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「帰国してみたら、算数だけ2学年近く遅れていた」——海外在住の保護者から、こんな声をよく耳にします。

国語や漢字の心配はしていたのに、算数・数学の格差は見落としがちです。現地校で算数の授業を受けているから大丈夫、と思っていた家庭ほど、帰国後に差のリアルさを知ってから慌てることがあります。

なぜ海外在住の子どもは算数・数学でギャップが生まれやすいのか、学年別のチェックポイントと家庭でできる対策を、順を追って整理していきます。帰国前でも帰国後でも、早めに動いた分だけ差は縮まります。

海外在住の子の算数・数学が遅れやすい3つの理由

「現地校でも算数の授業はある」「成績も悪くない」——それでもギャップが生まれるのには、理由があります。

現地校と日本では「単元の導入順序」がまるで違う

日本の算数・数学カリキュラムは、世界的にも「単元の系統性」が緻密に設計されています。ところが、アメリカやイギリス、ヨーロッパ各国の学校では、単元の順序・深度・表現方法がそれぞれ異なります。

たとえば、かけ算の九九ひとつとっても、日本では小2でほぼ完成させますが、現地校では「暗記より概念理解」を優先して扱うことが多く、高学年になっても九九をすらすら言えない子がいます。分数の四則演算や「割合・比・百分率」の扱い方も日本特有の順序があり、帰国後の授業でいきなり「割合の文章題」が出てきたときに困る子は少なくありません。

外国語で算数を学ぶ「認知の二重負荷」

現地校の授業が英語(または現地の言語)で行われる場合、子どもは「算数の概念を理解する」と「外国語で意味を受け取る」という2つの作業を同時に行っています。

どちらかが苦手だと、一方に引きずられてもう一方も定着しにくくなります。算数は得意でも、外国語での説明についていくのに精いっぱいで概念が浅いままになるケース。逆に言語には慣れてきたものの、算数の本質的な理解を素通りしてきたケース。日本語で算数を改めて学び直したときに「あ、そういう意味だったのか」と気づく子も多いのが実情です。

なお、言語と学習の関係は算数だけでなく国語力全般にも影響します。日本語の読解・書き言葉の発達については、海外在住の子どもの「9歳の壁」の記事で詳しく整理しています。

補習校の算数コマ数は週1〜2コマが限界

海外の日本人補習校は、土曜日に国語・算数を中心に授業を行うスタイルが一般的です。週1日・数時間の枠を国語と算数で分け合う構造のため、算数に割けるコマ数はおのずと限られます。

補習校の算数は「維持」を目的としており、日本の学校水準に追いつくことや応用力を鍛えることには、時間的な限界があります。補習校に通わせているから大丈夫、と思っていた保護者が、帰国後の実力テストで現実を知るというケースは珍しくありません。

学年別チェックリスト——どこでギャップが生まれやすい?

「算数が遅れそう」と一口に言っても、学年によってつまずきやすいポイントは異なります。帰国後の学年に合わせて、どこを集中的に確認すべきかを整理しました。

小学校低学年(1〜3年):九九・繰り上がり・筆算の定着

低学年でよく見られるギャップの例

単元 現地校との違い(例)
かけ算(九九) 日本は小2で暗記まで完成。現地では計算方法を重視し、暗記が後回しになるケースも
繰り上がりのある足し算 日本の筆算アルゴリズムと現地の計算手順が異なる場合がある
時計・時間の計算 「○時間○分後」の計算は日本のカリキュラムで早い時期に登場

📝 帰国後にこんな問題が出ます(低学年の例)

「6×7=□」——九九を暗記していないと、その場で指を使って数える必要があり、時間内に解けないことがあります。
「27-9=□」——日本の繰り下がり計算は特定の手順で教えます。現地の筆算方式で育つと、帰国後に「なんで違うの?」と混乱することも。
「午前10時15分の1時間30分後は何時何分?」——時刻・時間の計算は日本のカリキュラムで小2〜3年に集中して扱う単元です。

この時期の算数は積み上げが重要です。帰国後の授業でいきなりつまずかないためにも、日本の計算ドリルを1冊手元に置いておくだけでも差が出ます。

小学校高学年(4〜6年):分数・割合・比・速さの壁

小4〜小6は、日本の算数のなかでも難関とされる単元が集中する時期です。特に「割合・比・速さ」は日本の中学受験でも頻出で、海外カリキュラムでは扱い方や深度が異なることが多い分野です。

  • 分数の四則演算:日本では通分・約分を含む本格的な分数計算を小5で扱いますが、現地校ではより遅い時期に導入されることがあります。
  • 割合・百分率の変換:「○割引き」「定価の何%」という日本特有の文章題の形式に不慣れな子が多いです。
  • 速さ・時間・距離の関係:距離=速さ×時間を式で表す訓練は日本の授業で繰り返し行いますが、現地では扱いが軽い場合があります。

📝 帰国後にこんな問題が出ます(高学年の例)

「定価800円の商品を25%引きで買うと代金はいくら?」——「割合」「定価・売価」「百分率」の組み合わせ。現地の%表記とは処理の仕方が異なります。
56÷53=□」——分数の割り算は「逆数にしてかける」という日本特有の解法の定着が問われます。
「時速48kmで2時間30分走ったとき、進んだ距離は?」——「2時間30分=2.5時間」への変換を経て立式する問題。文章読解力と単位変換を同時に要求されます。

中学生:方程式・関数・証明の表現の違い

中学の数学になると、証明の書き方・文字式の使い方・関数のグラフの扱いなど、「日本語で書く表現力」が問われる問題が増えます。

現地校で数学の成績が良くても、帰国後の定期テストで「記述・証明・説明が書けない」と悩む中学生は多いです。現地の数学は式の操作力を問うことが多いのに対して、日本の数学は「なぜそうなるか」を日本語で説明する力も評価されます。これは一朝一夕では身につかないため、早めに取り組んでおくと帰国後が楽になります。

📝 帰国後にこんな問題が出ます(中学生の例)

「△ABCにおいてAB=ACのとき、∠B=∠Cであることを証明しなさい。」——現地の数学では答えを「求める」問題が中心ですが、日本では「証明する」(筋道を日本語で書く)形式が定期テストで多く出ます。
「y=2x-1のグラフをかき、x軸との交点の座標を求めなさい。」——グラフを手書きする・座標を読み取る・式変形を日本語で説明する、という複合スキルが要求されます。
「右の表を見て、xとyの関係を式に表しなさい。また、xが5のときのyの値を求めなさい。」——現地では電卓・グラフ電卓を用いることも多い問題を、手計算と日本語記述で処理する力が問われます。

帰国前・帰国後にできる対策3ステップ

「帰国が2年後に決まった」という段階からでも、できることはあります。早めに取り組むほど、帰国後の負担が減ります。

①日本の教科書・問題集を1冊だけキープする

完璧にこなす必要はありません。学年相当の算数の教科書か、シンプルな計算ドリルを1冊、手元に置いておくだけで違います。週末に少しずつ進めるだけで、日本の単元の流れに慣れることができます。海外からでも日本の教育出版社のデジタル版やドリルを取り寄せることができます。

渡航前から準備できることについては、海外赴任が決まったら?渡航前にやるべき学習準備ガイドもあわせてご覧ください。

②週1回「日本語で解き方を説明させる」時間をつくる

算数の力は「計算できること」だけでなく、「日本語で説明できること」も含まれます。現地語でしか算数の説明ができない状態だと、帰国後の授業でついていけなくなることがあります。

たとえば、家庭で「なんでこうなったか、日本語で教えて?」と聞いてみるだけで、子どもが日本語の算数語彙(「くり上がり」「通分」「比例」など)を使う練習になります。保護者が算数の専門知識を持っていなくても構いません。「説明させる」こと自体が、日本語の算数力をつける練習になります。

③オンライン個別指導で「日本語×算数」を同時に補う

現地校の授業だけでカバーできないギャップを埋めるには、日本のカリキュラムに沿った個別指導が有効です。まなぶてらすは完全オンラインの家庭教師サービスで、時差を考慮して現地時間でのレッスンを受けられる講師が在籍しており、海外在住中から日本の算数・数学を日本語でしっかり学ぶことができます。

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「海外からでも受けられるの?」というご質問をよくいただきます。まなぶてらすは完全オンラインのため、インターネット環境があればどの国からでも受講できます。北米・欧州・アジアなど、現地時間の午後や夜間に対応する講師も複数在籍しています。

海外在住のお子さんに特化した経験を持つ講師、算数・数学の基礎から丁寧に教え直す経験を持つ講師を、プロフィールから直接探して体験レッスンを申し込める仕組みです。漢字や国語の対策が気になる方には、海外在住の子どもが漢字を嫌いになる前にの記事もご覧ください。


Hara先生

Hara 先生

カンボジアに5年半在住し、東南アジア・米国在住の日本人家庭を中心に帰国生・補習校サポートの指導実績多数。日本の学校カリキュラムに合わせた算数・数学指導を得意とし、海外在住中の小学生・中学生から帰国後の学習相談まで幅広く対応しています。

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じゅんじ(John)先生

じゅんじ(John) 先生

「公式を覚えるだけの数学にサヨナラ」をモットーに、数学の「なぜ?」を一緒に解決する家庭教師歴20年のベテラン先生。中学〜高校数学の基礎固めを得意とし、フィリピンからの帰国生へのタガログ語でのフォローにも対応しています。

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こめこめ先生

こめこめ 先生

留学斡旋企業での勤務経験を活かし、海外大学・大学院留学のアドバイスにも対応できる実績派の先生。偏差値30台から早稲田大学に合格した経歴を持ち、TOEIC970・英検準1級・IELTS7.0など多数の語学資格を保有。ASD・ADHDの方への指導実績もあります。

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よくある質問

Q. 現地校での算数の成績が良ければ、日本に帰っても大丈夫ですか?

必ずしもそうとは言えません。現地校で高評価でも、日本のカリキュラムでは別の視点・単元・表現方法が問われるため、帰国後に「なぜかできない」と感じるケースがあります。帰国前に日本の問題集で確認してみることをおすすめします。

Q. 補習校に通っていれば算数の対策は十分ですか?

補習校は土曜日を中心に国語と算数を扱う学校が多く、週1日・限られた枠内での授業となります。「ペースを維持する」という意味では有効ですが、応用力の強化や単元のカバー漏れを補うには、個別指導を並行して活用するご家庭も多いです。

Q. 帰国後どのくらいで算数・数学に追いつけますか?

ギャップの大きさ・学年・個人差によって異なるため、一概には言えません。ただし、早く始めるほど帰国後の負担は小さくなります。海外在住中から週1コマ始めたご家庭では、帰国後の授業にスムーズになじめたという声もあります。まずは無料体験で現在の状況を確かめてみてください。

Q. 小学校低学年から海外にいると、どのくらいのギャップが生まれますか?

滞在期間・現地校の方針・補習校の有無によって大きく異なります。ただし、低学年から海外にいる場合は九九・分数・割合といった日本の「算数の核」となる単元を現地の方法で学んでいることが多く、帰国後に日本式で改めて学び直す場面が出やすいです。

Q. 現地校が英語授業でも、日本語でのレッスンは受けられますか?

はい、まなぶてらすのレッスンはすべて日本語で行われます。現地校の授業が英語・現地語でも、まなぶてらすでは日本語で算数・数学を学べるため、帰国後の日本の授業に直結した力がつきます。

この記事の著者

まなぶてらす編集部

まなぶてらす編集部

「まなぶてらす」は、勉強も習い事もひとつの場所で学べるオンライン家庭教師サービスです。一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばし、お子さまの強みを育てることを大切にしています。学びに関する最新情報や、家庭学習に役立つ知識をお届けします。

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この記事の監修者

坂本七郎

坂本七郎

まなぶてらす代表・家庭学習コンサルタント

5,000人以上の保護者への学習相談実績を持つ家庭学習の専門家。著書15冊(累計26万部以上)。NHK Eテレなど多数メディアに出演。2016年にオンライン家庭教師「まなぶてらす」を設立し、多様な学習ニーズに対応するサービスを運営。

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