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朝はどうしても起きられないのに、午後や夜になると元気に過ごせる。そんなお子さんの様子に「怠けているのでは」と戸惑う保護者の方は少なくありません。長年の相談支援の中でお伝えしているのは、これは気力の問題ではなく、自律神経の働き方に関わる体の状態である場合が多いということです。この記事では、起立性調節障害の基本的な特徴を踏まえたうえで、体調が上がりやすい午後・夜の時間帯を生かした学習の進め方を整理します。気になる症状がある場合は、自己判断で対応を決めず、まず小児科や思春期外来などの医療機関にご相談ください。

さとしん先生
さとしん先生
朝起きられないことを、本人の甘えだと捉えてしまうと、お子さんはますます苦しくなります。体調が上がる時間帯に合わせて学習を組み立て直すという発想の転換が、家庭でできる大きな支えになります。

起立性調節障害とは?朝に弱く、午後に回復するのはなぜ?

起立性調節障害は、自律神経の働きの乱れによって、起立時に立ちくらみ・倦怠感・頭痛などの症状が出やすくなる状態です。思春期に発症しやすいとされ、症状は午前中に強く出て、午後から夜にかけて回復していく傾向があると考えられています(出典:日本小児心身医学会)。

有病率については情報源によって幅がありますが、軽症例を含めると中学生・高校生の1〜2割程度にみられるという報告が複数あります。また、不登校のお子さんのうち3〜4割程度に起立性調節障害が併存しているという報告もあります。ただしこれらの数値は自覚症状に基づく推計や特定の調査によるもので、必ずしも全国一律の統計ではないことにご留意ください。

大切なのは「怠けではなく、体の状態である可能性がある」と捉えることです。周囲から見ると「ゲームには集中できるのに勉強はできない」という状態に見えることがありますが、これも症状の日内変動として説明できる場合があります。決めつけず、まずは医療機関で相談することをおすすめします。

学習は「午後・夜」にシフトするという発想

朝の時間帯に無理に学習を詰め込もうとすると、お子さんにとっても保護者にとっても負担が大きくなります。体調が上がりやすい午後・夜の時間帯に学習の軸足を移すことで、無理なく学習を継続できる可能性があります。

具体的には、午前中は体を横にして休む時間として割り切り、午後の早い時間から軽い復習を始め、夜にその日のメインの学習を行うという組み立て方があります。「朝に遅れた分を取り戻す」のではなく、「体調が良い時間帯にできることを積み重ねる」という考え方に切り替えることがポイントです。

学校の授業と同じ時間割にこだわらず、教科ごとに集中しやすい時間帯を見つけていくことも一つの工夫です。

オンライン学習との相性が良い理由

起立性調節障害のお子さんにとって、時間帯を柔軟に選べるオンライン学習は相性が良い選択肢の一つです。通学のための移動や、決まった時間に教室へ向かう負担がなく、体調が上がったタイミングでその日の学習に取り組めます。

また、対面での通学よりも本人の体調に応じて休憩を挟みやすく、保護者が近くで様子を確認しながら進められる点も安心材料になります。学校を休みがちなお子さんの生活リズム全般については不登校で生活リズムが崩れたら?朝のオンライン枠を活用する方法もあわせてご覧ください。

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学校との連携・出席の扱いについて

起立性調節障害による欠席が続く場合、学校との連携も大切な視点です。診断書や医師の意見を学校に共有し、登校時間の調整や別室登校などの配慮について相談してみることをおすすめします。オンラインでの学習指導が、一定の要件のもとで指導要録上の出席として扱われる制度もあります。

学校以外の学習支援の選択肢を広く知りたい方は小学生の不登校が増えている理由と親ができるサポートも参考になります。体調や特性への配慮という点では、発達障害の子の夏休みの過ごし方で紹介しているスケジュール管理の工夫も参考にしていただけます。
そして、通院や学校とのやり取りが続く時期は、保護者の方自身も疲れをためやすいものです。「怠けだと誤解して叱ってしまった」と、ご自身を責める必要はありません。お子さんの体調に合わせた伴走を続けるためにも、保護者の方が一人で抱え込まず、休息や誰かに話を聞いてもらう時間を確保することを意識してみてください。保護者向けの相談先は夏休み明けに不登校にならないための保護者ガイドでも紹介しています。

体調に合わせた学習をサポートする講師3名


フジテル先生

フジテル 先生(藤村晃央)

医療・福祉分野17年の対人支援経験を持つ学習習慣コーチ。中学生・高校生(一般・受験対策)。社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持ち、不登校のお子さんへのサポートにも対応しています。

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ひまわり先生

ひまわり 先生

看護師資格を持ち、体調に配慮した指導が可能。英語・国語(小学生〜高校生)。病院看護の経験を生かし、「Home School+」の学習習慣サポートにも対応しています。

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ちづ先生

ちづ 先生

定時制高校10年勤務、不登校生徒への指導実績が豊富。社会(中学・高校)。柔軟な時間対応が可能で、体調に波があるお子さんにも安心して相談いただけます。

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よくある質問

Q. 起立性調節障害かどうかは家庭で判断できますか?

自己判断は避け、小児科や思春期外来などの医療機関に相談することをおすすめします。似た症状でも原因が異なる場合があり、早めの受診が安心につながります。

Q. 午後・夜だけの学習で遅れは取り戻せますか?

体調が上がる時間帯を生かすことで、無理なく学習を継続できる可能性があります。「朝の遅れを取り戻す」より「今できることを積み重ねる」という視点で進めることをおすすめします。

Q. 学校にはどう伝えればよいですか?

医師の診断書や意見書があれば、それをもとに登校時間の調整や別室登校などの配慮について相談しやすくなります。学校のスクールカウンセラーに間に入ってもらう方法もあります。

Q. オンライン学習は出席として認められますか?

一定の要件を満たす場合、オンラインでの学習指導が指導要録上の出席として扱われる制度があります。詳細は在籍校に確認することをおすすめします。

Q. きょうだいや周囲にどう説明すればよいですか?

「怠けているわけではなく、体の状態によるもの」であることを、年齢に応じた言葉で伝えることが大切です。周囲の理解が、本人の安心感にもつながります。

まとめ

起立性調節障害による朝の不調は、本人の気力の問題ではなく、体の状態によるものである場合が多くあります。午後・夜の体調が上がりやすい時間帯に学習の軸足を移すことで、無理のない形で学びを継続できる可能性があります。気になる症状がある場合は、自己判断せずまず医療機関にご相談ください。

参考文献

・日本小児心身医学会「起立性調節障害」解説ページ
・厚生労働省 審議会提出資料(児童生徒の健康状態に関するデータ)
・日本小児科学会「小児期発症慢性疾患を有する患者の成人期移行に関する調査報告書」(2016年)

この記事の著者

まなぶてらす編集部

まなぶてらす編集部

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この記事の監修者

佐藤信一

佐藤信一(さとしん先生)

教育心理学修士・不登校支援歴20年

国際基督教大学(ICU)大学院教育心理学修士課程修了。25年以上の英語指導経験に加え、20年にわたり不登校の子ども・保護者の相談支援に携わっています。現在もフリースクール職員として現場でサポートを続けながら、約350人の不登校生とその保護者への相談・情報提供の実績を持ちます。

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