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「将棋は、勝ったほうが楽しいに決まっているし、負けたらしょんぼり。それでいいんです」。そう笑うのは、将棋講師のそうへい先生。将棋道場の席主として老若男女に将棋を教え、将棋書籍の編集者、将棋新聞記者として将棋の世界に10年以上携わってきました。

今回は、将棋というゲームそのものの面白さと、対局を通して育つ「考える力」について伺いました。将棋盤の上で駒の”数”を数えるだけで見えてくる、誰にでも実践できる論理的な考え方とは——。


そうへい先生

そうへい 先生

将棋専門。元将棋道場席主・将棋書籍編集者・将棋新聞記者。将棋関連の仕事に通算10年以上携わったのち、まなぶてらすで小学生から大人まで幅広く将棋を指導。「先を読む力」と「思いやりの気持ち」を育てるレッスンを行っている。

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将棋道場の席主として——将棋というゲームの本質的な面白さとは

そうへい先生は将棋道場の席主として、子どもから女性、ご高齢の方まで幅広い層に将棋を教えてきました。将棋というゲームそのものの魅力はどこにあるのか尋ねると、こんな答えが返ってきました。

そうへい先生

そうへい先生

将棋は老若男女を問わず、同じルールで楽しめる競技です。いつからでも始められますし、レベルが上がれば上がるほど、楽しくなります。今よりほんの少しだけ上達しただけでも、それまでよりうんと楽しく感じます。最初のうちは、覚えること、気づくことが多いので、特に自身のレベルアップを頻繁に実感することができます

将棋道場では、「◯◯さん、△△さん」と名前を呼んでお客さん同士に次々と対局してもらいます。これを「手合いをつける」と言い、基準は主にレベル(棋力)。実力が拮抗し、お互いに楽しめるように組みます。老若男女、国籍はまったく関係ありません。

ただ、同じようなレベルの相手がいない状況も生まれます。そんなときに使われるのが「駒落ち」という仕組みです。

そうへい先生

そうへい先生

棋力上位のお客さんがあらかじめ、飛車や角などを盤上から取り除いて対局してもらいます。将棋にはこの「駒落ち」という方法もありますので、実は楽しむのにレベルも問いません。尻込みすることはまったくありません

レベルが違っても、駒を減らすというハンデ戦の仕組みで一緒に楽しめる。将棋の間口の広さは、こうした工夫に支えられています。子どものオンライン習い事おすすめ12選でも、将棋は「先を読む力・判断力・忍耐力」を育てる習い事として紹介されています。

「先を読む力」はどうやって育つのか——3手読みから始まる思考の階段

そうへい先生の自己紹介文には「先を読む力」という言葉がたびたび登場します。将棋は自分の手だけでなく、相手の手も読まなければなりません。81マスの盤上、40個の駒を前に、次の一手を選ぶだけでも迷うのに、そこに相手の応手まで読み込むのは至難の業です。

そうへい先生

そうへい先生

相手の手が入る最低単位、「自分→相手→自分」の最低3手は考えてみてほしい。最初は自分勝手な読みになってしまい、相手がそうは指してくれないことのほうが多いでしょう。それでも構いません。いつか自分の思う通りに進めば、大きな成功体験になります。3手の読みを続け、失敗しつつも成功を少しずつ積み重ねて、それから5手、7手と、次第にレベルアップしてゆくのが良いでしょう

実際のレッスンで、そうへい先生はこんな場面に立ち会ったといいます。

そうへい先生

そうへい先生

初心者(小3)のレッスンにて、こんなことがありました。駒落ちの対局で、その子は思いついた手を瞬間的にパッと指してしまうタイプなのですが、突然、ある局面で手を止め、コンコンと考え始めたのです。数分後に指した手は私の想像していなかった一着でしたが、こちらもしばらく考えて、彼の狙いに気づきました。明らかに、自分の手に対する私の応手、その次の自分の手に期待した一着でした。「こちらがこうしたら、こうしようと思ったんだね」と確認すると、彼はうなずいていました

3手先を読み、その通りに指せた瞬間。それが、将棋の「先を読む力」が育つ最初の一歩になります。

「数える」だけで将棋は強くなる——「数の攻め」に見る論理的思考の鍛え方

将棋は「論理的思考力を養う」とよく言われます。そうへい先生のレッスンでは、その力をどうやって育てているのでしょうか。鍵になるのは、将棋の「攻め」の基本にある「数の攻め」「足し算の攻め」という考え方でした。

そうへい先生

そうへい先生

将棋における「攻め」の基本に、「数の攻め」「足し算の攻め」があります

駒の動きに詳しくない方のために、局面図とともに見ていきましょう。

局面1:赤マスに自分の飛、相手の金の利きがそれぞれ1つずつ利いている(1対1)状態
局面1:赤マスには自分の飛、相手の金の利きがそれぞれ1つ(1対1)
そうへい先生

そうへい先生

赤マスにご注目ください。この地点には自分の飛、相手の金が進むことができるマスです。将棋用語では「利いている・利きがある・利き」などと言います。ほとんどの駒が、相手の陣地(三段目以内)に入るとパワーアップ(成る、といいます)できます。では、自分は「飛」、相手は「金」の、「1対1」の赤マスに、パワーアップを目指して飛び込んでいくとどうなるか……

局面2:飛が成って龍になる
局面2:飛が成る
局面3:成った飛(龍)が相手の金に取られる
局面3:金に取られる

大切な飛車を取られただけに終わってしまいました。そうへい先生はレッスンで、こう教えているといいます。

そうへい先生

そうへい先生

「お互いの駒の利きを数えてみよう。1対1だね。だから先に飛び込むと失敗するよ。攻める時は2対1にして攻めてみよう」と教えています

では、2対1にするとどうなるのでしょうか。

局面4:局面1に歩を1枚足しただけで、赤マスの利きが自分2対相手1になる
局面4:最初の図に歩を1枚足しただけ(2対1)
そうへい先生

そうへい先生

最初の図と比べると、赤マスの前に歩があるだけです。利きを数えてみましょう。赤マスには、自分の駒は飛、歩の2つ、相手の駒は金のみ、1つ利いています。ここから同じように飛び込んでいくと……

局面5:歩が成って「と金」になる
局面5:歩が成る
局面6:と金が相手の金に取り返される
局面6:金でと金を取り返す
局面7:飛が成りながら金を取り返す
局面7:飛が成りながら金を取り返す
そうへい先生

そうへい先生

相手に一番弱い駒の歩を渡しましたが、歩と比べて格段に強い金を手に入れ、さらに飛をパワーアップさせました。大成功の図です

たった1枚、歩を足しただけ。それだけで「1対1で失敗する攻め」が「2対1で成功する攻め」に変わりました。この「数える」という作業に、将棋の論理的思考力の土台があります。

そうへい先生

そうへい先生

「数の攻め」の基本は以上のようなものですが、実際の対局では、局面のあちらこちらで「数」の攻防が繰り広げられます。2対1にしたら、相手は2対2にして「受け」るのか、またはほかのマスで、こちらの攻めより厳しい2対1を作って「攻め」てくるのか……さらには「足し算」の攻めの応用で「引き算」の攻めもあります。「掛け算」「割り算」は聞いたことがありませんが、藤井聡太さんなら、もしかすると使っているかもしれませんね?

目の前の状況を「数える」。それだけで、次に何をすべきかが見えてきます。テストの見直しでも、家事の段取りでも——将棋盤の外でも応用できそうな、シンプルで実践的な思考法です。そろばんのメリット11選で紹介されている暗算の効果と同じように、将棋の「数える」習慣も、地道な積み重ねが思考力の土台になるという点で通じるものがあります。

「絶対にぶん投げない」——初心者が勝つ喜びを味わうためのレッスン設計

そうへい先生の自己紹介文には、もう一つ印象的な言葉があります。「絶対にぶん投げることはしない」というものです。

そうへい先生

そうへい先生

将棋は2人競技。勝ったほうが楽しいに決まっているし、負けたらしょんぼり……これは当然です。競技の勝ち負けだけでなく、ひとつの局面においても、自分の技が決まればうれしいし、失敗すれば少なからずがっかりします。「くやしい」「がっかり」も上達には必須ですが、特に始めたての子は、「楽しい」「うれしい」だけで良いと思っています

レッスンでは、生徒のレベルに応じて「楽しい・うれしい」と「がっかり」の割合を調整しているといいます。

そうへい先生

そうへい先生

局面においての「がっかり」については、「うーん、それだとこちらにこういう手があるよ。ちょっと困らないかな。もっといい手はないかな」と伝えて、その場で考え直してもらうことが多いです。そして、最後はこちらの王将を詰ませて勝ってもらうようにしています

初心者を力任せに負かすのではなく、必ず勝って終わる経験を用意する。将棋の楽しさを知る前に挫折させない、そうへい先生の一貫した姿勢がここにあります。

「負けました」「ありがとうございました」——将棋の礼儀作法に込めた思いやり

将棋には、対局の最後に必ず交わす言葉があります。負けた側の「負けました」、勝った側の「ありがとうございました」です。なぜこの作法を大切にしているのか尋ねました。

そうへい先生

そうへい先生

たとえば何かを聞かれて「わかりません」と答えるのは、ちょっと恥ずかしいし、くやしい気持ちにもなります。しかし、その場で、「わかりません、教えてください」と声に出して言ってしまったほうが、口ごもったり、知ったかぶりをしたりするより、将来的にはよほど良い結果につながるでしょう

将棋は運が絡む競技ではありません。負けは完全に「自分のせい」であり、それを認めるのは簡単なことではありません。

そうへい先生

そうへい先生

将棋においては、自分の考えを積み重ねた結果、負けてしまうのは、将棋は運がからむ競技ではないので完全に「自分のせい」ということもあり、とても悔しいのです。自分自身に心底腹が立つことさえあります。それでも、「この対局では自分のほうが弱かった、間違えていた、相手のほうが強かった」ということを認めて、「負けました」と声に出して相手に伝える。これができれば、負けたとしても、堂々としていて立派です

勝った側にも作法があります。

そうへい先生

そうへい先生

勝った側は、相手の気持ちを察し、「ありがとうございました」と礼を返すのが作法です。一局一局の終わりに必ず「負けました」「ありがとうございました」のやりとりを行います。それを続けることにより、自分の非を認める強さ、相手を思いやる気持ちを身につけてくれたらうれしいです

勝っても負けても、最後は礼で締めくくる。この積み重ねが、将棋盤の外でも活きる「思いやりの気持ち」を育てていきます。

「7年ほど『まなぶてらす』にお世話になっています。20名近しの先生方にご指導いただきました。その中でも、そうへい先生は一番素晴らしい先生です。将棋は論理的思考力を養えます。(中略)そうへい先生は将棋の楽しさはもちろん、将棋を通してもっと大事なことを教えてくれます。生徒のことを本当に大切にしてくれます」

「米国在住の小学4年生と年長の息子が、そうへい先生に2年程お世話になっております。そうへい先生はとても辛抱強く、常に子どもの気持ちを優先して、丁寧に将棋のレッスンをしてくださいます。(中略)褒めて伸ばしてくださる先生なので、今では年長の息子も駒の漢字を全て覚えてくれました」

将棋というゲームそのものの本質的な面白さ、3手読みから始まる「先を読む力」、そして駒の利きを数えるだけで見えてくる「数の攻め」という論理的思考——そうへい先生のレッスンには、将棋の技術だけでなく、勉強や日常のさまざまな場面にも活きる「考える力」の芽が詰まっています。まずは無料体験レッスンで、その一端に触れてみてください。将棋以外の習い事とも迷っている場合は、子どもの習い事、何を選べばいい?小学生の習い事選びで失敗しない5つのポイントも参考にしてみてください。

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そうへい先生へのよくある質問

そうへい先生のレッスンは何歳から受けられますか?

小学生1〜3年生から高校生、既卒生・大学生・大人まで幅広く対応しています。

将棋のルールを知らない状態でも大丈夫ですか?

問題ありません。初心者を力任せに負かすことはせず、生徒のレベルに応じて手加減をしながら、必ず勝つ経験を用意して指導しています。

対局で負けてばかりにならないか心配です。

「絶対にぶん投げない」という方針のもと、「がっかり」と「うれしい」のバランスを生徒のレベルに合わせて調整し、レッスンの最後は必ず勝って終われるように設計されています。

レッスン料金はいくらですか?

50分2,000pt(月4回の場合、月額8,800円)です。レッスン回数は自由に設定できます。

将棋を通してどんな力が身につきますか?

3手読みから始まる「先を読む力」、駒の利きを数える「数の攻め」に代表される論理的に考える力、そして「負けました」「ありがとうございました」の作法に込められた思いやりの気持ちです。

この記事の著者

まなぶてらす編集部

まなぶてらす編集部

「まなぶてらす」は、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスです。一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばし、お子さまの強みを育てることを大切にしています。学びに関する最新情報や、家庭学習に役立つ知識をお届けします。

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そうへい先生

そうへい 先生

まなぶてらす講師・将棋専門・元将棋道場席主・将棋書籍編集者・将棋新聞記者

将棋道場の席主、将棋書籍の編集者、将棋新聞記者として将棋に関わる仕事に10年以上携わったのち、まなぶてらすでオンライン将棋レッスンを行っている。「先を読む力」と「思いやりの気持ち」を育てるレッスンを届けている。

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