私立高校の「併願優遇」「併願確約」とは?秋の個別相談で保護者が確認すること
※本記事には「まなぶてらす」のサービス紹介が含まれます
中学3年生の秋、私立高校の説明会の案内に「併願優遇」「個別相談」という言葉が並びます。公立高校が第一志望のご家庭にとっては、聞き慣れない言葉かもしれません。「何を持っていけばいいのか」「いつまでに決めるのか」と戸惑うご家庭も少なくありません。
東京都が公表している令和9年度の私立高校の実施要項には、一般入試で「各学校が定める成績等の基準を満たした受験者に対して優遇措置(併願優遇)を講ずる」学校に印が付けられています。併願優遇は、制度の名前は同じでも、中身は学校ごとに違います。
この記事では、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を例に、併願優遇のしくみ、都県による違い、秋から入試までの流れ、個別相談で確認することを整理します。
併願優遇・併願確約とは?公立第一志望の家庭が知っておきたい私立のしくみ
併願優遇とは、私立高校が決めた成績などの基準を満たした受験生を、一般入試で優遇するしくみです。公立高校を第一志望にしながら、私立高校を「受験の見通しを立てやすい学校」として考えるときに使われます。
公立高校が不合格だったときにその私立高校に入学することを、条件にしている学校もあります。優遇の内容は、学校ごとに決められています。東京都の資料にも「詳細は、各学校に問い合わせのこと」と書かれています。
「併願確約」「確約」という言葉を見聞きすることがあるかもしれません。ただ、埼玉県が公表している私立高校の入試要項には、この言葉は出てきません。要項に載っている区分は「単願」「併願」「推薦」などです。呼び方よりも、志望校の募集要項にどう書かれているかを確かめてください。
都県で違う呼び方としくみは?東京・神奈川・埼玉・千葉
入試の区分の名前も、日程も、相談の進め方も、都県によって違います。まずはお住まいの都県の公的な資料で、区分と日程を確かめることから始めます。
| 都県 | 公的な資料で確認できること(令和9年度) |
|---|---|
| 東京 | 推薦入試は1月22日以降、一般入試は2月10日以降に行われます。一般入試で併願優遇を行う学校は、都の実施要項で印が付いています |
| 神奈川 | 区分や日程は、各校の募集要項で確認します |
| 埼玉 | 県の入試要項に、学校ごとの「単願」「併願」「推薦」などの区分と試験日が載っています。試験日は1月22日・23日が多くなっています |
| 千葉 | 前期選抜と後期選抜があります。全日制の多くは前期選抜の試験日を1月17日〜20日に設定しています |
相談の進め方にも違いがあります。進研ゼミの高校入試情報サイトによると、埼玉県では多くの私立高校で、受験生や保護者と高校のあいだで個別相談会が行われ、秋ごろが開催のピークになります。相談の進め方は、地域や学校によって違います。誰が、いつ相談するのかは、中学校の進路説明会や三者面談で確認してください。
併願優遇の基準には何が使われる?
基準に使われるものは、学校ごとに違います。東京都の実施要項には「成績等の基準」とだけ書かれており、何の成績を、どの時点で見るのかは各校に確かめる必要があります。埼玉県の個別相談では、通知表や会場模試の結果、検定の証明書などを持参するとされています。
| 確認しておきたい項目 | 確認しておくこと |
|---|---|
| 内申点(評定) | どの学年・学期の成績を使うか。3教科・5教科・9教科のどれで見るか |
| 模試の成績 | どの模試の、何回目までの結果が使えるか |
| 検定・活動の記録など | 英検や漢検などを考慮するか。欠席日数について決まりがあるか |
基準の数値は年度によって変わることがあるため、この記事では個別の学校の数値は載せません。必ずその年度の募集要項と説明会で確かめてください。内申点を上げるために2学期にできることは、中学生の内申点の上げ方にまとめています。東京都の内申点の計算のしかたは、都立高校入試の内申点のしくみを参考にしてください。
模試の成績を基準に使う学校を考えている場合は、受ける回を早めに決めておきます。東京都の模試については、Vもぎ・Wもぎの違いと選び方で整理しています。
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秋から入試までのスケジュールは?
秋のうちに情報を集め、三者面談までに受ける学校の候補をしぼります。説明会と個別相談は、秋に多く開かれます。
| 時期 | すること |
|---|---|
| 秋(説明会・個別相談の時期) | 学校説明会・個別相談に参加する。基準と必要な書類を確かめる |
| 三者面談(時期は中学校によって違います) | 受ける学校と入試の区分を決める |
| 1月 | 千葉は1月17日〜20日、埼玉は1月22日・23日に試験日を置く学校が多い。東京は推薦入試が1月22日以降。出願の期間は各校の募集要項で確認する |
| 2月 | 東京の私立一般入試は2月10日以降。都立高校の一般入試(第一次募集)は2月21日 |
東京都の場合、令和9年度の都立高校の一般入試(第一次募集)は2月21日、合格発表は3月1日です。私立高校の入学手続きの締切が、この合格発表より前か後かは学校によって違います。
都の実施要項では、都立高校を併願する受験生の入学金などの扱いが、学校ごとにAからFの区分で示されています。合格発表まで手続きを待ってもらえる学校もあれば、先に一部を納める学校もあります。費用にかかわる部分ですので、出願の前に必ず確認しておきましょう。
個別相談に持っていくもの・聞いておくことは?
成績が分かる資料をそろえて持っていきます。当日は、「うちの子の成績で、どの区分で受けられるか」を具体的に聞くことが目的です。
・通知表(コピーでよいかは学校の案内に従う)
・模試の成績表
・英検や漢検などの合格証のコピー
・部活動や学校外の活動の成績が分かるもの
・聞きたいことを書いたメモと筆記用具
持ち物は学校によって指定が違います。予約の際の案内を必ず読んでください。当日に聞いておきたいことは、次の表のとおりです。
| 聞いておくこと | 理由 |
|---|---|
| いまの成績で、どの区分・コースで受けられるか | コースによって基準が違うことがあるため |
| 基準に使う成績は、どの学期までのものか | 2学期の成績で届く見込みがあるかを判断するため |
| 優遇の内容と、当日の試験の扱い | 当日の点数しだいで不合格になることがあるかを知るため |
| 入学手続きの締切と、入学金などの扱い | 公立高校の合格発表との前後を確かめるため |
| このあとの手続き(中学校を通すのか、家庭で出願するのか) | 都県や学校によって進め方が違うため |
併願する私立高校を決める前に、家庭で話し合っておくことは?
「公立高校が不合格だったら、この学校に通う」と親子で納得できるかどうかを話し合います。併願優遇で受ける学校は、実際に3年間通う可能性のある学校だからです。
説明会や文化祭で、通学にかかる時間と学校の雰囲気を確かめます。資料だけで決めず、本人が一度は足を運ぶことをおすすめします。
授業料のほかに、入学金、施設費、制服や教材の費用がかかります。国や都県の支援制度の対象になるかどうかも、あわせて調べておきます。
「ここなら通ってもいい」と本人が言えるかどうかを聞きます。親が決めた学校では、入学後に気持ちが続きにくくなることがあります。
三者面談では、受ける学校の名前と区分を先生に伝えられるよう、家庭での結論をメモにまとめておくと話が進みやすくなります。千葉県で公立高校を受ける場合の三者面談の準備は、千葉県公立高校入試のしくみと模試の使い方でも取り上げています。
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先生との相性は、プロフィールだけでは分からない部分もあります。まずは1回話してみて、お子さんが質問しやすいかどうかを確かめてから、続けるかどうかを決めてください。
よくある質問
Q. 併願優遇を使えば、必ず合格できますか?
必ず合格できるとは限りません。優遇の内容は学校ごとに決められており、当日の試験を受けたうえで合否が決まります。当日の点数の扱いは、個別相談で具体的に確かめてください。
Q. 併願優遇は、何校まで使えますか?
複数の学校で使えるかどうかは、志望校の募集要項を確かめたうえで、中学校の先生に相談してください。学校や地域によって扱いが異なります。
Q. 基準に少し届かないときは、あきらめるしかありませんか?
検定の合格などを考慮するかどうかは、学校ごとに違います。個別相談で成績の資料を見せて、受けられる区分があるかを尋ねてみてください。2学期の成績で届く可能性があるかどうかも、あわせて聞いておくと判断しやすくなります。
Q. 個別相談は、保護者だけで行ってもいいですか?
保護者だけで参加できるかどうかは、予約の際の案内で確かめてください。本人が一緒に行くと、学校の雰囲気を自分の目で見られるという利点もあります。
Q. 公立高校に合格したら、私立高校に納めたお金はどうなりますか?
公立高校の合格発表まで手続きを待つ学校もあれば、先に一部を納め、それが返ってこない学校もあります。東京都の実施要項では、この扱いが学校ごとに区分で示されています。出願の前に募集要項で確かめておきましょう。
まとめ
併願優遇は、私立高校が決めた基準を満たした受験生を一般入試で優遇するしくみです。呼び方も、基準も、相談の進め方も、都県と学校によって違います。公的な資料と志望校の募集要項で、区分と日程を確かめるところから始めてください。
秋の個別相談では、成績の資料を持っていき、受けられる区分、基準に使う学期、優遇の内容、入学手続きの締切を聞きます。三者面談の前に、「この学校なら通える」と親子で納得できているかを話し合っておきましょう。分からないことは、中学校の担任の先生と、志望校の入試担当の先生の両方に確かめるのが確実です。
参考文献
- 東京都「令和9年度 都内私立高等学校入学者選抜実施要項」(2026年10月7日発表)
- 埼玉県「埼玉県私立中学校・高等学校・中等教育学校入試要項」(令和9年度・2026年9月11日掲載)
- 千葉県「令和9年度千葉県私立学校生徒募集要項」(2026年9月11日発表)
- 進研ゼミ 高校入試情報サイト「【埼玉県】知っておきたい!埼玉県私立高校入試の基礎知識」(2026年10月13日確認)
この記事の著者
まなぶてらす編集部
「まなぶてらす」は、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスです。一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばし、お子さまの強みを育てることを大切にしています。学びに関する最新情報や、家庭学習に役立つ知識をお届けします。
この記事の監修者
坂本七郎
まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント
5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。


