 9
4 16 × 24 384 16 4×4 = 16
5 15 × 25 375 25 5×5 = 25

結論:「離した数の2乗」だけ、ぴったり答えが減っていく

表をよく見ると、ふしぎな規則が浮かび上がります。

  • 1ずつ離す → 答えは 1(=1×1) 減る
  • 2ずつ離す → 答えは 4(=2×2) 減る
  • 3ずつ離す → 答えは 9(=3×3) 減る
  • 4ずつ離す → 答えは 16(=4×4) 減る
  • 5ずつ離す → 答えは 25(=5×5) 減る

差を順に並べると 1、4、9、16、25…。つまり 1、2、3、4、5…の2乗の数ずつ、ぴったり答えが小さくなっていく——これが、どんな数でも成り立つ不思議な規則です。

逆に言えば:

離れたかけ算の答え + 離した数の2乗 = もとの2乗

これが「おやつ式計算」の正体です。だから、ずらしたかけ算にした後に「離した数の2乗」をポンと足せば、もとの2乗の答えが正確に出るのです。計算って、ちょっとした工夫で、こんなに奥深く、面白くなる——おもしろいですよね。

パターン別早見表:これだけ覚えておけば大丈夫

結論:10の倍数±1〜±4 の数なら、すべて「おやつ式計算」で工夫することで暗算で解けるようになります。

中学受験で出てくる「2ケタの2乗」のうち、「おやつ式計算」が特に効果を発揮するのは 10の倍数まで±1〜±4 の数です。覚えておくと便利な計算をまとめました。

10の倍数の「ひとつ手前/ひとつ先」の2乗

2乗の式 離す 途中式 答え
19 × 19 1 18 × 20 + 1 361
21 × 21 1 20 × 22 + 1 441
29 × 29 1 28 × 30 + 1 841
31 × 31 1 30 × 32 + 1 961
39 × 39 1 38 × 40 + 1 1,521

10の倍数の「2つ手前/2つ先」の2乗

2乗の式 離す 途中式 答え
18 × 18 2 16 × 20 + 4 324
22 × 22 2 20 × 24 + 4 484
28 × 28 2 26 × 30 + 4 784
32 × 32 2 30 × 34 + 4 1,024
48 × 48 2 46 × 50 + 4 2,304

10の倍数の「3つ手前/3つ先」の2乗

2乗の式 離す 途中式 答え
17 × 17 3 14 × 20 + 9 289
23 × 23 3 20 × 26 + 9 529
27 × 27 3 24 × 30 + 9 729
33 × 33 3 30 × 36 + 9 1,089
47 × 47 3 44 × 50 + 9 2,209
53 × 53 3 50 × 56 + 9 2,809

10の倍数の「4つ手前/4つ先」の2乗

2乗の式 離す 途中式 答え
16 × 16 4 12 × 20 + 16 256
24 × 24 4 20 × 28 + 16 576
26 × 26 4 22 × 30 + 16 676
34 × 34 4 30 × 38 + 16 1,156
46 × 46 4 42 × 50 + 16 2,116
54 × 54 4 50 × 58 + 16 2,916

表をよく見ると、「離す数」が1なら最後に1足す、2なら4足す、3なら9足す、4なら16足す。離した数の2乗を足すだけ——この単純さが「おやつ式計算」の真骨頂です。

★ 第3回と組み合わせれば、99×99 までの2乗がすべて暗算できる ★

「おやつ式計算(離して足す)」が10の倍数±1〜±4 をカバーすると、ちょうど ±5 になる数(15、25、35、45、55、65、75、85、95)は、第3回でマスターした「一の位5の2乗」 の出番になります。

  • 10の倍数(10, 20, 30… 90) → そのまま2乗(10²=100、20²=400…)
  • 10の倍数±1〜±4(11〜14, 16〜19, 21〜24, 26〜29 …) → おやつ式(離して足す)
  • 一の位5の数(15, 25, 35 … 95) → 第3回「3秒計算」

この3つの「引き出し」を使い分けるだけで、1×1 から 99×99 までのすべての2乗計算が暗算できるようになります。実は 101×101 から 105×105 までの計算 も暗算でできますので、ぜひ試してみてください。

【補足】12〜19の2乗だけは、別の手段が速いことも

「おやつ式計算」は便利ですが、12〜19の2乗については、答えを覚えてしまうか、本シリーズで後にご紹介する 「インド式計算法」(第7回・第8回で解説)のほうが速いケースもあります。実際の場面では、お子さまに合った方法を選んで使い分けるのがベスト。引き出しが多いほど、計算は楽しく、はやくなります

気づきましたか?——第3回の「5の2乗」も、じつは「おやつ式計算」の仲間

結論:第3回でマスターした『一の位が5の2乗』テクニックは、じつは「おやつ式計算」の特別な場合だったのです。バラバラに見えるテクニックも、その奥でしっかり繋がっています。

ためしに、25 × 25 を「おやつ式計算」のやり方で解いてみてください。

25 × 25(おやつ式計算で解く)
① 片方を 5 引いて、もう片方に 5 足す → 20 × 30
② 20 × 30 = 600
③ 離した数の2乗(5 × 5 = 25)を 足す → 600 + 25 = 625

気づきましたか? これは、第3回の『一の位が5の2乗』テクニック(25×25 = 625)と同じ計算なのです。

第3回では「2 × 3 = 6 を百の位に置き、末尾は 25 で固定」と覚えました。じつは舞台裏で、まったく同じ 「20 × 30 + 25」 という計算が走っていたんですね。

「おやつ式計算」と「5の2乗テクニック」は、見た目は別物でも、奥にある仕組みは同じ兄弟。一見バラバラに見える計算テクニックも、その奥では 同じ法則で繋がっている——これが、数の世界の面白いところです。

坂本七郎
坂本七郎
こんなふうに、「あれ? これ前のテクニックと同じだ!」と気づける瞬間が、お子さまの数感覚を一段深くしてくれます。テクニックの数を覚えるより、テクニック同士の繋がりを発見するほうが、ずっと大きな学びになります。

応用編:「離す」と「近づける」——使い方は2方向ある

結論:「おやつ式計算」は、計算のスタートの形によって2つの使い方があります。「同じ数の2乗」なら離して足す、「離れた数同士のかけ算」なら近づけて引く——この2ルールで応用範囲が一気に広がります。

ここまでの基本パターンは「同じ数の2乗」(17×17 など)を「離して足す」形でした。実は反対方向、つまり 最初から離れている数同士のかけ算 も、同じ仕組みで解けます。違いは 足すか引くか だけ。

パターン①:同じ数の2乗を解く →「離す」+「足す」

⚠️ 重要:方式①「離して足す」は、必ず「同じ数同士のかけ算(=2乗の計算)」のときだけ使います。
17×17、28×28 のように 左右が同じ数のとき限定のテクニックです。「離れた数同士のかけ算」(18×22 など)で使うと答えが合いません。「2乗の計算かどうか」をかならず確認してから使ってください。

これが基本パターン。同じ数同士のかけ算(17×17 など)を、片方を10の倍数まで「離して」ラクなかけ算に変え、最後に「離した数の2乗」を 足す

17 × 17(同じ数の2乗)
① 17 を中心に、片方を3引いて、もう片方に3足す → 14 × 20
② 14 × 20 = 280
③ 離した数の2乗(3×3 = 9)を 足す → 280 + 9 = 289

パターン②:離れた数同士のかけ算を解く →「近づける」+「引く」

⚠️ 重要:方式②「近づけて引く」は、近づけた中心の「一の位が0または5」になる場合のみ使えます。
中心の2乗が暗算で一瞬で出せるのは、10・20・30・40…(一の位0)15・25・35・45…(一の位5) のような数だけだからです。中心の一の位が0でも5でもない数(中心が23、27、31 など)になる場合は、テクニックそのものは使えるのですが、中心の2乗を出す計算が難しくなり暗算では解けなくなるので、実用的には使いません「両端を足して2で割った中心の一の位が0か5か」をかならず確認してから使ってください。

逆に、最初から「離れた数同士」のかけ算(18×22 など)を解きたいときは、両端を「近づけて」中心の2乗にし、そこから「離れていた距離の2乗」を 引きます

18 × 22(中心20 から ±2 離れている)
① 18 と 22 の中心を取る → 20
② 中心の2乗 → 20 × 20 = 400
③ 離れていた距離の2乗(2×2 = 4)を 引く → 400 − 4 = 396

もうひとつ:17 × 23(中心20 から ±3 離れている)
20² − 3² = 400 − 9 = 391。あっという間です。

なぜ「近づけて引く」で答えが出るの?——先ほどの実験を逆から見るだけ

結論:「離して足す」と「近づけて引く」は、同じ性質を表と裏から見ているだけです。だから、片方の仕組みがわかれば、もう片方も自然に納得できます。

先ほどの実験で、こんな性質を発見しましたね。

同じ数の2乗から、両端を 1ずつ離していくと、答えは 「離した距離の2乗」だけ小さくなる
(例:20×20 = 400 → 19×21 = 399 → 18×22 = 396 → 17×23 = 391)

離して足す」テクニックは、この性質を 「離れたかけ算 → 同じ数の2乗」 の方向で使い、小さくなった分を最後に足し戻すものでした。

今回ご紹介した「近づけて引く」テクニックは、まったく 逆の方向 から同じ性質を使っています。

「近づけて引く」の発想
① もともと離れている2数を、中心まで近づけて「同じ数の2乗」にする
 (17 × 23 → 20 × 20)
② 近づけたぶん、答えは「近づけた距離の2乗」だけ大きくなってしまう
 (17×23=391 が 20×20=400 になる → 9 ぶん増えた)
③ そこで、増えてしまった分(=「近づけた距離の2乗」)を最後に引いて調整する
 (400 − 9 = 391 ✓)

つまり、「離して足す」と「近づけて引く」は、同じ法則を逆向きに使っているだけ。離せば小さくなる/近づければ大きくなる——どちらの場合でも変化量は 「動かした距離の2乗」。だから、足すか引くかで調整すれば、ぴったり正しい答えが出るのです。

「あれ、これって 17 × 23 = (20 − 3)(20 + 3) = 20² − 3² = 400 − 9 という、中学校で学ぶ式の展開と同じことをやっているのでは?」——そう気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。まさにその通りです。中学校で習う「和と差の積(=和差積)の公式」は、じつはこの「おやつ式計算」と同じ仕組み。小学生のうちに直感で身につけた『数の見方』が、そのまま中学・高校の数学につながっていく——これも、計算テクニックを学ぶ大きな価値のひとつです。

計算テクニックのなかには、こんなふうに 1つの性質が2つの技を生み出すものがあります。「実は同じ仕組みなんだ」と気づける瞬間こそ、お子さまの数感覚が一段深くなるタイミングです。

「近づけて引く」が最も力を発揮するのは、中心が「10の倍数」のとき

このパターンは、両端を足して2で割った 中心が10の倍数(10、20、30、40…) になるかけ算で最も簡単になります。中心の2乗(100、400、900、1600…)が一瞬で出せるからです。

たとえば:

  • 18 × 22 / 19 × 21 / 17 × 23(中心20)→ 400 から「離れた数の2乗」を引くだけ
  • 31 × 29 / 32 × 28(中心30)→ 900 から「離れた数の2乗」を引くだけ

両端を見て「あ、足して 40(中心20)/足して 60(中心30)になる」と気づけたら、数秒で答えが出ます。

パターン②-応用:中心が「5の倍数」のときは、第3回の『5の2乗』が大活躍

結論:両端の中心が「5の倍数」(15、25、35、45など)のときも、第3回でマスターした『一の位が5の2乗』をフル活用すると、ふつうのかけ算がほぼ暗算で解けます。これはおやつ式計算と第3回の最強の合わせ技です。

両端の中心が 「5の倍数」(15、25、35、45 など)になるかけ算では、中心の2乗が 第3回でマスターした「一の位が5の2乗」に直結します。25² = 62535² = 1,22545² = 2,025 ——この3つを覚えていれば、中心型のかけ算が一気にラクになります。

26 × 24(中心25 から ±1 離れている)
① 中心の2乗 → 25² = 625(第3回の3秒計算)
② 離れていた距離の2乗 → 1 × 1 = 1
③ 中心の2乗から引く → 625 − 1 = 624

ほんの数秒です。同じ要領で、ほかの「中心が5倍数」のかけ算も一気に解けます。

中心が「5の倍数」のおやつ式計算(合わせ技)

問題 中心 / 中心の2乗 計算 答え
14 × 16 中心15 / 15² = 225 225 − 1 224
13 × 17 中心15 / 15² = 225 225 − 4 221
26 × 24 中心25 / 25² = 625 625 − 1 624
23 × 27 中心25 / 25² = 625 625 − 4 621
22 × 28 中心25 / 25² = 625 625 − 9 616
36 × 34 中心35 / 35² = 1,225 1,225 − 1 1,224
33 × 37 中心35 / 35² = 1,225 1,225 − 4 1,221
44 × 46 中心45 / 45² = 2,025 2,025 − 1 2,024
43 × 47 中心45 / 45² = 2,025 2,025 − 4 2,021

第3回の「一の位5の2乗」と第5回の「おやつ式計算(近づけて引く)」を組み合わせると、20〜49 の幅広い範囲のかけ算が暗算可能になります。第3回がシリーズ全体の「ハブ」と呼ばれる理由がここで実感できますね。テクニックは単独で使うより、組み合わせたときに真価を発揮するのです。

2つのルールまとめ早見表

「離す」と「近づける」——使い分け早見表

スタートの形 動き 計算ルール
同じ数 × 同じ数
(17×17 など)
離す ずらしたかけ算
離した数の2乗
14×20 + 9
= 289
離れた数 × 離れた数
(18×22 など)
近づける 中心の2乗
離れた距離の2乗
400 − 4
= 396

「離す → 足す」「近づける → 引く」——たった2つの動きを覚えるだけで、応用範囲が大きく広がります。両方とも仕組みは同じ「和と差の積」。方向が違うだけ、と理解するとスッキリ整理できます。

「テクニックは思考の終わりではなく、新しい思考の出発点」

計算テクニックを単に「速く解く道具」と捉えてしまうと、そこで思考が止まってしまいます。
そうではなく、「ほかの計算にも使えないか?」「なぜこれで答えが出るのか?」 と考えていく——これが、AI時代に必要な「多角的な視点で数の仕組みを捉える力」につながります。

なぜ「おやつ式計算」という名前なのか?——「遠足のおやつ」を思い出そう

結論:このテクニックの「離す→足す/近づける→引く」というルールが、私たちが普段から知っている 「遠足のおやつ」 の感覚と同じだから。だから 「おやつ式計算」 と名付けました。

記事の冒頭で 「『おやつ式』という名前の由来は記事の途中で明らかになります」 とお伝えしました。お待たせしました。ここでその理由をご紹介します。

先ほど学んだ2つのルール——「離す → 足す」「近づける → 引く」。じつはこの動き、日常生活でみなさんが普段から自然にやっていることなんです。たとえば、「遠足のおやつ」を思い浮かべてみてください。

  • 遠い遠足ほど、おやつや飲み物を 多めに足して 持っていきますよね。
  • 近場の散歩なら、持ち物は 引いて 少なくてOK。

計算でも、これと同じ。「離す → 足す」「近づく → 引く」——この感覚は、生活の中ですでに身についている直感なんです。だから、ルールが頭に残りやすい。「遠足のおやつ」を合言葉にすれば、お子さまも自然に手順を思い出せます。

普段の計算で 「あ、2乗だ。おやつ式算が使えるな」この数、10の倍数の近くだ」と気づいたら、心の中で 「遠足のおやつ」 とつぶやいてみてください。すると 「離す→足す/近づける→引く」 の手順が、するっと出てきます。日常の感覚と計算がつながる瞬間——これが、計算が面白くなる第一歩です。

中学受験で「おやつ式計算」はどんな場面で使える?

結論:図形の面積、数列、比、平均など、「2ケタの2乗」が出てくる場面ならどこでも使えます。

中学受験の問題では、計算の途中で「あれ、これ2乗だ」と気づく場面が意外と多くあります。

  • 正方形の面積:1辺17cmの正方形 → 289c㎡(17×17 を暗算で計算)
  • 立方体の表面積の一部:1辺23cmの立方体の1面 → 529c㎡
  • 数列・規則性:「1辺nコの正方形に並べた点の総数」を求める問題
  • 比・割合:相似比 17:23 の面積比を計算(17² と 23² が必要)
  • 平均算:「ある数より2大きい数と2小さい数の積」が出てくる問題

とくに 図形の面積問題と数列の問題では「ぱっと出てこないと時間が足りない」場面が多いので、「おやつ式計算」をストックしておく価値は大きいです。

【練習問題】親子で挑戦!「おやつ式計算」10問

ここまでの内容を定着させるため、実際に解いてみましょう。筆算なし・できるだけ暗算で計算してみてください目標タイムは設定していません。ゆっくり、じっくり時間をかけてでも、まずは練習してみることが大切です。最初はうまくいかなくても、繰り返すうちに自然と早くなっていきます。

練習問題(暗算で計算してみよう)

  1. 19 × 19 =
  2. 22 × 22 =
  3. 27 × 27 =
  4. 32 × 32 =
  5. 38 × 38 =
  6. 18 × 22 =
  7. 33 × 27 =
  8. 26 × 24 =
  9. 36 × 34 =
  10. 27 × 23 =

解答と解説

  1. 19 × 19 → 18 × 20 + 1 = 360 + 1 = 361(離して足す)
  2. 22 × 22 → 20 × 24 + 4 = 480 + 4 = 484(離して足す)
  3. 27 × 27 → 24 × 30 + 9 = 720 + 9 = 729(離して足す)
  4. 32 × 32 → 30 × 34 + 4 = 1,020 + 4 = 1,024(離して足す)
  5. 38 × 38 → 36 × 40 + 4 = 1,440 + 4 = 1,444(離して足す)
  6. 18 × 22 → 中心20 の2乗から ±2 の2乗を引く:400 − 4 = 396(近づけて引く)
  7. 33 × 27 → 中心30 の2乗から ±3 の2乗を引く:900 − 9 = 891(近づけて引く)
  8. 26 × 24 → 中心25(25² = 625)から ±1 の2乗を引く:625 − 1 = 624(合わせ技)
  9. 36 × 34 → 中心35(35² = 1,225)から ±1 の2乗を引く:1,225 − 1 = 1,224(合わせ技)
  10. 27 × 23 → 中心25(25² = 625)から ±2 の2乗を引く:625 − 4 = 621(合わせ技)
坂本七郎
坂本七郎
すべての問題を自分で解けたお子さまは、「おやつ式計算」を応用形まで含めて使いこなせる状態になっています。普段の計算でも、「あ、2乗だ。おやつ式算が使えるな」この数、10の倍数の近くだ」 と気づいたら反射的にこのワザが出るよう、繰り返し練習を続けていきましょう。

【おまけ】簡単な検算術:1の位を見るだけでミスが減る

結論:答えの「1の位」は、もとの数どうしの「1の位」をかけ算した結果の1の位と必ず一致します。これだけで素早い検算ができ、正答率がぐんと上がります。

「おやつ式計算」で答えを出したあと、最後に 「1の位だけパッと確認する」 ——たったこれだけで、計算ミスを大きく減らせます。やり方はとてもシンプルです。

27 × 27 = 729 の場合
① 1の位どうしをかける → 7 × 7 = 49
② 49 の1の位は 9 → 答えの1の位も 9 でOK ✓

38 × 38 = 1,444 の場合
① 1の位どうしをかける → 8 × 8 = 64
② 64 の1の位は 4 → 答えの1の位も 4 でOK ✓

もし答えの1の位がチェック結果と 違っていたら、必ずどこかで計算ミスをしているサインです。すぐに見直せばリカバリーできます。

2乗だけでなく、ふつうのかけ算でも同じです。たとえば 18 × 22 なら、8 × 2 = 16 なので答えの1の位は 6。実際の答え 396 の1の位はちゃんと 6 ですね。

「答えを出したら、1の位だけパッと確認する」——この習慣をつけるだけで、お子さまの正答率はぐんと上がります。中学受験のテスト本番でも、ぜひ使ってみてください。

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シリーズ「計算スピードアップ術」全14回のご案内

この記事は、まなぶてらすが中学受験生の保護者向けにお届けする、全14回の賢くなる計算テクニック連載の第5回です。今後も、平日1日1本ずつ「思考の引き出し」を増やすテクニックをお届けしていきます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 「おやつ式計算」はどの数まで使えますか?

A. 「離して足す」も「近づけて引く」も、テクニックそのものは どの数でも使えます。ただし、特に効果を発揮するのは 105×105 までのかけ算。ここまでであれば、なんとか暗算でも解けるようになります。それより大きな数になると、計算量が増えて暗算では難しくなり、筆算のほうが速いことが多くなります。

Q2. なぜ「離した数の2乗」を足すと答えになるのですか?

A. 本記事の【実験】セクションで20×20を起点に確かめています。1ずつ離すと差は1(=1×1)、2ずつ離すと差は4(=2×2)、3ずつ離すと差は9(=3×3)…と、離した数の2乗だけ答えが減る規則が成り立つからです。図形で考えるなら、17×17 を 14×20 にしたとき「正方形」が「長方形」に形を変え、その差がちょうど「離した分の小さな正方形(離した数の2乗)」の面積になります。お子さまには 方眼紙でマスを数えてもらうと、ピンと来やすいですよ。

Q3. 「一の位が5の数の2乗」(25×25 など)も「離して足す」で解けますか?

A. 解けますが、第3回の「5の2乗」テクニック(25² なら 2×3=6、末尾25 → 625)のほうが圧倒的に速いので、そちらを使ってください。「離して足す」は「5以外の数の2乗が必要なとき(28² や 32² など)」に最も価値を発揮します。数によって使うテクニックを切り替える——これが「思考の引き出し」を持っているということです。

Q4. 子どもがすぐ「3つ離す」と「2乗が9」を忘れてしまいます。

A. 最初のうちは、「離した数」と「足す数(2乗)」を声に出すクセをつけるとミスが減ります。「17×17、3離す、9足す!」と口に出しながら計算する練習を10問ほど繰り返すと、自然に身につきます。慣れてきたら声を出さずに頭の中だけでOK。

Q5. このテクニックを使うと、計算スピードはどのくらい上がりますか?

A. 正直に申し上げると、慣れないうちは筆算と比べて、そこまで大きくスピードは変わりません。1問あたり数秒程度の違いです。
ただ、このテクニックの本当の価値は 「速さ」ではなく「考え方の引き出しが増えること」 にあります。
「おやつ式計算」のような工夫を知ると、お子さまの計算は 「単純に頭を使わない筆算」から「数の仕組みを考える計算」 へと変わっていきます。「あ、こんな見方もできるんだ」と気づく瞬間が、思考の引き出しを一段ずつ増やしてくれます。
中学受験の算数では、最終的に問われるのは 「賢くなる計算力」。テクニックを覚えるたびに、数感覚と思考力が同時に磨かれていく——これがおやつ式計算を学ぶ最大の意味です。

もし 「計算スピードそのもの」を本気で底上げしたい とお考えでしたら、そろばん(珠算・暗算)の習得が最も近道です。そろばんで身につく 暗算力 は、本記事のような計算テクニックと組み合わせることで、計算問題が一段と速く・正確に解けるようになります。中学受験生の保護者の方からも「そろばんを始めて算数の計算ミスがぐっと減った」というお声を多くいただきます。
まなぶてらすでは オンライン専門のそろばん指導 も提供しています。詳しくは まなぶてらすのそろばんコース をご覧ください。

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次回予告

第6回:36×11が暗算で解ける!「ずらし書き」テクニック

第5回までで、「2乗」のテクニックは一通り出揃いました。次回は 「11とのかけ算」を瞬時に暗算する、「ずらし書き」テクニックをご紹介します。仕組みはシンプルそのもの、それでいて気持ちよく解ける——次回もお楽しみに。

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この記事の著者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。

▶ プロフィール詳細を見る

▼ 坂本七郎の主な著書(中学受験関連)

でる順「中学受験」漢字1580が7時間で覚えられる問題集(大和出版)
中学受験は2科目だけ勉強すればいい(ナツメ社)

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