※本記事には「まなぶてらす」のサービス紹介が含まれます

2024年1月1日——石川県在住のまなぶてらす講師・たくと先生は、お正月の実家でその揺れを体験しました。避難所生活、断水が続いた能登地域、担当していた受験生を他の先生に引き継ぐ決断まで。この記事は、そのリアルな経験をもとに構成した、在宅時の地震対応と備えの記録です。

「やっておいてよかった」だけでなく、「後悔したこと」も正直に書きました。同じ経験を繰り返さないために、お子さんと一緒に読んでみてください。

▶ 外出中の対応については、外出先で大地震が起きたとき、子どもに伝えておきたい「場所別の動き方」もあわせてどうぞ。

揺れた瞬間にやること——最初の数秒の身の守り方

たくと先生

たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)

あの日はちょうど仕事終わりで実家に戻り、お正月休みに入ったところでした。地震が来た瞬間、目の前にあるパソコンのディスプレイがグラグラ揺れて——椅子の手すりを握って体を支えるのが精一杯で、ディスプレイが床に落ちて割れるのをただ見守るしかなかったんです。外壁の一部が剥がれ、棚から物が落ちて部屋が散乱している様子を見て、最初はもう呆然としていました。

「体が動かなかった」という事実は、多くの人が経験する自然な反応です。地震の被害の多くは最初の揺れの数十秒以内に集中するため、揺れている最中に「何もできなかった」ことを責める必要はありません。大切なのは、その数秒をどう過ごすかです。

まずは頭と首を守ることが先決であり、クッションや枕でも、バッグでも何でもかまいません。次に、テーブルや机の下に潜るか、内壁に近い場所でかがむ。外壁よりも内壁に近いほうが、建物が倒壊したときの安全度は高いとされています。

揺れている最中は絶対に走らないこと。転倒リスクだけでなく、倒れてきた棚や飛んできた食器に激突する可能性があります。キッチンにいる場合は、コンロから離れることも忘れずに。

揺れが収まったあとの初動——確認すべき順番

たくと先生

たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)

揺れが収まったとき、家族からの電話が繋がって我に返りました。パニックになっている家族の声を聞いて「行かないと」と動き始めたのですが、外壁が剥がれていたり、室内も散乱していて。「靴」「懐中電灯」「財布」を確認して外に出るまでに、思っていたより時間がかかりました。焦りで頭が追いつかないんです。

「靴・懐中電灯・財布」——この3つを事前に「揺れが収まったら最初にこれ」と決めておくだけで、焦りの中でも動けます。確認すべき順番は以下の通りです。

①自分と家族の安全確認。けが人がいないか、声をかけて確認します。

②火の元の確認。現代の都市ガスメーターには自動遮断機能があるため、大きな揺れでは自動でガスが止まります。ガス漏れを疑う場合は窓を開けて換気し、電気のスイッチは触れないでください。

③出口の確保。ドアが歪んで開かなくなることがあります。玄関や部屋の出口が開くことを確認しましょう。

④靴の着用。室内でも割れたガラスや陶器が散らばっている可能性があります。素足で歩くのは非常に危険です。靴か厚めのスリッパを必ず履いてから動いてください。

後悔したこと——備えておけばよかったもの

たくと先生

たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)

飲み水や食料の備蓄がなかったことは、本当に後悔しています。それと、冬場の寒い時期だったので灯油などの燃料が数日分しかなくて。「これからどうやって生活すればいいのか」という不安で、1週間近く眠れない夜が続きました。物がないことが、精神的にこんなに追い詰められるのかと——あのときほど身に染みたことはありません。

たくと先生が経験した「眠れない夜」の原因のほとんどは、事前に準備できていたことばかりでした。同じ後悔をしないために、確認しておきたいことをまとめます。

懐中電灯の位置を家族全員が知っているか。防災袋に入れていても、押し入れの奥では停電した暗い中で取り出せません。「玄関の目の高さのところに一個置く」だけで全然違います。

水と食料の備蓄量は十分か。「2Lを6本くらい」は、断水が数日続くと家族では全然足りません。トイレが流せなくなることも想定して、多めに備蓄しておきましょう。

冬場の燃料はあるか。灯油・カセットコンロのガスボンベなど、寒い時期の燃料は特に必要量が増えます。

家具の固定は十分か。転倒防止器具は「取り付けた」だけでなく、壁へのネジが正しく打ち込まれているか、定期的に確認してください。

やっておいてよかった——実際に役に立った備え

たくと先生

たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)

オンラインで仕事をしている関係で、ポータブル電源とポケットWi-Fiを常に一定の場所に置いていたことが、本当に助かりました。停電していても通信環境を確保できたので、仲間やまなぶてらすとの連絡を保てた。特に担当していた受験生のことが頭にあったので、他の先生が「代わりましょうか」と提案してくれたとき、すぐに判断して動けたことは大きかったと思っています。

「通信環境を確保できたこと」が、たくと先生にとって最大の備えでした。まなぶてらすでは、こうした緊急時にも対応できる安全ガイドラインを整備しており、講師・生徒・保護者が同じ基準で行動できる体制を設けています。具体的な備えとして役に立ったことをまとめます。

防災袋を玄関近くに置いていた。押し入れではなく、玄関脇のクローゼットに置いていたおかげで、避難するときにすぐ持ち出せました。

ポータブル電源・モバイルバッテリーを常にフル充電していた。停電が続いても通信と情報収集が継続できました。容量の大きいもの(20,000mAh以上)が特に便利です。

現金を財布に一定額持っていた。停電中はカードが使えない場面が多く、現金があるだけで行動の自由度が大きく変わります。

家族の連絡先を紙に書いていた。スマホが壊れた場合でも、名刺サイズの「緊急連絡カード」が財布にあれば安心です。

子どもへの伝え方——家で地震が来たとき子どもはどう動くか

たくと先生

たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)

最初の数日は避難所で生活していました。能登地域では、水道が出ない状況が2〜3か月続いて。トイレの使用や飲料水の確保がすごく不安でした。一方で、友人のSNSで知ったのですが、農業地域のビニールハウスの中に畳を敷いて暖かく過ごし、自然の湧き水で生活を維持した地域もあって。備えの仕方は一つじゃないんだと、そのとき感じました。子どもたちには、「いざというとき、どこに行けば助けがあるか」を一緒に考えておいてほしいです。

「正解の備え」は一つではありません。でも、子どもが一人でいるときに揺れが来る場面は必ずあります。特に中学生以上は自室で過ごす時間が長くなります。子どもに伝えたい行動を3つに絞ります。

①机の下に潜るか、部屋の隅でかがむ。布団の中にいる場合は布団をかぶって頭を守ります。

②揺れが収まったらドアを開けて脱出口を確保する。収まったらすぐにドアノブを触って開くことを確認する習慣をつけてください。

③声を出す。「ここにいるよ!」と声を出すことで、家族が安全確認をしやすくなります。

「地震が来たら頭を守って机の下」というワンフレーズを繰り返し伝えておくだけでも、いざというときの行動が変わります。

まなぶてらすの安全への取り組み

まなぶてらすは、お子さんが安心して学び続けられる環境を最優先に考えています。災害時の対応を含む安全への取り組みを詳しくまとめたページが、まなぶてらす安全ガイドラインとして公開されています。

オンライン学習だからこそ、自宅にいながらでも学習を継続できる柔軟さがあります。地震直後のような精神的にゆらぎがある時期も、信頼できる先生との定期的なやり取りが子どもの安定につながることがあります。

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よくある質問

Q. 在宅時に地震が来たとき、まずガスを止めるべきですか?
揺れている最中にコンロに近づくのは危険です。揺れが収まってから火の元を確認し、ガス漏れの疑いがある場合は窓を開けてから換気してください。現代の都市ガスメーターには自動遮断機能があるため、大きな揺れを感知した場合は自動的にガスが止まります。
Q. 子どもが自分の部屋に一人でいるとき、どう安全を確保させればいいですか?
「机の下に潜る」「頭を守る」「揺れが収まったらドアを開ける」の3つを家族で繰り返し確認しておきましょう。日頃から「地震が来たらどうする?」と話しておくだけで、子どもの反応速度が変わります。
Q. 防災袋に入れておくべきものは何ですか?
最低限として「飲料水(1人あたり1日3L×3日分)」「非常食(3日分)」「懐中電灯」「モバイルバッテリー」「救急セット」「緊急連絡先カード」「現金(小銭含む)」をそろえておくと安心です。子どもが持ち出せる軽さにしておくことも重要です。
Q. 家具の転倒防止は本当に効果がありますか?
効果があります。消費者庁の調査では、家具転倒防止器具を正しく設置することで転倒リスクが大幅に下がることが示されています。特に背の高い本棚・食器棚・テレビ台は優先的に固定することをお勧めします。壁への取り付けは定期的に確認してください。

まとめ

在宅時の地震対応は、「揺れた瞬間に頭を守る」という一点から始まります。そして揺れが収まったら——まず外に出て、少し開けた場所に移動すること。震度6以上の揺れは家屋に深刻なダメージを与えます。家の中にとどまり続けることの危険を、ぜひ意識しておいてください。

たくと先生の「後悔したこと」は、実はほとんどの家庭に共通する準備不足です。飲み水・食料の備蓄、灯油などの燃料、ポータブル電源——一つひとつは小さなことでも、積み重ねが命と精神を守ることにつながります。

たくと先生

たくと先生(石川県在住・能登半島地震経験)

家電やインターネットがある暮らしが当たり前になっていることを、あのとき痛感しました。避難所では共同生活の中でできることに制限があって、自分がやりたいときにやりたいことができない。だからこそ、日頃の暮らしの中でもあえてちょっとした制限を設けて、その不自由さに体を慣らしておくことが必要なのかもしれないと思っています。停電になったら、水が使えなかったら、どうするか——ぜひ家族で一度話し合ってみてください。

今日、この記事を読んだあとに「ひとつだけ確認する」という行動が取れれば、それだけで備えは一歩前進します。また、外出先での地震対応についても、あわせて確認しておくと安心です。

この記事の著者

たくと先生

たくと先生

まなぶてらす講師・石川県在住

2024年1月1日の能登半島地震を経験し、避難所生活を送る。復帰後も余震の続く中でオンラインレッスンを再開し、子どもたちへの防災教育の大切さを伝え続けている。

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この記事の監修者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立。

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