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こんにちは、まなぶてらす代表の坂本です。

前回(第9回)は「約分・倍分」でわり算を3秒に縮めるテクニックをご紹介しました。両方を同じ数でわる発想は強力ですが、いざ実践してみると——「で、その数って何でわれるの?」で詰まってしまうお子さまも多いのではないでしょうか。

この記事は、全14回連載 「計算が2倍速くなる!中学受験のための計算スピードアップ術」 の第10回。「2でわれる」「3でわれる」「5でわれる」「9でわれる」を見た瞬間に判別できる4つの判定法と、難関校で出てくる「分母−分子」の差から約数を見つける上級テクニックを完全ガイドします。

坂本七郎
坂本七郎
2574は何でわれる?——パッと答えるのは難しそうですが、実は「各ケタを足してみる」だけで「3」と「9」と「2」でわれることが一瞬で見抜けます。今回は、こうした約数の見つけ方のコツを丸ごと身につけましょう。約分が驚くほど速くなり、中学受験の「計算で落とさない」力が一段階レベルアップします。

「約数の見つけ方」を学ぶ4つのメリット

  • 約分のスピードが劇的に上がる——「何でわれるか?」が一目でわかれば、約分の試行錯誤がゼロに
  • 3けた・4けたの大きな数も怖くなくなる——判定法を使えば、見ただけで何の倍数かが判断できる
  • 倍数・約数の文章題に強くなる——中学受験頻出の「3の倍数」「6の倍数」問題も瞬時に処理できる
  • 「数の正体」を見抜く思考の引き出し——数の構造を多角的に捉える力が育ち、賢くなる計算テクニックの土台になる

なぜ「約数の見つけ方」を知っておくと約分が爆速になるのか?

結論:約分は「両方を何でわるか?」を見抜けるかどうかでスピードが10倍変わります。判定法を知っていれば、3けた・4けたの数を見ても瞬時に「3でわれる」「9でわれる」と判断でき、試行錯誤がゼロになるからです。

第9回でご紹介した「約分・倍分」のテクニックは、両方を同じ数でわって計算をラクにする発想でした。でも、実際にやってみると——

2574÷42 = ?
両方とも何でわれるんだろう?
2でわれそう…でも、もっと大きな数でわれないかな?

こんなふうに「何でわればいいかわからない」で手が止まってしまう。これが約分の最大の壁です。

そこで今回ご紹介するのが、数を見ただけで「2、3、5、9でわれるか」が一瞬で判定できる4つのルール。これを覚えてしまえば、上の問題も「2574は2と3と6でわれる、42も2と3と6でわれる」と即座に見抜けるようになります(答え:両方÷6で 429÷7 = 61.3…のように、約分で大きく簡単化できる)。

「数の正体」を見抜く力こそ、賢くなる計算テクニックの核
判定法は単なる時短ワザではありません。数を見たときに「これは何の倍数か?」と多角的に捉える視点を育てます。この視点は、約分だけでなく、倍数判定の文章題、図形の比、整数問題まで——中学受験算数のあらゆる場面で武器になります。

ワザ①:4つの判定法で「何でわれるか」が一目でわかる

結論:「2、3、5、9でわれるか」は、たった4つのルールで見分けられます。一の位を見るか、各ケタを足すか——どちらも10秒もかからない判定なので、まずはこの4つから覚えていきましょう。

判定法1:一の位を見るだけ「2でわれる/5でわれる」

最も基本にして最強の判定法です。一の位の数だけ見ればOK。

2と5の判定法

判定対象 条件
2でわれる 一の位が「0、2、4、6、8」(偶数) 766、482、30
5でわれる 一の位が「0」または「5」 375、1260、95

たとえば「2750」を見たら、一の位が「0」なので2でも5でもわれると即判定できます。3けたでも4けたでも、判定するのは一の位だけ。

判定法2:各ケタを足すだけ「3でわれる/9でわれる」

これが最もパワフルな判定法。各ケタの数を全部足してみるだけです。

3と9の判定法

判定対象 条件
3でわれる 各ケタの和が「3でわれる」 4671:4+6+7+1=18(3でわれる)→ 3でわれる
9でわれる 各ケタの和が「9でわれる」 74565:7+4+5+6+5=27(9でわれる)→ 9でわれる

たとえば「4671」が3でわれるかどうか、筆算をしなくても各ケタを足すだけで「4+6+7+1=18 → 3でわれる!」と即わかります。9でわれるかどうかも同じ方式(和が9でわれるか)で判定。

ちょっと不思議に思いませんか?
「なぜ各ケタを足すと、3や9でわれるかどうかがわかるんだろう?」と疑問に思ったお子さまには、こう伝えてあげてください——「10は9でわると1あまる、100は9でわると1あまる、1000も…全部1あまるんだ。だから各ケタを足したものが、9でわった『あまりの合計』になっているんだよ」。3も同じ仕組み(10を3でわると1あまる)です。原理がわかると、ただの暗記ではなく「なるほど!」という納得につながります。

判定法3:「6でわれる」も合わせ技で一瞬

6でわれるかどうかも、判定法1と2の組み合わせで瞬時にわかります。

6でわれる条件
「3でわれる」かつ「2でわれる(一の位が偶数)」
→ 両方を同時に満たせばOK

たとえば「2574」なら、

  • 一の位が4(偶数)→ 2でわれる
  • 各ケタの和:2+5+7+4 = 18(3でわれる)→ 3でわれる
  • 両方OKなので6でわれる

6は中学受験で頻出の倍数なので、この判定法は約分・約数問題で大きく効きます。

応用:末尾「00、25、50、75」なら25でわれる

さらに知っておくと得をする応用ルール。下2ケタが「00、25、50、75」なら、その数は25でわれます。

25でわれる条件
下2ケタが「00、25、50、75」のいずれか

例:2475、4825、1450、56700、345275

これは第1回でご紹介した「25・75・125のかけ算は4倍・8倍が出てきたらラクになる」と地続きの発想。25が見えたら4倍を意識するという思考の引き出しが、わり算でも役立ちます。

4つの判定法・総まとめ表

何でわれる? 判定方法
2 一の位が偶数(0,2,4,6,8)
3 各ケタの和が3でわれる
5 一の位が0または5
6 「3でわれる」かつ「一の位が偶数」
9 各ケタの和が9でわれる
25 下2ケタが00, 25, 50, 75
坂本七郎
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「3けた以上の数で、何でわれるか迷ったら、まず各ケタを足してみる」——これだけ覚えておけば、3と9でわれるかどうかは数秒で判定できます。一の位が1、3、7、9で奇数の場合(5以外)も、まず各ケタを足してチェック。この一手で約分の壁が驚くほど低くなります

第8回でご紹介した「2乗の数」も判定の武器になる

忘れてはいけないのが、第8回でご紹介した「11〜19の2乗」。これらの数が出てきたら、その平方根(11〜19)でわれることもセットで判定できます。

2乗の数 → 平方根でわれる
121 = 11² → 11でわれる
144 = 12² → 12でわれる(だから2、3、4、6、8でも)
169 = 13² → 13でわれる
196 = 14² → 14でわれる(だから2、7でも)
225 = 15² → 15でわれる(だから3、5でも)
256 = 16² → 16でわれる(だから2、4、8でも)
289 = 17² → 17でわれる
324 = 18² → 18でわれる(だから2、3、6、9でも)
361 = 19² → 19でわれる

特に素数であるこれらの数字の2乗は、その数でしか割れませんので、ぜひ覚えておいてください。

ワザ②:「分母−分子の差」で約数を見つける(上級テクニック)

結論:パッと見て約分できなさそうな分数も、「分母から分子を引いた差」の約数のどれかで必ず約分できます。難関校の入試問題でも使える、知る人ぞ知る上級テクニックです。

たとえば、こんな分数を見せられたらどうしますか?

5185

51と85——どちらも一の位が奇数で、各ケタを足しても3や9にはならない。「あれ?約分できないのかな?」と思ってしまうところ。

そこで使うのが「分母−分子」の差を取るテクニックです。

「分母−分子の差」テクニックの手順
① 分母から分子を引いた差を出す → 85 − 51 = 34
② その差の約数を書き出す → 34の約数:1、2、17、34
③ 約数の中に共通でわれる数があれば、それで約分できる
④ 51÷17 = 3、85÷17 = 5 → 5185 = 35 ピッタリ!

ぱっと見では気づきにくい「17」という共通の約数が、たった3ステップで見つかりました。

なぜ「分母−分子の差」で約数が見つかるのか?
分子と分母に共通の約数があれば、その差にも同じ約数が含まれるからです。たとえば51と85が両方とも17でわれるなら、その差「85−51=34」も必ず17でわれます(17×2=34)。だから差の約数を調べれば、分子と分母に共通する約数が必ず見つかる——これが「分母−分子の差」テクニックの仕組みです。

ただし注意が1点あります。「差の約数がすべて共通約数になるわけではない」ことです。たとえば34の約数は 1・2・17・34 の4つですが、このうち2と34は51を割り切れません。つまり「差の約数」は候補のリストであり、そこから実際に分子と分母の両方を割り切れるものを選ぶ、という2ステップで考えるのが正確です。

もう一例: 91143 を約分してみよう
① 差を出す:143 − 91 = 52
② 52の約数:1、2、4、13、26、52
③ 91と143を13でわってみる
④ 91÷13 = 7、143÷13 = 11 → 91143 = 711

13という、なかなか思いつかない約数も「差の約数を見る」だけで発見できました。

中学受験で、このテクニックはどの場面で使える?

結論:約分・約数・倍数・整数問題——中学受験算数の「整数領域」のあらゆる場面で、判定法は強力な武器になります。

  • 約分が瞬時にできる25743861 のような複雑な分数も、各ケタを足せば両方とも3で(さらに9で)わり切れることが瞬時にわかる
  • 倍数の文章題:「3けたの数のうち、3の倍数はいくつあるか」のような問題も判定法ですぐ判別できる
  • 約数の個数問題:「2520の約数はいくつ?」のような難問でも、まず判定法で2、3、5、6、9でわれることを確認 → 素因数分解の道筋が立つ
  • 場合の数・規則性:「3でわって2あまる数」を扱う問題で、各ケタの和を使えば一瞬で判定可能

判定法は「数の見方を増やす」テクニックそのもの。数を多角的に捉える視点は、計算の枠を超えて、文章題・図形・整数問題のひらめきを支える土台になります。

【練習問題】親子で挑戦!「約数の見つけ方」10問

判定法を使って、次の数が「何でわれるか」を見抜きましょう。判定法・分母−分子の差テクニックの両方を使う問題があります。目標時間は5分以内です。

練習問題(できるだけ筆算なしで)

  1. 335 は何でわれる?
  2. 2750 は何でわれる?(できるだけ多く)
  3. 831 は何でわれる?
  4. 783 は何でわれる?(2つ以上)
  5. 2574 は何でわれる?(3つ以上)
  6. 4725 は何でわれる?(3つ以上)
  7. 196 は何でわれる?(2つ以上)
  8. 3485 を約分しよう(差テクニック使用)
  9. 119187 を約分しよう(差テクニック使用)
  10. 25743861 を約分しよう

解答と解説

  1. 335 → 一の位が5 → 5でわれる(335÷5=67)
  2. 2750 → 一の位が0 → 2、5、10、25、50でわれる(2+7+5+0=14は3でわれない、4ではない)
  3. 831 → 一の位が1(奇数)、各ケタの和:8+3+1=12(3でわれる)→ 3でわれる(831÷3=277)
  4. 783 → 各ケタの和:7+8+3=18(9でわれる)→ 3でも9でもわれる(783÷9=87、87÷3=29)
  5. 2574 → 一の位が4(偶数)、各ケタの和:2+5+7+4=18(9でわれる)→ 2、3、6、9でわれる(2574÷9=286、さらに÷2=143)
  6. 4725 → 一の位が5、下2ケタが25、各ケタの和:4+7+2+5=18(9でわれる)→ 3、5、9、25でわれる(4725÷25=189、189÷9=21)
  7. 196 → 一の位が6(偶数)、第8回より196=14² → 2、4、7、14、28、49でわれる
  8. 3485 → 差:85−34=51、51の約数は1、3、17、51 → 17でわれる → 3485 = 25
  9. 119187 → 差:187−119=68、68の約数は1、2、4、17、34、68 → 17でわれる → 119187 = 711
  10. 25743861 → 各ケタの和:2574は18(9でわれる)、3861も18(9でわれる)→ 両方÷9 → 286429 → さらに差:429−286=143(143=11×13) → 13でわれる → 286429 = 2233 → さらに÷11で 23
坂本七郎
坂本七郎
どうでしたか?特に⑤⑥のような4けた以上の数でも、判定法を使えば数秒で「何でわれるか」がわかってしまいます。⑩のような複雑な分数も、判定法と差テクニックを組み合わせれば、難関校レベルの約分問題も怖くありません。「数の正体を見抜く」眼を、毎日少しずつ育てていきましょう。

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シリーズ「計算スピードアップ術」全14回のご案内

この記事は、まなぶてらすが中学受験生の保護者向けにお届けする、全14回の賢くなる計算テクニック連載の第10回です。今後も、平日1日1本ずつ「思考の引き出し」を増やすテクニックをお届けしていきます。

シリーズ全14回・予定ラインナップ

よくある質問(FAQ)

Q1. 「2、3、5、9」以外の判定法(4、7、8、11など)はないんですか?

A. あるにはありますが、受験で使う頻度を考えると「2、3、5、9」の4つだけ覚えておけば十分です。4の判定(下2ケタが4でわれる)や8の判定(下3ケタが8でわれる)も知っておくと便利ですが、その都度「2でわれる」を2回・3回繰り返す方が直感的でミスが少ないです。7の判定法は複雑で実用的ではないので、7は実際にわってみて確かめるのが現実的。11の判定法は比較的使いやすいものではありますが、小学生では少し難しい部分もあるため、ここでは紹介しません。気になる人は自分で調べてみてください。判定法は「最も使う4つだけ」をしっかり身につけましょう。

Q2. 「各ケタの和が3でわれる」と「3でわれる」が一致するのは、なぜですか?

A. 10、100、1000…はすべて「3でわると1あまる」という性質を持っているからです。たとえば「231」は「100×2+10×3+1×1」と分解できます。100や10を3でわるとあまりが1ずつ出るので、合計のあまりは「2+3+1=6」(=各ケタの和と同じ)。だから「各ケタの和が3でわれるかどうか」を見れば、元の数全体が3でわれるかが判定できます。9も同じ仕組み(10、100、1000はすべて9でわると1あまる)です。

Q3. 「分母−分子の差」テクニックは、いつ使うべきですか?

A. 「3でも5でも9でもわれない」と判定法で結論が出たときがチャンスです。「51/85」のように、分子も分母も奇数で和も3や9でわれない場合、ふつうなら諦めがちですが、差を取ることで「17」のような隠れた約数を見つけ出せます。中学受験の難関校では、こうした「ぱっと見では約分できなさそうな分数」が出題されることもあるので、上級テクニックとして引き出しに入れておきましょう。

Q4. 約数の見つけ方を、家庭でどう練習させればいいですか?

A. 毎日3〜5問、4けた程度の数を見せて「これは何でわれる?」とクイズ形式で質問するのがおすすめです。たとえば朝食の前に「2574は何でわれるかな?」と聞いて、お子さまが「2と3と6!」と答えられればOK。短時間・継続が最大のコツ。1〜2週間続けるだけで、判定法が身体化されて「数を見た瞬間に判定できる」状態になります。

Q5. 「賢くなる計算テクニック」って、ただの計算スピード向上以上の意味があるんですか?

A. はい、もっと深い意味があります。判定法は「数を多角的に捉える視点」を育てます。同じ「2574」という数も、人によって「ただの4けたの数」と見るか、「2でわれる、3でわれる、6でわれる、9でも」といくつもの顔を持つ数と見るかで、思考の自由度が大きく違います。これが文章題・図形・規則性問題で「ひらめき」を生む土台になる——テクニックは思考の終わりではなく、新しい思考の出発点です。

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この記事の著者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。

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▼ 坂本七郎の主な著書(中学受験関連)

でる順「中学受験」漢字1580が7時間で覚えられる問題集(大和出版)
中学受験は2科目だけ勉強すればいい(ナツメ社)

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第11回:繰り上がりのある「たし算」テクニック(近日公開)




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