※本記事には「まなぶてらす」のサービス紹介が含まれます

「テスト勉強しなさい」と声をかけるたびに、子どもがスマホをしまいながら「わかってる」とそっぽを向く——。6月の期末テスト前になると、こうした光景が多くの家庭で繰り返されています。

文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」によると、中学生の家庭学習時間は学年が上がるにつれて二極化し、勉強する子とほとんどしない子の差が最も開くのが「中学2〜3年」という傾向が示されています。この時期、多くの親が「どう関わればいいかわからない」という壁にぶつかります。

坂本七郎
坂本七郎
5,000人以上の保護者との相談経験から言うと、テスト前に親子関係がこじれる家庭には共通のパターンがあります。「やらせる」方向ではなく、「動きやすい環境を整える」方向に切り替えるだけで、子どもの態度は変わっていきます。

この記事では以下のことを解説します。

  • 「勉強しなさい」が逆効果になる心理学的な理由
  • テスト2週間前に親が見るべきポイント
  • NG声かけとその言い換え例
  • 家の中の環境を整える3つの仕掛け
  • 「ご褒美」の正しい使い方と誤用パターン
  • 自走できない子に第三者(オンライン家庭教師)が効く理由

「勉強しなさい」はなぜ逆効果になるのか?

「勉強しなさい」という声かけは、子どものやる気を下げる可能性があることが、自己決定理論(Deci & Ryan, 1985)で示されています。

人間には「自分で決めたい」という心理的な欲求(自律性の欲求)があります。外から強制されると、もともと少しあった学習への意欲が「やらされ感」に変わり、勉強を始める心理的ハードルが高くなる仕組みです。

特に中学生・高校生の時期は、親への反発感情が強くなる年代と重なります。「親に言われたからやらない」という構図が生まれやすく、声かけが多いほど逆効果になることがあります。

心理学が示す「やる気が下がる声かけ」の3パターン

  1. 命令・強制:「今すぐやりなさい」「なんでやらないの」
  2. 比較・評価:「あなたはいつもそう」「〇〇ちゃんはもうやってるのに」
  3. 監視・確認:「本当にやってるの?」「何点取れそう?」と頻繁に聞く

いずれも、子どもの「自分で決める余地」を奪う点で共通しています。

親が悪意なくやっている声かけでも、子どもの心理には「管理されている」と映ることがあります。

テスト2週間前——親が見るべきは「点数」より「準備の進み具合」

テスト2週間前の親の役割は、点数への不安を口にすることではなく、「準備が動いているか」をさりげなく確認することです。

具体的に確認したいのは、次の3点です。

2週間前チェックリスト(親用)

  • テスト範囲を本人が把握しているか
  • 今週中に手をつける科目の順番を決めているか
  • 学校のワーク・プリントが手元にそろっているか

この3点が「はい」なら、親の出番はほぼ終わりです。

逆に「テスト範囲をまだ確認していない」「学校ワークがどこにあるかわからない」という状態なら、そこをサポートすることが最初の仕事になります。

親が口出しすべき内容は「勉強量」ではなく「準備の環境整備」に限定するのが、反発を生まないポイントです。

NG声かけ集と、置き換える「事実ベースの問いかけ」

声かけを「命令・評価」から「事実ベースの問い」に変えるだけで、子どもの反応が変わります。

以下の言い換え表を参考にしてください。

声かけの言い換え例

NG(やる気を下げやすい) OK(動きやすくなる)
「勉強しなさい」 「今日どの科目からやろうと思ってる?」
「あと何日しかないよ」 「テストまで残り何日か、一緒に確認しようか」
「本当にやってるの?」 「今日はここまでやれたね(事実を認める)」
「〇〇ちゃんはもう始めてるって」 「昨日より集中できてたみたいだったよ」
「点数悪かったらどうするの」 「何か困ってることある?」

ポイントは、「問いかけ」であっても「評価」につながる質問はしないことです。「今日どれだけやったの?」は問いかけの形でも、実質的には確認・管理なので逆効果になります。

言い換えのコツ:「結果」ではなく「状態」を聞く

「何点取れそう?」ではなく「今日どこまで進んだ?」。「早くやって」ではなく「何か手伝えることある?」。結果・評価から離れて、今の状態に寄り添う言葉を選ぶと反発が生まれにくくなります。

家の中の環境を整える3つの仕掛け

子どもが「勉強しやすい状態」をつくるのは、声かけよりも環境設計のほうが効果的です。行動科学では「行動が起こりやすい環境」を意図的に設計することを「ナッジ(nudge)」と呼びます。

仕掛け1:机周りの「勉強以外のもの」を一時的に遠ざける

スマホ、ゲーム機、マンガなどを机の引き出しや別の部屋に移動するだけで、勉強を始めるまでの時間が短くなります。「取り上げる」のではなく、「見えないところに置く」だけで十分です。子ども本人に「テスト期間中はここに置こう」と提案する形にすると、強制感が少なくなります。

仕掛け2:家族の「通知音・テレビの音」を抑える

子どもが勉強している時間帯に、リビングのテレビを消したり、親自身のスマホ通知音を切ったりするだけで、家全体の集中しやすさが変わります。「うちはテスト期間中は夜9時以降はテレビを控える」というルールを親子で決めると、子どもも「一緒に取り組んでいる」感覚が生まれます。

仕掛け3:「いつ・どこで・何を」を短く書き出す場所をつくる

ホワイトボードや付箋ボードを机の前に貼り、今週やることを3行以内でメモできる場所をつくります。「今日やること」が目に見えていると、子どもが自分でチェックしやすくなります。親が書き込むのではなく、子どもが自分で書く欄を設けるのがポイントです。

環境設計のコツは「親が一方的に変える」のではなく、「子どもと一緒に決める」こと。親主導で変えると「管理」になり、子ども主導で決めると「自分ルール」になります。

「ご褒美」は使い方を間違えるとやる気を壊す

外発的な報酬(ご褒美)は短期的には効果があるものの、使い方を誤ると内発的なやる気(自分がやりたいという気持ち)を下げることが研究で示されています(アンダーマイニング効果)。

○ ご褒美の良い使い方
  • 努力・プロセスをねぎらう:「今週毎日机に向かえてたね」という言葉かけ
  • テスト後の「お疲れ様」行動:テスト終了後に好きなものを食べに行くなど、プレッシャーが終わった後の祝い
  • 小さな達成感を積み重ねる:1科目終わったら「終わったね」と認める
× ご褒美のNGパターン
  • 「〇〇点取ったら〇〇を買ってあげる」と点数に直結させる
  • 「1時間勉強したらゲームしていい」と時間と引き換えにする(習慣化しにくい)
  • ご褒美がなくなると勉強しなくなる状態を放置する

ご褒美を使うなら、「点数」ではなく「行動・努力」に対してかけることが基本原則です。

自走できない子は「第三者の力」を借りるのも親の仕事

声かけを変えても環境を整えても動かない場合、それは子どもの意欲の問題ではなく「何から手をつければいいかわからない」という状態であることが多いです。

こうした状態の子どもに有効なのが、第三者(家庭教師・個別指導)による「学習の見える化」です。

週1〜2回のオンライン家庭教師は、次のような効果が期待できます。

  • 「今週のテスト範囲でどこが弱いか」を客観的に整理してもらえる
  • 先生との約束があるため、「次のレッスンまでにここをやる」というスモールゴールが生まれる
  • 親では入りにくいメンタル面のサポートを先生が担ってくれる

親が口うるさく言うより、信頼できる第三者が同じことを言うほうが子どもに届くことがあります。「先生に頼む」という決断自体が、親として子どもの学びを支えるための重要なアクションのひとつです。

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よくある質問

Q. 子どもが「やる」と言っているのに全然動かない。どう声をかければいい?

「やる」と言った後に動かない場合、多くは「何からやればいいかわからない」という状態です。「何の科目から始めようと思ってる?」と具体的な最初の一歩を一緒に決める声かけが有効です。計画を立てること自体が苦手な子には、週1回のオンライン家庭教師で学習計画を立ててもらう方法も有効です。

Q. 親がつきっきりで勉強を見てあげたほうがいいですか?

中学生以上になると、親がそばにいることで「監視されている」と感じる子が増えます。基本は「わからないことがあれば呼んでね」というスタンスで距離を保つほうが、自主性が育ちやすいです。ただし学習習慣がまだ定着していない段階では、最初の15〜20分だけ一緒に机に向かい、スタートを助けてあげる方法が効果的です。

Q. テスト対策のためにオンライン家庭教師を検討しています。始める目安のタイミングは?

定期テスト2〜3週間前が理想的なスタートタイミングです。1週間前からでも間に合いますが、先生との関係構築や学習状況の把握に1〜2回かかることが多いため、早めの開始をおすすめします。まなぶてらすでは単発・不定期のレッスンにも対応している先生が多く、テスト期間だけ集中して活用することも可能です。

Q. 「ご褒美作戦」は効果ありますか?

短期的な効果は期待できますが、「ご褒美があるからやる」という外発的な動機だけに頼ると、ご褒美がなくなったときに動けなくなりやすいです。活用するなら「点数」ではなく「今週毎日机に向かえた」という行動・プロセスに対してかけると、内発的なやる気と両立しやすくなります。

Q. 反抗期で話し合いができません。どうすればいいですか?

反抗期の子への直接的な声かけが難しい場合は、声かけの量を減らして「環境設計」に切り替えることをおすすめします。机周りの整理、家族のスマホ・テレビルールの整備など、子どもに直接言葉をかけなくても勉強しやすい状態をつくる工夫です。どうしても関係が詰まっている場合、信頼できる第三者(先生・スクールカウンセラー等)に橋渡しを頼むことも選択肢のひとつです。

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参考文献

  • 文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」(2024年)
  • Deci, E. L., & Ryan, R. M. (1985). Intrinsic motivation and self-determination in human behavior. Plenum Press.
  • 文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(2024年)

この記事の著者

まなぶてらす編集部

まなぶてらす編集部

「まなぶてらす」は、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスです。一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばし、お子さまの強みを育てることを大切にしています。学びに関する最新情報や、家庭学習に役立つ知識をお届けします。

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この記事の監修者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。

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オンライン家庭教師「まなぶてらす」
単発・短期から受講できる 小・中・高校生のためのオンライン個別指導サービス。授業はすべて対面式のマンツーマン。<指導科目> 5教科、中学受験、高校受験、大学受験、そろばん、プログラミング、英会話、理科実験、ピアノ、将棋、作文など。まなぶてらす