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こんにちは、まなぶてらす代表の坂本です。

第11回までで「かけ算」「わり算」「たし算」の主要テクニックをご紹介してきました。連載もいよいよ後半、ここからは 「ひき算編」 に入ります。第12回のテーマは 「1000−368」のような大きな数からのひき算を、3秒で解く『おつり計算法』。コンビニで1000円札を出したときに「いくらお釣り?」と考える感覚を、そのまま計算に応用するテクニックです。

この記事は、全15回連載 「計算が2倍速くなる!中学受験のための計算スピードアップ術」 の第12回。「おつり計算法」と名づけた計算テクニックをご紹介します。

坂本七郎
坂本七郎
1000−368=?——筆算で解くと、くり下がりが3回連続して計算ミスのリスクが高い計算ですよね。でも、「368はあといくつで1000?」と発想を切り替えれば、カンタンに答えが出ます。これが「おつり計算法」です。

「おつり計算法」を学ぶ4つのメリット

  • くり下がりが完全に消える——一番ミスしやすい「くり下がり」をゼロにできる
  • 3桁・4桁の大きな数のひき算が暗算に——1000・10000からのひき算が頭の中だけで解ける
  • 「補数」の感覚が自然に身につく——中学・高校の数学にも繋がる重要な数感覚
  • 日常生活で即役立つ——コンビニで1000円札を出したときの「お釣り暗算」がそのまま受験に活きる

なぜ「おつり計算法」でひき算がラクになるのか?

結論:ひき算は 「2つの数のあいだの距離(差)」 を求める計算なので、「ひく数から、ひかれる数までいくつ必要か?」 と発想を切り替えれば、くり下がりを使わずに答えが出るからです。

たとえば「1000−368」を筆算で解くと——

従来の筆算

  1 0 0 0
−   3 6 8
---------
    6 3 2

一の位:0−8 → 10借りる → 一気にくり下がり連鎖
百の位、十の位もくり下がり続いて……
答え:632(でも、くり下がりミスのリスクが大)

くり下がりが3回連続するので、どこか1つでもミスすると答えが狂います。

ここで発想を変えて、「368はあといくつで1000になる?」 と考えてみましょう。これがコンビニのレジで「お釣りはいくら?」と考えるときの発想とまったく同じ。ひき算を「お釣りを求める計算」に置き換える ——それが「おつり計算法」です。

ひき算は「距離」を求めている
1000−368 = 632 という式は、「368 と 1000 の間の距離(あいだの数)」 を求めています。
つまり 368 から数を足していって、1000 にたどり着く「あと何歩?」を計算するのと同じ。
この発想の切り替えだけで、くり下がりが完全に消えるのです。

基本ルール:「足して9」と「足して10」を作るだけ

結論:「おつり計算法」は、各ケタで 「足して9」「一の位だけ足して10」 を作るだけのシンプルなルール。一度覚えてしまえば、3桁・4桁・5桁のひき算も同じ手順で解けます。

「おつり計算法」のルール

作る数 理由
一の位以外(十・百・千…) 足して 9 「9の補数」を作る
一の位 足して 10 「10の補数」を作る

具体例で見てみましょう。「1000 − 368」のとき:

1000 − 368 の解き方
368からあといくつ足せば1000になるかなと考える
百の位:3 → あと 6
十の位:6 → あと 3
一の位:8 → あと 2(足して10)
順に並べて 632

たったこれだけ。各ケタを独立に「足して9・足して10」を作ればよいので、頭の中だけで完結 します。

例題で慣れよう:「おつり計算法」のいろいろなパターン

例題1:100 − 78(2桁・基本中の基本)

100 − 78 の解き方
78からあといくつ足せば100になるかなと考える
十の位:7 → あと 2
一の位:8 → あと 2(足して10)
答え:22

2ケタからの基本パターン。「78円の買い物で100円玉を出したらおつりは22円」——日常感覚そのままで解けます。

例題2:1000 − 882(3桁・小さい引き算でも有効)

1000 − 882 の解き方
882からあといくつ足せば1000になるかなと考える
百の位:8 → あと 1
十の位:8 → あと 1
一の位:2 → あと 8(足して10)
答え:118

例題3:10000 − 654(4桁の千の位が0でも大丈夫)

10000 − 654 の解き方
654からあといくつ足せば10000になるかなと考える(654は「0654」と桁を揃えて考える)
千の位:0 → あと 9
百の位:6 → あと 3
十の位:5 → あと 4
一の位:4 → あと 6(足して10)
答え:9346

654 は実質「0654」と捉えるのがコツ。桁を揃えて4桁すべてを処理する と、漏れなく答えが出ます。

例題4:500 − 309(500のようなキリのいい数からの応用)

500・3000・5000のように「先頭の数が1ではない」キリのいい数からのひき算も、ほとんど同じ手順で解けます。

500 − 309 の解き方
309からあといくつ足せば500になるかなと考える
百の位:3 → あと 1(百の位は4まで補えば、繰り上がって5になる)
十の位:0 → あと 9
一の位:9 → あと 1(9+1=10)
答え:191

例題5:3000 − 2080(千の位が混在する応用)

3000 − 2080 の解き方
2080からあといくつ足せば3000になるかなと考える
百の位:0 → あと 9
十の位:8 → あと 1
一の位:0 → あと 10(10ぴったりで繰り上がる)
答え:920

坂本七郎
坂本七郎
「相手の数からあといくつ足せば、目当てのキリのいい数になるか?」 という発想は、500、3000、5000 など 「10、100、1000…」以外のキリのいい数 からのひき算でも同じように使えます。ひき算をたし算に置き換える感覚をつかめば、ひき算アレルギーが一気に消えますよ。

応用:おつり計算法は「確かめ算(検算)」としても使える

結論:第11回の「あなうめ算」と同じく、おつり計算法も 普通に筆算で解いたあとに、別ルートで答えを確認する『確かめ算』 として絶大な威力を発揮します。

中学受験では「計算ミス」が点数を落とす最大の原因。とくに くり下がりを含む3桁・4桁のひき算 はミスのオンパレード。そこで普通に筆算で答えを出したあと、おつり計算法でもう一度同じ計算をしてみると——

確かめ算としての使い方(1000−368 の例)
① まずは普通に筆算で計算する → 答え 632
② 念のため「おつり計算法」でもう一度:368からあといくつ足せば1000? 3→あと6、6→あと3、8→あと2 → 632
③ 両方の答えが一致 → 自信を持って次の問題へ
④ もし違っていたら → 見直しサイン、ミスがあるはず

1つの計算を2つの独立した方法で確認すれば、ケアレスミスはほぼゼロに近づきます。第11回のあなうめ算(たし算)とセットで身につけると、中学受験の計算ミス対策は盤石です。

中学受験で、このテクニックはどの場面で使える?

結論:おつり問題、損益算、年齢算、距離の差——中学受験のひき算が出てくる場面ほぼ全て で「おつり計算法」は活躍します。

  • 差の計算:「A君は1000円、B君は487円持っている。差は?」→ 1000-487 = 513
  • 損益算:「定価3000円の品を2078円で売った。値引き額は?」→ 3000-2078 = 922
  • 年齢算:「2026年生まれの子が西暦2100年に何歳?」→ 2026からあといくつ足せば2100? 答えは 74
  • 距離の差:「全長1500mの道のうち、367m進んだ。残りは?」→ 1500-367 = 1133m
  • 速さの計算:「100分のうち67分経過。残りは?」→ 100-67 = 33

ひき算は中学受験のあらゆる場面で出てきます。「ひく」ではなく「あといくつで届く?」と発想を切り替える 視点は、計算スピードだけでなく、数の関係を立体的に捉える力 そのものを育てます。

【練習問題】親子で挑戦!「おつり計算法」10問

「足して9・一の位だけ足して10」——この合言葉だけで、暗算で挑戦してみてください。目標時間は 3分以内 です。

練習問題(できるだけ暗算で)

  1. 100 − 78 =
  2. 1000 − 882 =
  3. 1000 − 65 =
  4. 10000 − 9290 =
  5. 10000 − 654 =
  6. 10000 − 108 =
  7. 10000 − 4909 =
  8. 500 − 309 =
  9. 5000 − 3875 =
  10. 3000 − 2080 =

解答と解説

  1. 100 − 78 → 7→2、8→2 = 22
  2. 1000 − 882 → 8→1、8→1、2→8 = 118
  3. 1000 − 65 → 065と捉える → 0→9、6→3、5→5 = 935
  4. 10000 − 9290 → 9→0、2→7、9→0、0→10(一の位)= 710
  5. 10000 − 654 → 0654と捉える → 0→9、6→3、5→4、4→6 = 9346
  6. 10000 − 108 → 0108と捉える → 0→9、1→8、0→9、8→2 = 9892
  7. 10000 − 4909 → 4→5、9→0、0→9、9→1 = 5091
  8. 500 − 309 → 309からあといくつ足せば500? 3→あと1、0→あと9、9→あと1 = 191
  9. 5000 − 3875 → 3875からあといくつ足せば5000? 3→あと1、8→あと1、7→あと2、5→あと5 = 1125
  10. 3000 − 2080 → 2080からあといくつ足せば3000? 2→あと0、0→あと9、8→あと1、0→あと10 = 920
坂本七郎
坂本七郎
どうでしたか?最初は「足して9」「足して10」を意識するのが大変かもしれませんが、毎日5問ずつ続ければ、1週間で反射的にできる ようになります。日常でも「100円玉のおつり」「1000円札のおつり」を頭の中で計算する習慣をつけると、自然と感覚が磨かれますよ。

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シリーズ「計算スピードアップ術」全15回のご案内

この記事は、まなぶてらすが中学受験生の保護者向けにお届けする、全15回の 賢くなる計算テクニック 連載の第12回です。今後も、平日1日1本ずつ「思考の引き出し」を増やすテクニックをお届けしていきます。

シリーズ全15回・予定ラインナップ

よくある質問(FAQ)

Q1. 「足して9・足して10」の使い分けが混乱しそうです。

A. 合言葉は 「最後だけ10、それ以外は9」 でOKです。一の位(一番右)だけ 10になる組み合わせ を作り、それ以外の位(十・百・千…)はすべて 9になる組み合わせ を作るだけ。慣れてくれば、数を見た瞬間に「あと何で9(10)?」が反射的に浮かぶようになります。

Q2. 500 や 3000 のように「先頭が1ではない」キリのいい数からのひき算はどうする?

A. 「ひく数からあといくつ足せば、そのキリのいい数になるか?」 と発想を切り替えるだけで、ほぼ同じやり方で解けます。たとえば「500−309」なら、309 から各桁ごとに「あと何足せば500になる?」を考えていく形。先頭の桁だけ「先頭の数 − 1」に補う(500なら4、3000なら2)よう意識すれば、500・3000・5000 など、どんなキリのいい数でも応用できます。

Q3. ひく数の桁が ひかれる数より少ないときはどうする?

A. 頭に0を補って桁を揃える のがコツ。たとえば「10000 − 65」なら、65 を「0065」として4桁に揃えます。すると千の位は0→9、百の位も0→9、十の位は6→3、一の位は5→5。答えは 9935桁を揃える」発想だけで応用範囲が一気に広がります

Q4. 普通の筆算と、おつり計算法、どちらを使うべき?

A. 「キリのいい数(1000、10000、500など)からのひき算」はおつり計算法、それ以外は筆算 or 次回の『引かないひき算』がおすすめです。1000以下の半端な数のひき算(例:487−238)は筆算の方が速いこともあります。テクニックは「使いどころを見極める」のがコツ——数を見て「これはどっち?」と判断する力も、計算テクニックの一部です。

Q5. このテクニック、中学・高校でも使えますか?

A. はい、中学・高校・大学受験までずっと使えます。むしろ、桁数が増えるほど「おつり計算法」の威力は増します。さらに、ここで身につけた 「補数」の感覚(足して9や10になる相手を瞬時に思いつく)は、プログラミングやデジタル回路の世界でも使われる重要な数感覚。一生モノのスキルです。

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次回予告

第13回:”引かない”引き算(たし算で答えを出す)

今回は 「キリのいい数」からのひき算 を扱いましたが、現実には「1026−387」のような 中途半端な数からのひき算 も多いですよね。実は、今回ご紹介した 「おつり計算法」を応用すれば、どんなひき算もたし算だけで解ける ようになります。これが第13回の「引かないひき算」。次回もお楽しみに。

この記事の著者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。

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▼ 坂本七郎の主な著書(中学受験関連)

でる順「中学受験」漢字1580が7時間で覚えられる問題集(大和出版)
中学受験は2科目だけ勉強すればいい(ナツメ社)

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第13回:”引かない”引き算(近日公開)




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